商店街のお茶屋さん~運命の番にスルーされたので、心機一転都会の下町で店を経営する!~

柚ノ木 碧/柚木 彗

文字の大きさ
21 / 138

21

しおりを挟む

 全粥の上にふりかけを掛けて食べてから改めて嵯峨さんが持って来てくれたと思わしき紙袋の中身をチェックすると、入院中に使えそうな品が色々と入っていた。コンビニか薬局で買って来たと思われる小さな容器に入っていたシャンプーやリンスに石鹸、箱ティッシュにウエットティッシュ、歯ブラシに髪をとかすブラシ、爪切り等など。
 無いと困る日用品ばかり。
 心使いが有り難い。

 紙に走り書きでもしたのか、若干よれた文字で嵯峨さんのメールアドレスと電話番号が記載されていて苦笑してしまう。

 早速そのメールアドレスに「3日ぶりに起きました。色々とご心配をおかけしました。有難う御座います」と短い文章だけどと断りも書いて送る。

 本当は電話の方が良いがこの個室以外にも他の入院患者が居るかも知れないし、朝なので嵯峨さんにも迷惑を掛けてしまうかも知れないのでメールにした。

 速攻で来た返事には「お見舞いに行きます!!」と書かれているが、αなので中にまでは来られない筈。嵯峨さんが来たら病院の待合室で会えばいいか、等と思ったがヒート…。
 今の俺の状態は落ち着いているが、若干肌がチリチリしているのでヒートの熱が引いていない、つまり終わっていないと思われる。
 御免と思いつつ、メールの返事に「まだヒートが終わっていないようなので」と断っておく。

 αである嵯峨さんに、ヒート中に会うわけにはいかない。

「って、そうだった仕事!」

 慌てて常連さん達にメールで申し訳無いと連絡を入れる。

「そう言えば、さっき看護師さん何だか…」

「倒れた小林を連れて来た男性はαなので当病院には待合室までしか入れなかったのですが…その」と言いにくそうにしていたよな。

 何かあったのだろうか?

 そこでふと、視線を下げて自分の服装を見る。
 少しずつ己の状態が…徐々に霧が晴れた様に意識が確りとしてくると、3日って長いよなって思う。

「風呂に入りたいぃぃ…!」

 切に思う。
 3日って思うと更に、

「今の俺、全身満遍なく脂ギッシュになっていないか!?」

 脂ギッシュって何!?と言われてしまうとなんと言って良いのか言葉に詰まる。言葉のなんとやら?ニュアンス?とやらで、なんとか察して欲しい。髪の毛とか、皮膚とか、顔なんて洗っていないから!!

 つまり非常に現在の俺、汚い!!!

 ガバっとベッドから起きて、其処で腕に刺さっている点滴に気が付き機能停止。
 今取れたら不味い。
 点滴が外れ、再度点滴されてしまうのも気まずいし恥ずかしい。

「く、この部屋の廊下らしきドアはまだわかる、先程看護師さん達が入って来たから。だがしかし、もう一つあるドア、あれはトイレかそれとも風呂なのか。風呂なら入りたいィィィィ!」

 個室に風呂があるイコール入院費が非常にキニナル。
 きっと高い。
 でも今の俺の気持ち的には風呂。
 風呂に入りたいです、シャワーだけでもこの際良い。寧ろその方が有り難い。切実に、俺をお風呂に入らせて下さい。お願い致します。

 それはさて置き。
 心情的には置いておきたくは無いが、何となくだがこの部屋はΩがヒートの時にα達から避難出来る部屋の様な気がする。
 その証拠にドア付近にシャッターみたいな物があるし、唯一ある部屋の窓も小さめ。更には外から侵入できない様に鉄格子。

「嫌に頑丈そうなんだけど…」

 多分だけどこの鉄格子を破って入って来た奴が居るのでは無いだろうか。その証拠に窓には鉄格子以外にも窓自体にも割れないように、網入りガラス(ガラスの中に金網がガラスの中に入っていて、地震や火災などで窓ガラスが割れた時、破片が飛び散らない)。
 更には内側にシャッター。

 このシャッターちょ~と凹んでいる気がするのだけど…。
 シャッターを凹ませたのは、どう考えてもαだよね?
 αってΩやβよりも遥かに力があるって一般に言われているし。
 そう考えると怖い。

「シャッターを破って入って来たαが居るのかね」

 どれだけαにΩが執着されていたのだろう。
 等とちょっと怖い方面に思考が飛んでいると、ベッドに置いたスマホが振動する。

『小林さん、これから着替えとか寝間着とか差し入れに行きたいのですけど、その。下着とかいりますか?あと、サイズ教えて下さい』

 …ん?
 サイズ?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています

七瀬
BL
あらすじ 春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。 政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。 **** 初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。

はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。 2023.04.03 閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m お待たせしています。 お待ちくださると幸いです。 2023.04.15 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。 m(_ _)m 更新頻度が遅く、申し訳ないです。 今月中には完結できたらと思っています。 2023.04.17 完結しました。 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます! すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺

福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。 目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。 でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい… ……あれ…? …やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ… 前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。 1万2000字前後です。 攻めのキャラがブレるし若干変態です。 無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形) おまけ完結済み

魔王様に溺愛されています!

うんとこどっこいしょ
BL
「一目惚れをしたんだ、必ず俺に惚れさせてみせる」 異世界で目覚めた倉木春斗は、自分をじっと見つめる男──魔王・バロンと出会う。優しいバロンに、次第に惹かれていく春斗。けれど春斗には、知らぬ間に失った過去があった。ほのぼの、甘い、ラブコメファンタジー。 第一章 第二章 第三章 完結! 番外編追加

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる

クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。

処理中です...