商店街のお茶屋さん~運命の番にスルーされたので、心機一転都会の下町で店を経営する!~

柚ノ木 碧/柚木 彗

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71 小林茶坊周囲で彷徨く者達2

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 side.木村壽人


 こんな深夜なのにと言うと、


「違います、違います。危険人物が目の前に居るでしょう?」


 ん?危険?変態ならαのライモンド先輩ですが。


「私は危険では無く変態なだけです」


 自覚済みかい。
 それならもう少しその変態ぶりを収めてくれると色々と助かるのに、等と思っていると……横からの凄い鼻息と息遣い。凄く嫌な予感。

 ちらり、と横を見ると…


「神宮寺、此処は闘技場じゃない」

「ンナ、事、はぁ…しって、る」


 ハァハァハァハァと何時になく興奮を越し、大興奮している神宮寺。
「やはり抑制剤って効きにくいですよねぇ~」と、澄ました顔のライモンド変た…先輩。
 神宮寺は自身を抑えるためか己の胸を抑えて口から荒い呼吸音を立て、何度もツバを飲み込む。


「怖えーんだけど!」


 こんな興奮した状態の神宮寺等抑え切れる自信がない。
 猛牛か。
 いや猛牛化。
 文字が漢字か平仮名の違いだけだが、顔面が赤くなって鼻息が荒い神宮寺、怖い。

 のほほんとしたライモンド先輩の「私もこんな状態の彼にケツを差し出す気は無いですね~」等という声。いやいや、貴方はαでしょうに。
 ヘンタ…だけど、うん、ゴホン。
 ライモンド先輩だからこういう考え方なのか?


「い…らん、わ」


 胸を抑えて嫌そうに言う神宮寺。
「わ~お、心底嫌そうで快感」と、何故かうっとりとした顔になるライモンド先輩。
 そんな奇妙な二人を見る俺。
 珍妙過ぎる。

 尚、下は向いてはイケない。
 特に神宮寺の下半身を見てはいけない。
 神宮寺も神宮寺で身を屈めている辺り、諸々察してしまう。
 出来ればそのままの体制でいて下さい。見せないで欲しいです、健全なβとしてはそんな同じ職場の社員の姿は見たくないです。
 男だから分かると言えば分かるが、βの俺にはわからない世界なので。


「で、辛い所聞くけど神宮寺。お前抑制剤効いてないな?」

「む、り…」

「という事は、監視対象であるΩの彼は君の運命の番でしょうね」


「日本に来てからと言うもの、身の回りで運命の番に会える人が多いですねぇ」とライモンド先輩に言われた事にショックを受けたのか、硬直する神宮寺。キッカリ5秒後、ギギギと音が鳴るような仕草で神宮寺の首が此方を向き、


「本当か」

「さぁ」


 俺βなので。
 αとΩの衝動とか知らんし、分からん。


「抗えない、湧き上がるこの何か、は」


 未だゴチャゴチャ言う神宮寺は兎も角、監視対象が動いた事で「はい、神宮寺くんは拗れる前に車に篭りましょうね~」とライモンド先輩が言っている間に、神宮寺がフラフラと身体が揺れる。


「あ、ヤベ。コイツ目が…」


 とか何とか言っている間に、


「ちょっ!」


 猛ダッシュで神宮寺が走り出し…!


 その後、ドカッという音が聞こえた。
 何の音かというと、神宮寺が地面にぶっ倒れた音。尚、ライモンド先輩の足が華麗?に神宮寺の足を引っ掛けたせいで派手に転んだため。
 その為、現在神宮寺はコンクリートに熱烈なキスをして居る状態。

 その間俺は何をしていたかと言うと、ただ利き腕をダッシュしていった神宮寺への背中へと伸ばして居るだけだった。
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