商店街のお茶屋さん~運命の番にスルーされたので、心機一転都会の下町で店を経営する!~

柚ノ木 碧/柚木 彗

文字の大きさ
101 / 138

99 閑話 人誑し

しおりを挟む
 
 side.不破 晃洋


「はっくしゅん!」

「「あう?」」


 運転中、後部座席にいる俺達の双子の子供達、晃明と雪羽が俺の奥さんである末明ちゃんのクシャミに驚いた声を出す。その声に今回の旅行に無理を言って同行して貰っているベビーシッターさんが「あらあら大丈夫ですか?」と声を出している。
 その際後部座席に置いてあった膝掛けを末明ちゃんの膝に掛けてくれた。
 シッターさん、いい仕事をしてくれた!


「末明ちゃん大丈夫?風邪をひいた?」


 大丈夫かな。産後の肥立ちって産んでから三ヶ月ぐらいだっけ?人による?
 同棲をしてから出産し、出席日数が危なかったが学園を何とか卒業し、その後結婚をして…って考えてみたら末明ちゃんと出逢ってから駆け抜けたような気がする。
 きちんと休み取れていた?
 学園を卒業してから赤子もいることだし、何より住んでいる家は家業である喫茶店付きの家。

 末明ちゃん、無理をしていないかな。


「いや、体調はなんともない。もしかして誰か噂でもしてるのかな」

「大丈夫そう?」

「ん、ヘーキヘーキ」


 ちょうど見えて来たサービスエリアに入り、車を止める。
 今回赤ん坊達とベビーシッターさんを乗せるため、広々とした空間が欲しかったためにワゴン車をレンタルしたのだけど、慣れない車種だったために予想外疲れた。
 此処で暫く休憩を取ろうといい、俺は少しだけ仮眠を取ることにした。
 運転席の後部座席は誰も居ないため、シートを思いっきり倒して寝そべると末明ちゃんが俺の顔を覗いてきた。うーん、その顔可愛い。


「ね?」

「うん?」

「小林さん達のこと、わざとだろ?」


 言いたいことは大体わかるけど、ね。


「何が?」

「ああでもしないと嵯峨さんと小林さん、中々関係を進めにくいって思って居たんじゃない?」


 図星デース。寧ろそうしないと進まないと思いました。
 あの人達ああ見えて成人しているのか?と思うぐらい、ピュアッぴゅあっだからなあ。嵯峨さんは兎も角、小林店長ちゃんは汚れていないからね。多分。時々商売をしているからか、腹黒い時もあるけども。


「あ~…まぁ、ね」

「普段の不破の性格なら、今回の旅行でも連れて来ちゃうって思っていたんだけど?」


 流石末明ちゃん、我妻だ。
 結構鋭いですな。


「それは考えたけど、でもなぁ」

「ん?」

「ほっとくと中々関係進まないからなぁ、あの二人」


 何度も言いたいし言うけど、これ本当。そうして歯がゆい。まだるっこしい。じれったい。
 言っていることの意味は全部同じ。


「確かに」

「でしょ?お節介だけど、俺としてはさっさと番契約をして欲しいんだよね」


 何時までも番契約なりなんなりしないと、小林店長ちゃん狙いのαが寄って来そうなんだよね。先日も店長ちゃんの『運命の番』なんて言う人も接触して来た様だし。


「今回強硬手段を取ったってことか」

「そうそう。好き合っている人間同士が同じ空間にいれば…って思うのだけど、小林さんは深窓のΩちゃんだから兎も角、嵯峨はヘタレだからなぁ」


 そうそう、深窓。
 男のΩちゃんだけど、深窓のご令嬢って感じ。
 あれ、深想だっけ?深層は海だし、真相は事件の~だから違う。新装はもっと違う。
 漢字が咄嗟にわからん…。


「…小林店長は深窓かい」


 末明ちゃんの呆れた眼差し頂きました~。
 ご褒美ですか?はい、ご褒美です。まぁ俺だけのだけどね。他の奴等、特にαにはこんな顔見せたくはない。


「いやー当人は気が付いて居ないけど、田舎に居た時から周囲に恵まれていたようだよ。付かず離れずに人が居た様だし、中学の時に振られた時だっけ?その辺りから余計に過保護になって居たみたいらしいね。小林店長の口ぶりから推測だけど。田舎に一人だけの男のΩとくれば尚更だったろうし」


「小林さん、人誑しだしなぁ…」

「(それは末明ちゃんも、ですよ)」


 ※ ※ ※


 うっかり不破家の旅行に小林店長を連れて来てしまうと嵯峨さんとの仲を拗らせてしまう可能性と、周囲の人々からあらぬ誤解を招くのを回避したかったと言うこともあります。

 ・side.不破晃洋 追加記入。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています

七瀬
BL
あらすじ 春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。 政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。 **** 初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺

福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。 目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。 でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい… ……あれ…? …やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ… 前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。 1万2000字前後です。 攻めのキャラがブレるし若干変態です。 無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形) おまけ完結済み

魔王様に溺愛されています!

うんとこどっこいしょ
BL
「一目惚れをしたんだ、必ず俺に惚れさせてみせる」 異世界で目覚めた倉木春斗は、自分をじっと見つめる男──魔王・バロンと出会う。優しいバロンに、次第に惹かれていく春斗。けれど春斗には、知らぬ間に失った過去があった。ほのぼの、甘い、ラブコメファンタジー。 第一章 第二章 第三章 完結! 番外編追加

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる

クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *不定期連載です。

処理中です...