商店街のお茶屋さん~運命の番にスルーされたので、心機一転都会の下町で店を経営する!~

柚ノ木 碧/柚木 彗

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115 背中、猫柄

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「愛しています眞宮、大好きです。お願いです、結婚して下さい」

 朝起きて、俺の身体に巻き付いていた憲真の腕から逃れるべくジタバタしていたら当然横に寝ていた、否、俺の腰に抱き付いていた憲真を起こしてしまったわけで。その直後、寝惚けた顔付きの憲真からプロポーズ来ました。

 …うっそぉん。

 目、憲真の目が半分閉じているようですけど。
 もしかして寝惚けている?寝起きが悪いたちだったっけ?


「憲真?」


 愛の告白は嬉しいけど、寝惚けている状態でのプロポーズは困ってしまう。
 返事をしてしまったのに憲真の目が覚めてから覚えていないだなんて言われたら、俺の精神に大大大ダメージを受けてしまう。もしくは超SSS級ダメージ。同じだって思うけど、微妙に違うのだ。何処がと言われると返答出来ないけど。
 でもいや、まぁ、うん。今の憲真は寝惚けているってわかっているよ。
 正気を取り戻したら言わな…何時か言って欲しいけど、今はまだ付き合い始めたばかりだし。番になったけど、まだ色々と早いよなぁって、


「結婚して下さい。俺の全力をもって眞宮を大事に愛します」

「はい」


 はっ!?
 嬉しくてつい了解の返事をしてしまった!
 憲真寝惚けているから無効ってことになるだろうと予想は出来るけど、大好きな人からの告白、プロポーズには噓をつきたく無いわけで。
 先程まだ付き合い始めたばかりだしとか何とか思ったけど。
 ごにょごにょ。
 これぞ舌の根も乾かぬうちにと言うことか。
 うはははは、言い終わった瞬間にこれってやつです、もう笑うしかない。

 しかし「大事」って。「愛します」って。

 悶絶しちゃいそうですけどー!!

 それにしても何故憲真は何時もと違って半目、半分だけ開いた目の状態なのだろう。
 やはり寝惚けているのだろうか。それとも此方の様子を窺っている?


「本当に?」

 うん?

「本気で?」

 はい?

「夢じゃない?」

 んんん?

「本当に本気で眞宮、俺と結婚してくれる?」


 何故そこで疑問形?
 憲真もしかして寝惚けているわけでは無いのか?


「憲真、寝惚けているの?」

「寝惚けていません」


 即答か、目は先程同様半目のままだけど。
 寝惚けていないと言っている人程寝惚けているのでは?


「寝惚けていません」

「あ、同じセリフを二度言った」

「眞宮が疑わしそうに見ているから」


 いやだってその顔付き、何時もと違って鏡見せたいぐらいに半目ですよ。
 イケメンな顔がちょっと細目になって可愛い感じで目に優しいけど。何時もは眩しいからね!直視すると眩し!となるからね!


「…顔、洗ってきます」


 じぃっと食い入るように憲真のことを見詰めていたら手にバスタオルを抱えて部屋を出て行った。顔を洗うついでにシャワーを浴びに行ったのだろうなぁ。



 *



 憲真が部屋を出て行ってから、俺が持って来た荷物を探していたらリビングの一角に置かれていたので着替える。とは言っても相変わらずの甚平、本日は背中に猫柄が入っているお気に入りの物。購入していたのは良いけど、経営しているお茶屋店で着るのはなんか違うかもと思っていたもの。
 ついつい無意識に荷物へ詰め込んでしまった。

 そうして、先程から背後に突き刺さる視線。振り返ると案の定、


「眞宮の背中、猫柄…かわいい」


 床に屈んでプルプル震えている憲真。
 さっきの話覚えているかな、これ。

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