商店街のお茶屋さん~運命の番にスルーされたので、心機一転都会の下町で店を経営する!~

柚ノ木 碧/柚木 彗

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130 それが萌えだよ

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 side.嵯峨憲真


「うう~憲真」

「はい、眞宮」


 うんうん、愛されているなぁ。
 ニヤニヤしていたら、「締まりのない顔」って眞宮に言われたけど、ごめんこればっかりは収まらない。何せ眞宮に嫉妬され、愛されているってしみじみと感じることが出来て居るのだ!


「眞宮が好きで、好きで堪らないなぁって」

「何だよそれ!」


 再度ポカポカと軽く、ほんと~に軽くノックしているぐらいの力加減で小刻みに叩かれる。
 あー可愛い!痛くない様に軽く叩いているって言うのもわかるし、あ、ああ可愛い!
 とか何とかつい口から漏れたら「可愛くねーもん」と拗ねた声。

 エ、ナンデスカ。
 俺の眞宮が可愛くてツライ。
 拗ねた顔が可愛い、つらい。


「それが萌えだよ、嵯峨君」


 ドアの方から延司さんの妙に頷いている姿が見えるのですが。
 延司さん、先程まで俺に眞宮を取られたって悔しがっていませんでした?


「悔しいけど、ほんっとーに悔しいけど、俺にはお母さん蕗ちゃんが居るし、眞宮がこのままずっと誰とも結婚せずにいられる訳もない。それを考えたら、息子が選んだ人のが良いだろうし、愛息子が幸せになるならもう…」


 最後に小さな声で萌えって呟いているよ、この人。
 ついでとばかりに「孫が産まれたら箱推し出来る自信があるし」って。箱推しってアイドルグループで例えると、グループ全体を応援したいってことだろ?そうなると、俺と眞宮の夫夫一家(予定だけど!)の応援をするって言うことだろうか。

 孫が産まれたらと限定しているけど。
 (と言うことは、孫が産まれることを期待されているってことかな)


「嵯峨君、いや憲真君」

「あ、はい」

「眞宮をよ…「あ!いえ、此方こそ先に言わせて下さい!」」

「お、おお」


 驚いて妙な返事をしている延司さん。彼の前で胸の中に居る眞宮を「少しだけ離れていい?」と許可を取り、その場で土下座。
「え」と小さな呟きが眞宮の口から漏れたが、理解したのかそのまま黙って俺の隣に正座をしてくれた。


「延司さん、いえ、お義父さん」


 ここで「まだお義父さんじゃない」と拒否されたらどうしようかと思ったが、場の空気を読んでくれたのか、はたまた何かしら理由があるのか。黙して語らず、沈黙してくれている延司さんに頭を下げたまま告げる。


「息子さんの眞宮さんを私に下さい」

「…」

「父さん、俺からもお願いします」


 横に居る眞宮からも願う声が聞こえる。


「本当は俺の横にお母さん蕗ちゃんが一緒に居る時が良いんだろうが、な」


 ふっと真向いに居る延司さんから苦笑する声が聞こえる。


「父さん、背後」

「あー…聞いていた?お母さん蕗ちゃん


 すると延司さんの背後、ドアからひょっこりと顔を出す眞宮の母親、蕗さん。その顔はニッコリととても良い笑顔だった。
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