ある日突然Ωになってしまったけど、僕の人生はハッピーエンドになれるでしょうか

柚ノ木 碧/柚木 彗

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 その後は皇さんからは『特に何も』言われなく…目線と言うか視線が不穏な気がしてアレですけども。僕と落合先輩と京夏さんは皇さんの部屋のルームツアー続行中。

 玄関を入った時に玄関の広さに驚き、靴を脱いで玄関の扉を開けて廊下を出たらすぐ見えた台所の大きさ(此処が京夏さんが「大きい」と言った場所)に驚き。
(ベッドルームだけは見せて貰えなかったけれど)

 新品のIHクッキングヒーターは兎も角、備え付けのオーブンと同じく備え付けの食器洗浄機に驚き…からの、備え付けの冷蔵庫の中身がカラ。
 唯一あったのが、冷凍室の氷だけだったことである。

 そして、やはりと言うか予想通りに炊飯器は無かった。
 そもそも台所、お茶とかコーヒーぐらいしか使って居ないっぽい。
 高峰さんといい、皇さんといい、自炊が出来ないコンビのようだ。


「皇っち~せめてミネラルウォーターとか牛乳とか入れておこうよ~」


 それもどうかと思いますが、こう、電気が勿体無いと言うか何と言うか。ついつい貧乏性の部分が出てしまって、コンセントを引っこ抜こうかと思ってしまった。人様の家だからしないけども。
 氷が溶けちゃうし。

 皇さんのマネージャーである高峰さんの冷蔵庫も色々と駄目な状態だった気がする。
 例外はワインクーラーがあった位?それってどうなの…。

 そうして二人の共通点が冷凍庫に氷。何、氷って芸能活動する上で何が何でも無くちゃいけないモノなのだろうか?う~ん、顔とか目が腫れてしまった時に冷やす用?謎だ。


「入れておくべきか?」


 そんな皇さんは只今台所に立ってペーパーフィルターを使って珈琲を入れている最中。
 コーヒーサーバー?コーヒードリッパーって言うんだっけ?このセット。
 何時も使っているのか、慣れているらしく丁沸騰したお湯を上から丁寧に注いで居る。

 その空間だけが別空間みたいに見えて、ちょっとだけ格好良い。
 …冷蔵庫の中身は氷だけですが。

 なお、僕等はリビングにてお客さん状態でソファーに座っております。
 と言うか、僕の方を向いて「冷蔵庫に何か入れておくべきか?」と聞かないでください。家主である皇さんが決めることだと思います。

 僕はまだまだ父さん達に甘えていたいので。

 それにまだ返事していません。
 …まぁ、皇さんのこと嫌いじゃないけど。

 将来もし一緒に住むことになったなら、冷蔵庫には卵や牛乳に野菜等最低限な品物は入れて置きたいなぁと一瞬だけ考え、頭を振ってその考えを飛ばした。どうでも良いけど京夏さん、「冷蔵庫に最低限劣化防止にゴム入れとこうよ」というのは止めて下さい。
 落合先輩と僕、吹き出してしまったじゃないですか。
 そして落合先輩、「それ余計に劣化するから禁止。」って更に余計な知識教えないで下さい…。「ワセリンが入っているゴムは劣化するからね」って、うう、耳を塞ぎたい…。

 そして二人共ワセリン入りのゴム使用しているんですね、って耳年増になってしまいそう…。


「お、ロボット掃除機。」


 僕等の下にはたった今スイッチが入ったらしきロボット掃除機、またの名をルンバが動いております。これ、ネット動画で猫とか犬とかペットが上に乗って動いている画像を見た時余りの可愛さに驚いた。
 思わずじっくりとリビングに置いてあるパソコンで見ていたら、何時の間にか阿須那父さんまで夢中で僕の背後で魅入っていて、最終的には陽平父さんに「ペットかぬいぐるみ買って、家で動かすか?」と阿須那父さんに聞いていた。

 …その前にルンバ買うのが先だと思う。
 その他にも色々突っ込みどころが多いのだけど、結果的に他の会社のロボット掃除機が現在家で稼働中。父さん達が結婚した後、お爺ちゃんとお婆ちゃんが結婚のお祝いに色々贈って来た中にあったから。
 お陰で我が家は暫くの間、そのロボット掃除機がペット代わりでした。
 そしてコッソリ僕はそのロボット掃除機に名前を付けている。

 後日その話を阿須那父さんに話したら、僕が名付けた名前である「ロイ」と呼んでいて、何だか居た堪れなかったです……。


「いいなぁ~これ欲しい。俺のお小遣いじゃ高すぎて買えないよ~。」


 良い商品だと軽く10万越えちゃうよね。先日ネットで見掛けてびっくりしたよ、最新式なのか良くわからないけれど、18万以上していたし。


「買うか?」


 京夏さんが欲しそうに眺めていると、落合先輩がその状態の京夏さんを眺めつつ購入するかどうか聞いている。


「この寮に入れば全室完備しているぞ。」

「え、マジ?んじゃ引っ越しまで我慢!って、一人用の寮には置いてないのに羨ましい~。」

「以前はあったらしいが、恐らく一戸の部屋は前の寮生が住んでいた時に壊れたのでは無いか?」

「かもな~。一応寮共通の掃除機はあるけど、親が持たせてくれた軽い掃除機の方が楽だから良いよな~。寮共通の掃除機は、なんつーか、こー…でか過ぎて昔の型のせいか使いにくい。」


 ブーブーと文句を言っている京夏さん達の前に珈琲が一つ。

 そして京夏さんの台詞が何処と無く、落合先輩を意識している件。
 コレ絶対『大きい』とか言わないようにしたよね?それでも小さな声で『でか過ぎ…』って呟いている辺り、京夏さんが引いていますよ?落合先輩、過剰反応しすぎだと思います。
 程々にお願い致します。


「倉敷は砂糖とミルクだよな?」

「え」


 僕教えたっけ?等と思って見詰めると、


「悪いな、今は牛乳を切らしていてカフェオレが入れられなくて。」


 やはり牛乳位は冷蔵庫に入れておくかと言われてしまう。

 え、えっと…。
 別にこの部屋に通わないと思うけど。


「皇、倉敷が動揺している。ストーカー極め過ぎ。」


 クスクス笑い出した落合先輩を驚いて見詰めていると、


「悪い。その…。」


 と言って口籠る。

 何故知っているのかな~?
 キリキリ吐いて貰いましょうか。
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