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135 ちゃんと野菜を食え
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ガクブルブル。
僕だけでなく周囲まで巻き込んで冷気がカフェテラスを包み込む錯覚を見た途端、それまで此方…主にαの学生が高蔵さんと楽さんの両名を見ていた様だけど、一気に視線がそれた。
きっと怖かったのだろうな。
その後僕へ視線が集まったが、興味が薄れたのか即それたことでホッとする。
したのだけどなぁ…。
「あ、いたいた。優樹~!」
カフェテラスの入り口からこの学園で聞く筈の無い声が聞こえ、ビクッと身体が驚いて動いてしまう。そうしてゆっくりと声がした方を振り向き…。
「おはよう、優樹。此処で飯か?」
「おはようさん、よく寝むれたか?」
陽平父さんに肩を抱かれた阿須那父さん達夫夫二人が、此方へとゆっくりと歩いて来た。
阿須那父さん、銘花病院に入院中では無かったっけ!?
※
「ほら、阿須那。ちゃんと野菜食え。」
「うっ」
平和だ。
つい先程まで僕の心は恭介さんと離れてしまって寂しいと言うことと、高蔵さんと楽さんのラブラブカップルのイチャつきを目の前で見ていた為にささくれ立っていたのに、僕の両親である一戸陽平父さんと倉敷阿須那父さんの二名が学園のカフェテラスで朝食を囲っている。
勿論此方もラブラブです。
問答無用で恭介さんが居ないことで湧き上がる寂しさを突き刺して来ます。
ぐっさぐさと視界を使って突き刺して来ます。容赦無いです。
血反吐吐きそうです。
何せ新婚さんですからね、この二人。
陽平父さんのデレ具合とか、阿須那父さんの食事の世話とかが相変わらず凄い。
幸せそうでその点はとても良いし、僕も嬉しいのだけど中々抉ってくるよ。流石僕の本当の両親。え、僕の元母親?知りません、そんな人居た?家の中に居ても僕の姿を見ようとしなかった冷血漢の女性なら幻想だったと思うよ。何せ阿須那父さんも僕も幸せにならなかったもの。
あの人との過去の記憶はシュレッダーに突っ込んで粉砕して消去です。クロスカットでも良いね。いっそ無かったことにならないかな?阿須那父さんの経歴やらに傷を残すことも許しがたいですよ。
それにしても陽平父さんは学園関係者(保健室勤務)だから良いとして、阿須那父さんってこの学園のカフェテラスで飲食出来た?確か学園の説明会で学生と学園関係者以外は出来ないと説明されたと思ったのだけど、阿須那父さんの首から下がっているカードホルダーを見てからカフェテラスの店員さん達は普通に接客をしている。
良いの?それで。
良いのなら良いのだけれど、先程から陽平父さんと阿須那父さん達二人の会話、会話が。
何処のお子様?という光景を…ね。
「阿須那~いい年をして野菜を残すな。嫌いなのはわかるが身体に良くないぞ。」
「……苦い。」
「苦いじゃないでしょ~美味しいぞ、ほら。」
阿須那父さんと陽平父さんの両名は僕等高蔵さんと楽さん、それに僕が座っているテーブルに隣のテーブルをわざわざ付けて設置し、堂々と二人並んで座っている。
いやいや何故向かい合わせで座らない。何故並ぶ、くっ付く。夫婦か。夫夫だったよ。しかも新婚だったよ、つい先日新婚旅行(国内)に行っていたよ!
心の中で一人ツッコミは何だか虚しいです、はい。
尚カフェテラスの店員にはテーブルを移動してしまったことはちゃんと断ってはいる。
それと、先程僕等から視線が離れた筈の周囲の視線が只今阿須那父さんと陽平父さんの二名へと注がれている。
「すっげー美人」「やっば、色気が」「一戸先生の隣で世話されている美人さん、先生の何?」「そんなの決まっているじゃん、どうみても嫁だろ。同じ指輪しているし」「ぎゃー!まじか!」「先生の奥さんキタ~!」「そう言えば結婚したって聞いたわー」等と言う声が彼方此方で聞こえて来る。
と言うか丸聞こえです。
むしろ何故聞こえないと思った?と聞きたいぐらいに声が大です。
阿須那父さん達気にならないの?と思って父さん達を見ると、
「ほら、阿須那。野菜残さない。あーん。」
「うう、あ、あーん。」
ゲホ。
甘かった。やたら甘かった。
父さん達って普段からこうだったっけ!?
「倉敷君のお父さん達って何時もこうなの?」
うんざりした声で高蔵さんが聞いて来るけど、僕は先程まで高蔵さんと楽さんに同じ様な目に合わされて居たので同罪ですよ。
※ ※ ※
・今回のツッコミどころ 2022年7月2日記載
阿須那は基本的に野菜全般が駄目。特にお子様が苦手としている野菜、人参・ピーマン・ネギやアクが強い野菜がより苦いと感じるらしい。阿須那自身は自覚していないが、幼少時まともな食事をとって居なかった弊害だったりする。野菜・果物類がほぼ駄目。羊肉等肉類も苦手としている物がある。
高倉舞は楽と婚約をしているが、此方のカップルは楽がΩで舞がα。どっちが出産をするのだろう。謎である、多分。
僕だけでなく周囲まで巻き込んで冷気がカフェテラスを包み込む錯覚を見た途端、それまで此方…主にαの学生が高蔵さんと楽さんの両名を見ていた様だけど、一気に視線がそれた。
きっと怖かったのだろうな。
その後僕へ視線が集まったが、興味が薄れたのか即それたことでホッとする。
したのだけどなぁ…。
「あ、いたいた。優樹~!」
カフェテラスの入り口からこの学園で聞く筈の無い声が聞こえ、ビクッと身体が驚いて動いてしまう。そうしてゆっくりと声がした方を振り向き…。
「おはよう、優樹。此処で飯か?」
「おはようさん、よく寝むれたか?」
陽平父さんに肩を抱かれた阿須那父さん達夫夫二人が、此方へとゆっくりと歩いて来た。
阿須那父さん、銘花病院に入院中では無かったっけ!?
※
「ほら、阿須那。ちゃんと野菜食え。」
「うっ」
平和だ。
つい先程まで僕の心は恭介さんと離れてしまって寂しいと言うことと、高蔵さんと楽さんのラブラブカップルのイチャつきを目の前で見ていた為にささくれ立っていたのに、僕の両親である一戸陽平父さんと倉敷阿須那父さんの二名が学園のカフェテラスで朝食を囲っている。
勿論此方もラブラブです。
問答無用で恭介さんが居ないことで湧き上がる寂しさを突き刺して来ます。
ぐっさぐさと視界を使って突き刺して来ます。容赦無いです。
血反吐吐きそうです。
何せ新婚さんですからね、この二人。
陽平父さんのデレ具合とか、阿須那父さんの食事の世話とかが相変わらず凄い。
幸せそうでその点はとても良いし、僕も嬉しいのだけど中々抉ってくるよ。流石僕の本当の両親。え、僕の元母親?知りません、そんな人居た?家の中に居ても僕の姿を見ようとしなかった冷血漢の女性なら幻想だったと思うよ。何せ阿須那父さんも僕も幸せにならなかったもの。
あの人との過去の記憶はシュレッダーに突っ込んで粉砕して消去です。クロスカットでも良いね。いっそ無かったことにならないかな?阿須那父さんの経歴やらに傷を残すことも許しがたいですよ。
それにしても陽平父さんは学園関係者(保健室勤務)だから良いとして、阿須那父さんってこの学園のカフェテラスで飲食出来た?確か学園の説明会で学生と学園関係者以外は出来ないと説明されたと思ったのだけど、阿須那父さんの首から下がっているカードホルダーを見てからカフェテラスの店員さん達は普通に接客をしている。
良いの?それで。
良いのなら良いのだけれど、先程から陽平父さんと阿須那父さん達二人の会話、会話が。
何処のお子様?という光景を…ね。
「阿須那~いい年をして野菜を残すな。嫌いなのはわかるが身体に良くないぞ。」
「……苦い。」
「苦いじゃないでしょ~美味しいぞ、ほら。」
阿須那父さんと陽平父さんの両名は僕等高蔵さんと楽さん、それに僕が座っているテーブルに隣のテーブルをわざわざ付けて設置し、堂々と二人並んで座っている。
いやいや何故向かい合わせで座らない。何故並ぶ、くっ付く。夫婦か。夫夫だったよ。しかも新婚だったよ、つい先日新婚旅行(国内)に行っていたよ!
心の中で一人ツッコミは何だか虚しいです、はい。
尚カフェテラスの店員にはテーブルを移動してしまったことはちゃんと断ってはいる。
それと、先程僕等から視線が離れた筈の周囲の視線が只今阿須那父さんと陽平父さんの二名へと注がれている。
「すっげー美人」「やっば、色気が」「一戸先生の隣で世話されている美人さん、先生の何?」「そんなの決まっているじゃん、どうみても嫁だろ。同じ指輪しているし」「ぎゃー!まじか!」「先生の奥さんキタ~!」「そう言えば結婚したって聞いたわー」等と言う声が彼方此方で聞こえて来る。
と言うか丸聞こえです。
むしろ何故聞こえないと思った?と聞きたいぐらいに声が大です。
阿須那父さん達気にならないの?と思って父さん達を見ると、
「ほら、阿須那。野菜残さない。あーん。」
「うう、あ、あーん。」
ゲホ。
甘かった。やたら甘かった。
父さん達って普段からこうだったっけ!?
「倉敷君のお父さん達って何時もこうなの?」
うんざりした声で高蔵さんが聞いて来るけど、僕は先程まで高蔵さんと楽さんに同じ様な目に合わされて居たので同罪ですよ。
※ ※ ※
・今回のツッコミどころ 2022年7月2日記載
阿須那は基本的に野菜全般が駄目。特にお子様が苦手としている野菜、人参・ピーマン・ネギやアクが強い野菜がより苦いと感じるらしい。阿須那自身は自覚していないが、幼少時まともな食事をとって居なかった弊害だったりする。野菜・果物類がほぼ駄目。羊肉等肉類も苦手としている物がある。
高倉舞は楽と婚約をしているが、此方のカップルは楽がΩで舞がα。どっちが出産をするのだろう。謎である、多分。
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