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本編後
僕の年上の奥さん5
しおりを挟む「久仁彦が高校卒業したら、その足で役所に行って籍入れるつもりだ」
「先輩、マジですか」
「まーな。久仁彦が大学に行きたいって言っているから行かせるけど、久仁彦は誰にもやらん。俺のだ、俺の久仁彦だ」
「男前発言!」
「うるせー。んじゃなきゃ俺の手元に置かねー」
「結婚式は?」
「写真撮影するぐらいかな。久仁彦、それで良いか?」
「え」
「え、じゃねぇ。要望があるなら卒業する前に言ってくれ。出来ることなら叶える」
「ヒュ~マジっすか、先輩益々オトコマエ!」
「うっせ」
結婚。
結婚、か…。
「まぁまだ学生だから考えづらいだろうけど、俺は久仁彦と花音の二人と離れるつもりは無いから覚悟しておけ」
「うは、先輩強引」
「ほっとけ」
思えば俺の母親が帆貴さんを騙して同棲をし、浮気をして元彼女になり。
帆貴さんの貯金通帳や家電製品を盗み、八つ当たりで彼の背広等を切り刻む等の蛮行を犯してからの母親の失踪兼血の繋がった息子である僕の置き去り。
そう、僕は高校生になって母の邪魔になって置き去りにされた子供。
そんな僕に対し、帆貴さんは『誰にもやらん』と誰に対しても宣言してくれる。
お陰で僕は母と離れてから以前まで感じていた孤独感と訳の分からない飢えを感じることが亡くなり、じんわりと胸が暖かくなる思いが溢れる。
それでも時折もっと愛情が欲しくて縋ってしまう事があるのだけど、そういう時帆貴さんは僕を抱きしめて頭を撫でてくれる。
αなのに、とか。
男なのに、とか。
今迄己を律して抑え込んで居た僕の気持ちは、お陰でゆったりと心地よい穏やかな日差しを受けている様に心地が良い。
「ふっふ~、良かった湯川君。学生時代から先輩のことを知っているけど、阿久津先輩が離してくれないなんて珍しいのよ?去る者は追わずという性格をしていたからね~」
「うっせ、余計なこと言うな」
「だ~て、先輩って昔から人との距離を取っていたじゃない?大学の時なんて飲み会に誘っても、サークルに誘っても来なかったじゃない」
「あのな、こう見えても俺はΩなの。見知らぬ男やαが詰め寄って来る場所なんて、行くわけ無いだろ。幾ら抑制剤があるからってαの圧には逆らえにくいし、もしうっかりヒートになったら誰が責任取る?俺だろ。なら自衛で行くわけが無いだろう」
「え~でも、私だってΩなのですけど」
つまり担任は飲み会やサークルとかに行っていたと。
成程。
「お前は俺とは違って女だろう。俺の場合とはまたケースが違う。男のΩだからって好奇心で面白がって寄って来るし、世間では女よりも男の場合、子供が出来にくく後腐れないだろうって思い込んでいるのが居る。あっちの具合が良いって言うアホも居るし」
実際にはΩなら男女どちらでも子を成すことが出来る。
特にΩの相手がαなら。更に言うとΩがヒートを起こしているならば、更に相手がαならば確率は高い。
「ああ、それは…」
「特に大学のサークルのαにヤバいのが居ただろう。やり捨てするアホが」
「うん、えーと御免ね」
「もう良いよ。過去のことだし」
そうして、沈黙。
「帆貴さん…?」
大学のことなんて初耳。
更に僕が知らない過去の事を話す先生と帆貴さん。
何だろう、胸が少しだけ苛つく。
僕の知らない、帆貴さんの過去。その過去を話す担任と帆貴さん。
…その会話に全く入れない。
仕方が無いことだけど、僕は第三者で居るしか無くて。知らないから無言を貫くだけ。
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