悪役令嬢の父親に転生したので、妻と娘を溺愛します

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10 娘を見守る

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会場に着くとすでになん組かの親子が集まっており、俺は爵位が近い人間から軽く挨拶を行うことにした。
貴族の世界には、爵位が低いものからは声をかけることは無礼であり、爵位が高いものから挨拶をされるまでは発言すらダメという暗黙の了解があるのだが・・・そんな面倒なことを律儀に守らないといけないのは貴族の嫌な点だよね。

基本的には社交界などの大きな行事でのことで、この国では普段は比較的そこまで拘る人間はいないのだが・・・それでも、こういった公の場では古い伝統こそが重要視されてしまうのは仕方ないだろう。

まあ、貴族として生きてきたカリスさんの側面ではそれが当たり前という感覚が強いが・・・前世の知識部分ではやはり違和感を覚えてしまうのは仕方ないだろう。

家と同じ公爵家の人間から何人か挨拶をしていく。ローリエも恥ずかしそうにしつつもなんとか挨拶をしているが・・・うん、やっぱり家の娘は可愛い!そんな感想を抱きつつも、渋いオッサンフェイスに笑みをはりつけて挨拶回りをしていると、やがて時間になり、国王陛下と第二王女のセレナ様が来たので、会場の全員が一斉に礼の姿勢をとった。

「皆のもの、本日はよくぞ来られた!本日は我が娘ーーーセレナの5つを祝う大切な日だ。存分に楽しんでいってくれ!」

その陛下の一言からパーティーは始まった。
そして、トップバッターで陛下がセレナ様を引き連れて挨拶をしにきたのはーーー

「フォール公爵。今日はよくぞ来られた」
「お久しぶりです陛下。セレナ様も・・・おめでとうございます」

我がフォール公爵家だった。まあ、我が家はかなり上位の公爵家だから当然なのだが・・・そんな中で緊張しているローリエの頭を優しく撫でてから俺は二人にローリエを紹介した。

「こちらが私の愛娘ーーーローリエと申します」
「ろ、ろーりえ・ふぉーるです。このたびはおまねきいただきありがとうございます」

そう言ってから完璧に淑女の礼を取るローリエに俺は内心で盛大な拍手を送ってから陛下に視線を戻すとーーー何故か陛下は驚いたような表情を浮かべていた。

「どうかなされましたか?」
「いや・・・貴公があまりにも娘を見る目が優しいことに少し驚いてな。こう言ってはなんだが、貴公はあまり家族に関心を向けているようには思えなかったからな」

国王にすら不仲だと思われているカリスさんーーー悲しすぎるが事実なので仕方ない。俺は苦笑気味に言った。

「以前までの私でしたらそうでしょうね。ですが、私は今心から娘を愛しく思っておりますよ」
「そうか・・・まあ、貴公の娘なら私の娘とも仲良くできるだろう。よろしく頼むぞローリエ穣」
「は、はい・・・」

そう言ってから陛下とセレナ様は他の貴族へと挨拶に行ったが・・・セレナ様は一度こちらに近づいてくるとローリエを見て笑顔で言った。

「今度、一緒にお茶しましょうね。ローリエさん」
「は、はい・・・セレナ様」

思いの外フレンドリーな王女様に戸惑いながらもローリエはなんとか挨拶ができたようだった。セレナ様は一瞬俺を見て笑顔を浮かべてから陛下の元に戻っていった。

「ローリエ。よく頑張ったな」

二人が消えてから俺は小声でローリエを誉めてあげると、ローリエは緊張した様子で言った。

「わたし・・・ちゃんとあいさつできた?」
「ああ。もちろん。帰ったらご褒美に美味しいお菓子作ってあげるからな」
「・・・うん!」

嬉しそうに微笑むローリエ・・・うん、やっぱり家の娘には笑顔が似合うね!
天使のような微笑みを浮かべるローリエを見て俺は今すぐ可愛がりたい衝動にかられたが・・・他の家との挨拶がまだすんでいないことをなんとか思い出して踏みとどまった。

その後は特に大きなことは起こらず和やかにパーティーは進んでいったが・・・時々、セレナ様がこちらを見ていたような気がするのは俺の気のせいだろうか?
まあ、そんな疑問は後日解消されることになるのだが・・・この時の俺は、このパーティーの後にローリエに何を作ってあげるかを悩んでいたので、その疑問はあっさりと放置されて、ローリエのことだけを考えていたのは間違いないだろう。




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