悪役令嬢の父親に転生したので、妻と娘を溺愛します

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閑話 ローリエ・フォールのお父様への思い

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ローリエ・フォールにとって、家族というものはここ最近になるまでただの枠組みでしかなかった。自分を産んで、育ててくれている人達であり、それ以上に迷惑をかけてはいけないと、子供心に思っていた。

「いいですかローリエ様。あなたはフォール公爵家の長女・・・いつかはこの国の王妃にならねばならないのです」

何度も聞かされたその言葉。意味はよくわからないが、自分はとにかく頑張らねばならないことだけはわかった。
とはいえ、ローリエはどれだけ聡くともまだ子供・・・頑張っていても、それには限界がある。

心をすり減らして、寂しい思いをしながらも、来る日も来る日も耐えなくてはならない日々。そのことに疑問すら感じずにローリエはいつしかそれが当たり前だと思い目の前の出来事を受け入れるようになった。

ローリエは女の子というのを差し引いても特に成長が早い子供だった。貴族という、子供にとってはある意味劣悪な環境・・・特殊な状況でいながらも、早くから言葉を習い、知識を少しずつ仕入れていった。

どの教師もそれを誉めることはなく、公爵家の子供なら当たり前だとスルーしてローリエに厳しく指導をした。時代が時代なら虐待といわれかねない過酷な状況・・・人間というのは、不思議なもので、そういう急激な環境にも適応できるように、すぐに慣れてしまう。

特に酷かったのは礼儀作法の教師で・・・彼女はローリエを指導と称して虐めることを楽しんでいたようだった。無論、ローリエにはそこまでのことはわからなかったが・・・言われたこともまともに出来ない自分が悪いと、いつもそう思って、気持ちを隠すことにも、周囲にそれを悟らせないこともいつしか上手くなっていた。

そんなローリエに転機が訪れたのはローリエが4才になってから半年経ってからのこと・・・侍女の噂で、自分の父親が倒れたことを知った。とはいえ、ローリエには父親に会うという選択肢はまったく浮かばなかった。忙しい両親のことを多少なりとも心配にはなったが・・・自分が二人に好かれていないことは子供心ながらにわかっていた。

だからこそ、ここ最近になりローリエへのあたりが更に強くなった礼儀作法の教師に黙って従っているときーーー彼女は横から割って入ってきた人物の存在に驚いてしまった。

「おい・・・お前は家の娘に何をしているんだ!」

そう言ったのは彼女にとってはあまりにも接点が少なかった父親だった。父親はローリエへ体罰を与える教師を一喝すると、心配そうにローリエのことを見つめて言った。

「ローリエ・・・大丈夫か?」

初めて正面から見た父親の姿。その瞳ははっきりとローリエのことを見ており、表情は物凄く心配そうに・・・同時に、どこかなにかを堪えるような表情を浮かべていた。
呆然としながらもローリエは何故助けてくれたのか、何故今になってこんなことをしてくれるのか心底不思議で疑問を口にした。そんなローリエを抱き締めて父親は言った。

「すまないローリエ・・・私がお前のことをおざなりにしたからこんなに痛くて辛い思いをさせてしまって・・・」

優しく労るようにローリエを抱き締めてくれる父親。その温かさにのまれたからだろうか?ローリエは思わず口にしていた。

「わ、わたし・・・いらないって、いわれて・・・だめだって・・・それで・・・」
「そんなことはない。ローリエは必要だ。俺の大切な娘だよ。だからーーー今までごめん。これからはお前のことをしっかりと愛すると誓うよ」
「・・・!?お、おと・・・うさま・・・うぅ・・・」

優しく抱き締めてくれる父親。産まれてきて初めて感じる冷たい心を解してくれるような台詞にローリエは心底ほっとしてしまった。ローリエの冷めきった、壊れる寸前の心を芯から温かくしてくれる温もりを・・・ローリエは心底嬉しいと思った。

その後で泣きつかれて寝てしまってから、目が覚めて母親にも自分のことを必要だと言われて・・・ローリエは心底嬉しかった。

父親に何があったのかはわからないが・・・ローリエは、この日から心底、自分の父親のことを格好いいと思った。
壊れそうな自分を救ってくれた英雄・・・物語のヒーローのような父親。

ローリエにとって、おそらくこの日からおそらく、将来的に自分の異性の好みを聞かれたら、惑うことなく『父親のような格好よくて、優しい人』と答えるようになるぐらいに心が温かくなった。

この日から自分を救ってくれた格好よくて優しい父親がローリエは心底大好きになったのは言うまでもないだろう。

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