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32 関係の改善
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「おとうさま!」
母上との話を終えてローリエと父上がいる部屋へと戻ると、真っ先にローリエが俺に駆け寄ってきた。嬉しそうにニコニコしているローリエの頭を撫でて俺は言った。
「お祖父様とはゆっくり話をできたかい?」
「はい!」
「そうか・・・ならよかったよ」
見ている方まで幸せにするような愛娘の笑みに顔が緩くなりそうになるが、なんとか我慢する。なんだかここ最近になって、表情のコントロールが凄い上達した気がするよ。まあ、ローリエとサーシャ・・・愛しい二人に少しでも格好いいカリスさんを見せてあげたいという些細な見栄からそんなことばかり上達するんだけどね。
「父上。お待たせしました」
「あ、ああ。うむ」
ローリエを愛でてから父上に視線を向けるとやはりどこか慣れないのか戸惑ったような表情を浮かべる父上。まあ、カリスさんがこんなに真っ直ぐに視線を両親に向けること自体これまででは考えられないことだから仕方ないが・・・いい加減慣れて欲しいものだ。
その証拠に先ほどまで話していた母上はすでに順応したのか俺の様子を不振がることはせずに孫を可愛がっていた。
うん、まあ、母上はちょっと順応が早すぎる気がしなくもないが・・・やはり、こういう精神面では男よりも女の方がタフに出来ているのだろう。
その後でゆっくりと4人でお茶をしようと思ったが・・・生憎と俺は仕事が少しあったので、ローリエを二人に任せて一人寂しく仕事に戻っていた。
うぅ・・・今頃孫とゆっくりお茶を楽しんでいるであろう父上と母上を羨ましく思うが、まあ早く終わらせて合流すればいいだろうと気合いをいれて仕事に取り組んでいると不意にドアをノックする音と共に知っている声が聞こえてきた。
「カリス。今大丈夫か?」
「父上?どうぞ」
了承を得て入ってきたのは父上だった。今頃ローリエとお茶をしていると思っていたが・・・
「どうかなさいましたか?」
「あ、ああ・・・いやな・・・少しあの場にいずらくてな」
「あの場・・・ローリエと母上とのお茶ですか?」
「ああ。リシャーナがローリエを可愛がり過ぎて少しな・・・」
どうやら父上は母上が孫を溺愛する様子を見てなんとなくいずらくなったようだ。まあ、確かに客観的に溺愛する人を第三者視点から見ればなんとなく居心地が悪くなる気持ちはわからなくもない。
え?普段二人を溺愛している俺が言っても説得力ないって?
まあそれはほら・・・二人が可愛いから仕方ないでしょ。嫁と娘を可愛いがるのは夫と父親として当然だしね!
そんなことは口には出さずに俺は父上に苦笑気味に言った。
「まあ、母上がローリエをあそこまで可愛がるのは私としても想定外でした」
「リシャーナは子供が好きだからな」
「私にはあまり記憶にないのですが・・・父上にも二人きりのときはあれぐらいの愛情表現をするのですか?」
そう聞くと父上は少し気まずそうに言った。
「・・・あれでもまだ序の口だろう」
「なるほど・・・お二人の仲がよろしくて息子として嬉しい限りです」
なんとなく母上が父上と二人きりになると甘えた様子が見えた。これはきっと俺・・・というか、カリスさんは母親の血をそれなりに濃く継いでいるのだろうと思いそう言うと父上は驚いた表情を浮かべていた。
「どうかなさいましたか?」
「いや・・・本当に変わったな」
「そうですか?」
「ああ。なんというか・・・以前よりも柔らかくなったように思う。私とリシャーナへの態度もだが、全体的な意味でだ」
柔らかくか・・・まあ、つんけんしていた時期が長いカリスさんだからね。デレ期というやつでしょうか?オッサンのデレ期とか誰得だよとは思うが・・・まあ、中身が変わったから仕方ない。
「それに・・・てっきり私とリシャーナはお前に嫌われていると思っていたからな。そんな風に優しい表情を向けられるとは思わなかった」
「・・・お二人を嫌いになったことなどありませんよ」
まあ、確かにカリスさんは両親に対してもかなり尖って接していたが・・・心から嫌いではなかったようだ。接し方がわからないというか・・・今の目の前の父上のように不器用な方法での接し方しかできなかったのだろう。事実として父上のことをカリスさんは尊敬していたし、母上にしても産んでくれたことに感謝をしているようだったしね。
そんな俺の言葉に父上はどこか嬉しそうに表情を緩めて言った。
「そうか・・・仕事の邪魔をして悪かった。たまには親子で酒を呑みたいのだが・・・付き合ってくれるか?」
「もちろんです。ローリエのことをよろしくお願いします」
そう言ってから父上は部屋を出ていったが・・・その背中は少し嬉しそうに見えた。
母上との話を終えてローリエと父上がいる部屋へと戻ると、真っ先にローリエが俺に駆け寄ってきた。嬉しそうにニコニコしているローリエの頭を撫でて俺は言った。
「お祖父様とはゆっくり話をできたかい?」
「はい!」
「そうか・・・ならよかったよ」
見ている方まで幸せにするような愛娘の笑みに顔が緩くなりそうになるが、なんとか我慢する。なんだかここ最近になって、表情のコントロールが凄い上達した気がするよ。まあ、ローリエとサーシャ・・・愛しい二人に少しでも格好いいカリスさんを見せてあげたいという些細な見栄からそんなことばかり上達するんだけどね。
「父上。お待たせしました」
「あ、ああ。うむ」
ローリエを愛でてから父上に視線を向けるとやはりどこか慣れないのか戸惑ったような表情を浮かべる父上。まあ、カリスさんがこんなに真っ直ぐに視線を両親に向けること自体これまででは考えられないことだから仕方ないが・・・いい加減慣れて欲しいものだ。
その証拠に先ほどまで話していた母上はすでに順応したのか俺の様子を不振がることはせずに孫を可愛がっていた。
うん、まあ、母上はちょっと順応が早すぎる気がしなくもないが・・・やはり、こういう精神面では男よりも女の方がタフに出来ているのだろう。
その後でゆっくりと4人でお茶をしようと思ったが・・・生憎と俺は仕事が少しあったので、ローリエを二人に任せて一人寂しく仕事に戻っていた。
うぅ・・・今頃孫とゆっくりお茶を楽しんでいるであろう父上と母上を羨ましく思うが、まあ早く終わらせて合流すればいいだろうと気合いをいれて仕事に取り組んでいると不意にドアをノックする音と共に知っている声が聞こえてきた。
「カリス。今大丈夫か?」
「父上?どうぞ」
了承を得て入ってきたのは父上だった。今頃ローリエとお茶をしていると思っていたが・・・
「どうかなさいましたか?」
「あ、ああ・・・いやな・・・少しあの場にいずらくてな」
「あの場・・・ローリエと母上とのお茶ですか?」
「ああ。リシャーナがローリエを可愛がり過ぎて少しな・・・」
どうやら父上は母上が孫を溺愛する様子を見てなんとなくいずらくなったようだ。まあ、確かに客観的に溺愛する人を第三者視点から見ればなんとなく居心地が悪くなる気持ちはわからなくもない。
え?普段二人を溺愛している俺が言っても説得力ないって?
まあそれはほら・・・二人が可愛いから仕方ないでしょ。嫁と娘を可愛いがるのは夫と父親として当然だしね!
そんなことは口には出さずに俺は父上に苦笑気味に言った。
「まあ、母上がローリエをあそこまで可愛がるのは私としても想定外でした」
「リシャーナは子供が好きだからな」
「私にはあまり記憶にないのですが・・・父上にも二人きりのときはあれぐらいの愛情表現をするのですか?」
そう聞くと父上は少し気まずそうに言った。
「・・・あれでもまだ序の口だろう」
「なるほど・・・お二人の仲がよろしくて息子として嬉しい限りです」
なんとなく母上が父上と二人きりになると甘えた様子が見えた。これはきっと俺・・・というか、カリスさんは母親の血をそれなりに濃く継いでいるのだろうと思いそう言うと父上は驚いた表情を浮かべていた。
「どうかなさいましたか?」
「いや・・・本当に変わったな」
「そうですか?」
「ああ。なんというか・・・以前よりも柔らかくなったように思う。私とリシャーナへの態度もだが、全体的な意味でだ」
柔らかくか・・・まあ、つんけんしていた時期が長いカリスさんだからね。デレ期というやつでしょうか?オッサンのデレ期とか誰得だよとは思うが・・・まあ、中身が変わったから仕方ない。
「それに・・・てっきり私とリシャーナはお前に嫌われていると思っていたからな。そんな風に優しい表情を向けられるとは思わなかった」
「・・・お二人を嫌いになったことなどありませんよ」
まあ、確かにカリスさんは両親に対してもかなり尖って接していたが・・・心から嫌いではなかったようだ。接し方がわからないというか・・・今の目の前の父上のように不器用な方法での接し方しかできなかったのだろう。事実として父上のことをカリスさんは尊敬していたし、母上にしても産んでくれたことに感謝をしているようだったしね。
そんな俺の言葉に父上はどこか嬉しそうに表情を緩めて言った。
「そうか・・・仕事の邪魔をして悪かった。たまには親子で酒を呑みたいのだが・・・付き合ってくれるか?」
「もちろんです。ローリエのことをよろしくお願いします」
そう言ってから父上は部屋を出ていったが・・・その背中は少し嬉しそうに見えた。
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