悪役令嬢は溺愛される

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芽生えるのは家族愛?

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「アルトおにいさま」

父上からの使いがきたので食堂に向かっていた俺なのだが、突然トンという軽い衝撃とともに小さな手によって歩行を中断された。

みれば、可愛い妹であるフォルテが俺の足にしがみついてきていたので、俺はなんとなく衝動的に頭を撫でて言った。

「フォルテ。抱きつくのは構わないが、いきなりはやめてくれ。驚くだろう」
「・・・だめでした?」

淑女としてはあまり褒められるような行動ではないので頷きたいが・・・その妹の天然な行動に俺は少し考えてから優しく言った。

「あまり大勢のいるところでは褒められるようなことではないけど、私や家族なら多少は多目にみよう」

ポンポンと優しく頭を撫でる。なお、エミリーにするのとは違うあくまで家族として、一人の兄としての行動であることを先に述べておく。

というか、あれ?よく考えたら俺ってエミリーとよく触れあってはいるけど、あんまり頭は撫でていないような気がする。いや、なんかエミリーはサイズ的にも丁度いいから、どうしても抱き締めてしまうんだよね。

ふむ・・・やはり、今度からはそういう軽いスキンシップを交えて焦らしつつ愛でる方向性を模索したほうがいいのだろうか?

まあ、結局我慢出来ずに色々可愛いがっちゃう図が見えるけど・・・そこはほら、エミリーが可愛いから仕方ない。エミリーはやっぱり最高だぜ!

「おにいさま、なんかわらってる?」
「ん・・・いや、なんでもないさ」

顔に出ていたか?いや、でも感覚的にはいつものイケメンアルトさんに設定できているはずだし、多分フォルテの勘が鋭いだけだろうと思いたい。まあ、人外執事とイケメン親友にも時々見抜かれるが・・・あれは油断していたからだし、普段はイケメンアルトさんでいられるはずだ。うん。

「とりあえず・・・いこうか」

フォルテの手を繋いで歩き出す。フォルテの歩みにあわせて歩くが・・・フォルテは心なしかご機嫌な様子で俺の手を握っていたので、なんとなく和んだ。

いや、にしても・・・たった半日でここまでなつかれるのは想定外だが・・・お兄ちゃん変な男に引っ掛からないか少し心配だよ。

エミリーみたいに立派な淑女&可愛い乙女に育つことを願っております。まあ、相手が俺みたいにベタベタ甘々な相手とは限らないが、最低限フォルテを愛してくれるならいいだろう。

などと、過保護な兄の心境が芽生えつつも俺はフォルテと二人で改めて食堂に向かったのだった。


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