悪役令嬢は溺愛される

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閑話 心のありか(エミリー)

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私・・・エミリー・キャロラインは今とんでもない状況にいます。
それは・・・

「エミリー。眠れそうかい?」
「は、はい!だ、大丈夫でしゅ!」

目の前から聞こえてくるアルト様の声に私は思わず動揺して、その結果噛んでしまいました。
そう、私は今・・・アルト様と同じベッドに寝ているのです!
さっきからドキドキが止まらなくて眠れそうにありません・・・
しかも・・・

「そっか・・・ねえ、眠るまで手を握っててもいいかな?」
「は、はい!」

アルト様は私の心を見透かしてるかのように頬笑みながらそんなことを言ってくるのです。
同じベッドで、いつも以上に近い距離にいるアルト様・・・私はそのアルト様の顔をもっとよく見たいという願望と、恥ずかしくてまともに見られないという羞恥との瀬戸際で悩んでいました。
しかも、繋いだ手から伝わってくるアルト様の体温がさらに私の心をかき回して・・・私の緊張はさらに高まります。

「エミリー。」
「ひゃ、ひゃい!」

もはや、呂律が回りません。
そんな私を愛おしそうにみつめるアルト様は空いてる手を私の頬にあてて頬笑みました。

「緊張してるよね?実は私もなんだ。」
「えっ・・・あ、アルト様もですか?」
「意外に思えたかな?」

正直意外でした。
でも、それ以上に・・・

「うれしい・・・です・・・」
「うん?」
「あ、その・・・私のことを意識して下さったと・・・その、思うと・・・」

ぽつりと溢した言葉。
昔からあまり、アルト様には女性として見られている気がしませんでした。
アルト様の私に抱いてた思いはきっと、将来の妃くらいなものだろうと・・・
でも・・・

「もちろんだよ。エミリーは最高の私の婚約者だ。」

アルト様は一瞬何かに耐えるように目をつむったあとにいつもの頬笑みでそう言いました。
その台詞は私の心を溶かしてくれて・・・
本当にアルト様が無事でよかったと思いました。

私は、今日の朝に何者かに毒殺されそうになりました。
それを、未然に察知したらしいアルト様が私のところに急いできてくれて、そして、私を助けてくれました。
でも、その変わりに毒の入ったスープを飲んだアルト様は倒れてしまいました。
私は、アルト様に付き添いながらずっと祈りました。
神様なんて信じてませんでしたが、今だけは・・・どうか・・・アルト様だけは助けてくださいと。

アルト様は夕刻ごろに目を覚まされました。
安心してしまった私は思わずアルト様の前で泣いてしまって・・・思い出すと少し恥ずかしいです。
しかも、その前は寝顔まで見られてしまって・・・アルト様に「可愛い寝顔だったよ。」と言われた時は顔から火が出るくらいに恥ずかしかったです。
でも、本当にアルト様が生きていてよかったです。

隣にいるアルト様の温もりが愛おしくて・・・その温もりに照れを感じつつも安心できると思ってしまうのは、贅沢でしょうか?
でも・・・

「アルト様。」
「うん?何?」
「その・・・もう少し近づいても・・・いいですか・・・」

私は求めてしまいました。
少し怖かったです。拒絶されたらどうしようと。でも、アルト様は優しく笑って私を抱き寄せました。
私はその温もりを感じながら眠りにつきます。

大好き・・・いえ・・・
愛してます。アルト様。
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