悪役令嬢は溺愛される

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《教師ベンツ》圧倒的な敗北の果てに・・・

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「俺がクビだと?そういうことですか?」

学園長室でこの学園の教師であり・・・ジェシカの取り巻きのベンツは怒りの視線を学園長へと向けていた。

「端的に言えばそうだな。」

そんなベンツの視線を受けても気にせずそう言い切ったのは、この学園の学園長であり・・・ベンツの祖父でもある、マクロネス学園長だ。

マクロネスの言葉にベンツは苛立った口調を隠さずに聞いた。

「理由はなんですか?俺は仕事はちゃんとやってたでしょうに。」

「ほほ、そうだな。仕事以外・・・・のことも熱心にしていたようだが。」

皮肉げにそう返したマクロネスにベンツはドキリとしつつも、「はん!」とバカにしたように鼻を鳴らしてから、教師としての顔を捨てて素に戻って言った。

「だからなんだってんだよ?今さら俺を首にしてじいさんは家の評判を落とそうとしてんのか?」

「そうしたくはなかったがな・・・」

そう言ってマクロネスは1枚の紙をベンツに渡す。
その紙に視線を落としてから・・・ベンツは凍りついた。

そこには、今までベンツが行ってきた横領に関するものや・・・女子生徒への不埒な行いに関するもの・・・さらに、これらを目撃、あるいは被害にあった生徒からの訴えと家族からの学園への責任の問題などを問い詰める内容の書類であった。

「これをどこで・・・!」

ギリッと歯を食い縛るベンツにマクロネスは嘆息して言った。

「とある善意ある方からの情報だよ。全く・・・初孫だからと甘く育てたツケが回ってくるとは・・・」

「冗談じゃねぇ!俺は・・・」

「そうそう・・・お前にその方から伝言がある。『お前の雇った暗殺者をこちらが買収した。私の大切なものを害そうと企んだことを悔いるがいい』・・・だそうだ。」

「なっ・・・・馬鹿な!?」 

そう・・・ベンツは確かに暗殺者を雇った。
目的は・・・ジェシカに取って邪魔なエミリーと自身に取って目障りなアルトを排除するため。

それは他のメンバーには内緒にしていたが・・・キングなど、他のメンバーも何かしらの動きを見せていたので、誰よりも慎重に他のメンバーが失敗した後に自身のジェシカからの好感を上げるために、密かに雇った暗殺者のはず・・・まだ、暗殺の日程には早いし、雇ったルートもかなり裏のルートだからバレているはずなどないのに・・・!?

そんな内心を見透かしているかのようにマクロネスは心底・・・失望した表情を孫に向けた。

「本来ならクビだけでは足りないが、善意ある方からクビと家からの離縁だけでいいと言われてな・・・被害者へのケアもそちらで行ってくれるそうだ。ただ、今ある財産などは全て没収するがな。」

「そ、そんな・・・!?」

「昔お前には教えただろう?目的のために汚ないことをすることも時には必要・・・だが、決して危ない橋は渡るなと。お前は触れてはいけない箱を開けてしまったのだよ。」

マクロネスはそう言って孫から視線をはずして仕事に戻る。

「じ、じいさん!おれは・・・」

すがるような瞳を見せるベンツだが・・・そんなベンツを一瞥してからマクロネスは冷ややかに告げた。

「もう、お前の祖父ではないわ。早く出ていけ」

「そ、そんな・・・」

ベンツはその言葉に力なく地面に座り込んだ。
全てを奪われた上に、自身の命を自身が雇った暗殺者により奪われる運命・・・ベンツはうつろな表情で、後悔した。

あぁ、自分はどうしてこんなとこに・・・

こうして、彼の策略は・・・始まる前に終わってしまったのだった。

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