仰ぐ人

花乃

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笑顔の日々

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チューリップが咲いた。商店街にある花屋。
「ピンクのチューリップがあったら買いたい」
わたしはチューリップが買いたくなる。「店にあるから待ってな」
お店の人が向こうまで、懸命にチューリップを持って来てくれた。瑞々しい色は春の色合い。
「5本ください」
わたしの家族は5人。お父さん、お母さん、お兄ちゃん、わたしの5人だから五本。家族の人数分、花を飾りたかった。
「お嬢ちゃん選びな」
お店の人は素っ気ないことばで選ばせてくれた。チューリップは、全部ピンクにした。2本は咲いているチューリップ。3本はツボミを選んだ。考えは、飾ることばかりになった。
「キッチンに飾ろう」
「きっと母さんが喜ぶな」
「お兄ちゃん」
スマホを片手にお兄ちゃんが待っていた。まだ時間より早いのにお兄ちゃんに花を買うところを見つかった。
わたしは今までお母さんが花を買ったことにしていた。
森恵もりえ母さんが喜ぶな」
「お、お母さんに頼まれてたんだよ」
わたしはあわてて嘘をついた。チューリップが欲しかったなんて恥ずかしかった。
「よし、わかった。兄ちゃんも買ってく、居間に飾ろう」
わたしは、白いチューリップを指さした。
キッチンにはピンクのチューリップ。居間には白いチューリップ。並んで咲いている。ツボミが咲く。咲くまで待っていよう。兄と春を待とう。チューリップは、春の色合いだから。
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