風華風唱-400年経った世界は残酷で優しかった

Aime

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第日本帝国ー首都東京。


高層ビルやコンクリートばかりな首都の中で、自然に囲まれた場所がいくつかある。


王宮、議事堂、公園、そして風華組。


風華組。


それは暗殺から護衛、情報収集まで依頼されたら必ずこなすと言われている世界規模の裏の組織だが、主な仕事は、’アヤカシ’と戦う戦闘集団だ。


その歴史は長く、4大部族戦争後すぐに設立され、200年もの間人々を守り続けている。


市民警察のアヤカシ専門部署も討伐を行なっているが、手に負えないアヤカシは風華組が警察からの依頼で対応している。


風華組は理由は不明だが、国からの依頼は一切受け付けないと裏の世界では有名な話になっている。


この風華組は現在第5代族長が指揮をとり、ナンバーズ・幹部・支部長・組員に分けられている。


ナンバーズは風華組の中で最も強い者が選ばれ、彼等は危険な討伐や暗殺、潜入捜査に駆り出される。


ナンバーズは全部で8人。


数字が若いほど強いと言われている。





その風華組が所有する土地の一部に建てられた大きな純和風の家の前に一台の黒い車が止まった。

運転手が後ろのドアを開けると、黒いローブに身を包んだ人がそっと降り立った。


「戻ってきたか…」


テノールより少し高めの声と背格好から、少年と判断できる。


門の標識には’志野家、蓮流家元’の文字と家紋らしき蓮の花が飾られている。


志野家は風華組の表の名だ。


少年は志野家の門を通り抜け、そのまま扉をあけようとしたが、ひと足早く扉が開き中から男が出てきた。


「ぁあん?誰だテメェ、ここは風華組本部ってわかっているんだろうな?」


どすの効いた声で少年を睨む男。


「…」


何も言わない少年を見て、男はしびれを切らしたのか、怒りをあらわにする。


「テメェ!!何か言え!!」


「………が……」


掴みかかろうとする男の腕を軽く払うと、少年は小さく呟いた。


「ぁあ?」


「風華組本部ということは知っているが、この屋敷は、表向きは華道の家ということを忘れていないか?」


そう、風華組は表の世界で有名な華流と呼ばれる日本舞踊を極めた家となっている。


表は日本舞踊、裏はアヤカシ殲滅組織と二つの顔を持っている一族である。


そんな風華組の規則には、風華組とわからないように、任務時以外は和装かスーツを着ることがある。

黒いローブの下にカジュアルスーツを着た少年とは対象に、男はド派手な赤いダボダボのシャツとサルエルパンツという規則に反した服装をしていた。


冷静な少年の言葉に、カッと頭に血をのぼらせた男は少年に殴りかかってきた。


「っつ…それがどうしたっていうんだ!!」


「だから……」


少年は、冷やかに観察をしていたが男が少年に触れる前に男の腕を掴み、勢いを利用して投げる。


ズダァン!


「がはっ…」


突然の行動に男はなす術もなく地面に転がった。


「ここではその格好は違反だ。
それに、風華組に入ったからといって威張るな。下っ端風情が。」


男を軽蔑した冷ややかな視線を投げると、はき捨てるように少年は男に言う。


「ひっ!!」


その殺気のこもった視線を浴びて男は、惨めに身をすくめる。


「何ごとだ!!」


騒ぎの音を聞きつけたのか、中から身なりの良いスーツを着た者たちがやってきた。


胸元には蓮のバッチ。

風華組の幹部の証だ。
幹部クラスの中に見知った顔を見つけて、声をかけようとした少年だが、一足早く男が髪をオールバックにまとめあげた長身の男性に近寄る。


「あっ、北悠さん!!こいつが・・・」


男は長身の男性に助けを求めるようにすがりつく。


「お前、また規則破って!何度言ったら分かるんだ!・・・ん?・・・!!
姫、姫ではありませんか!半年ぶりですね、おかえりなさいませ。」


北悠と呼ばれた男性はすがりついてくる男の服装を一瞥し、眉を吊り上げたが、少年の存在に気づき驚いた声をあげた。


他の幹部たちも少年に気づき、跪いている。


「・・・ただいま。」


挨拶代わりに片手を挙げ、淡々と話す姫と呼ばれた少年の口調から先ほどの冷たさが無くなっている。


「はい、お帰りなさい。幹部一同姫のお帰りを心よりお待ちしておりました。」


北悠はすがりついてくる男を振り払いながら、少年に頬笑みかける。


「ん。」


二人の楽しそうな?―周りからは少年が淡々と話しているとしか見えないからだ―会話を聞いて、少年の正体に気づかない男は北悠に話かける。


「北悠さん、こいつは?」


少年をこいつと呼んだ瞬間、他の幹部の空気が変わる中、北悠は男を鋭い視線で射抜く。


「この馬鹿か!!この方をこいつ呼ばわりするとは、言語道断!!姫は「姫いうな。…疲れたから部屋いく。湯殿の用意をしておいて。」」


北悠の言葉を被せるように、男に興味を失った少年はさっと中に入っていく。


「かしこまりました、姫。」


「言うに事欠いて、姫いうな。」


姫と呼ばれた少年は、振り返らずに行ってしまった。


北悠は少年の姿が見えなくなると、男を一瞥し命じた。


「お前は破門する。規則を破った罰だ。」


他の幹部によって門の外へ放り出された男。


「そ、そんな…北悠さん!!」


地面に転がった男は、また北悠にすがりつこうとするが、北悠は冷たい目で振り払い男に言う。


「今回だけでなく、ヤクの売買、一般市民への暴行、幾つもの規則をお前は破っているな?
ましては、姫のお姿も覚えられない奴は用も無い。
組長には俺がお伝えするから、お前は二度とここに顔を出すな。」


北悠は叫ぶ男を無視して少年の後を追った。

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