風華風唱-400年経った世界は残酷で優しかった

Aime

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1章

11.

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「体育館…なのか?」


俺はバカデかい体育館に来て思わず淡々とつぶやいていた。


以前任務で潜入した、オペラハウスを思わせる内装。


寮もそうだが、たかが学院風情が持つ規模じゃないだろう。


それを聞きとめた光がクスクスわらって答えてくれた。


「この学院は小、中、高一環だから全生徒が入れるように作ってあるの。
元々とあるオペラ好きの領主の邸宅だった土地を今の理事長が買い取ったんだってさ。
建て直すのも大変だったみたいだからそのまま使っているらしいよ。
式典とかはすべてここでするんだ。
ここは講堂って呼んでいて、体を動かす場所は別にあるよ。」


「へぇ~」


中をよく見ると、2、3階まで席があり、在校生らしき人がちらほらと見えた。


「そういえば、唯都どこの科なの?」


「俺も気になってた!昨日の食堂の時の殺っ……何かやっていたのか?」


昨日の食堂で俺に言われたことを思い出した義樹は、殺気といいそうになったが言葉を飲みこんだ。


「今の所は攻撃科かな。
少したしなむ程度に武術はやっていたからね。
・・・本当は普通科がよかったけど、今後を考えると普通科は無理かな。それに・・・」


「それに?」


「昨日俺の殺気に気付いた奴らに攻撃科に移らされるのは、面倒だからそのままいるよ。
よろしく、義樹。」


「あぁ!!・・・奴らって、五井先輩と飯山先輩のことか?」


「ちがうよ。食堂の時、別の視線を感じたからね。」


あの時、俺の殺気に気付いたのは二人。義樹を含めると三人か。


「すごいね、唯都!!本当にたしなむ程度だったの?」


たしなむ程度と言った俺に不思議そうに聞いてくる光。


「ホントだよ。」


にこりと笑い、これ以上聞くなと言う意味をこめた目をすると、光も察したのか口をつぐんだ。






俺たちの微妙な空気を察したかのように、アナウンスが流れる。


「ただいまより、第〇回入学式を………」


始まって色んな人達から挨拶がある。


校長から理事長、各担当の先生の挨拶等、眠くなりそうな話を聞く。


最後に、生徒会が登場するとそれまで静かだった生徒が騒がしくなる。


「きゃぁぁぁあ!!」


「会長抱いてくださいぃぃぃ~!!」


これも男子校ならでは、ってやつか?声のトーンが女子並みだ。


正直うるさい。


「静かに。この度は………」


低いよく通る声で、生徒会長が今後のことなどを述べる。


聴いていてもつまらないから聞き流していると、ザワリッと空気が変わったのがわかった。


この胸のざわめきはいつも任務で感じているものだから俺は何も焦らない。


アヤカシが出現する前に感じるもので、俺は人一倍敏感に感じることができる。


きょろきょろと見回し、ナナとロウを探す。


いた……


在校生に混じっている2人を見つけた。


食堂で使った特殊な話法は相手が近い所にいるときか、向き合っている時しか使えない。


耳に仕込んでいた特殊な通信機を使って、トントンっとモールス信号で二人に呼び掛ける。


【アヤカシの気配。こちらを向かず、返答。】


小さく声を送ると一瞬遅く二人が反応した。


【そなたらから見て11時の方向、理事長付近。出現は1分後。実力は隠しているか?】


【元素の能力以外と、実力の50割はだしてます。】


【ならば、そなたらで対応せよ。】


【【御意。】】


【では、くれぐれもしくじるな。】


と言ったと同士に正面で巨大な爆発音が聞こえた。


「きゃあああ!!!」


「な、何がおこったんだ!」


爆発音は理事長の真横でおきた。


俺は爆発を利用し、能力を使い理事長を避難させた。


『静かに!!皆、担任に従って避難を。
生徒会、風紀委員、残りの先生方は戦闘体制に!!』


アヤカシには六つのレベルがある。


まずは幼生体。

アヤカシには色々な種類があるが、その中で一番小さく弱い。

出現する数が多いのは奴等だ。

この学院の生徒なら倒すことができるだろう。

次に青年体。

これは幼生体が脱皮を繰り返し大きくなった。

力も倍増されており、一般の私立警察の者達なら倒せるだろう。

そして、成体。

青年体とは大きさが変わらないものもあるが、前とは比べほどがないくらい強い。

これを倒せるのは戦闘訓練を受けたプロ集団、警察のアヤカシ専門部隊の実力がないと倒せない。

次は老生体。

これは成体が少しの期間眠りについてから脱皮したものだ。

成体よりもさらに強く、知性も見につけている。

次は鬼、これはナンバーズ-風華組のナンバーをもつ俺以外のやつらが二人以上で挑み、倒すことができる。

そして最後に狂乱。

滅多に出現はしないが、ナンバーズが全員でかからないと倒せない。

主に風華組は老生体以上のアヤカシを専門とする組織だ。

アヤカシ専門部隊にも老生体を倒せる人はいるが、出現する数は成体よりも少ないので風華組が受け持っている。

奴らの見分け方は色々と方法があるが、見て分かるのは目の鮮やかさだろう。

今出現したアヤカシは赤黒い。

見た目からして老生体。

いくら老生体とはいえ、いつもの実力を隠しているナナとロウには無理だろう。

俺の正体がばれてしまうことは避けたい、さてどうするか。

考えながらも俺は義樹と光に連れられ教室に戻ってきた。

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