9 / 11
8話
しおりを挟む
やっとのことでひと段落がついたこの騒ぎも、ついに終盤ですわね。
せっかくのレオンハルト様の誕生日なのに、こんなことになったのは同情しますが、おかげでやっとお姉様も自分のやってきたことの重大さをわかってもらえましたわね。
後のことはお父様達に任せましょう。
そう思いながら、グレン様の傍を離れ、スッとお母様の隣に立つと、なぜか悲しそうな顔をして私のことを見てきましたわ。
私のことを散々蔑ろにしておいて、本当に今更過ぎますわね。
そう思っていると、陛下が
「今日はレオンハルトの為に集まってくれたのに、このようなことになって申し訳ない。それと、儂の判断が遅かったせいで子息令嬢たちには大変迷惑をかけただろう。重ねて謝罪する」
と言って、今までこの騒ぎを見ていた貴族たちに頭を下げました。
陛下が貴族たちに頭を下げるなんて滅多にないことですわ。
しかも、陛下はむしろ被害者の方ですのに頭を下げるなんて.......。
これには流石の貴族たちもオロオロと戸惑っていますわね。
そう思いながら周りを見渡していると、
「そして、皆も気になっているだろう。レオンハルトの婚約者についてだ」
と陛下が話し始めました。
するとやっと黙ったと思っていたお姉様は
「ま、まだ婚約者は私よ!」
そう言って凄い形相をして陛下を睨みつけています。
陛下を睨みつけるような人が王妃、ということ自体無理な話ですわよね。
まぁ、お姉様の場合は、そんなことをしなくても王妃になれなかった残念な人ですけど。
なんて思っていると、
「そこの煩い奴は捕らえておけ」
という陛下の言葉でお姉様、それからグレン様までもが猿轡を噛まされ、両脇を兵士たちに捕らえられましたわ。
うーん......この状況、お姉様にとって物凄く屈辱でしょう。
ですが自分で蒔いた種ですわ。
グレン様はもう諦めたのかされるがまま、という様子ですがお姉様は必死に抵抗していますわね。
男性の力にかなう訳もなく、容易く捕まったのは言うまでもありませんわ。
そう思いながらお姉様を見ていると
「ユースティア嬢がレオンハルトの婚約者となる。意義がなければ拍手してくれ」
という声が聞こえてきました。
驚いて反射的に
「え?いや、ちょ、ちょっと待ってください!」
と言ってしまいましたわ。
だって、おかしいじゃないですか。
実の姉があのようなことをして、次は妹の私だなんて。
確かにレオンハルト様とはお姉様のことについて話す機会が多かったですし、たまに真剣な話をするときはありましたわよ?
政治的な話もあれば、令嬢たちのお茶会事情、隣国の流行なども話しましたし、今回の件でレオンハルト様の婚約者を誰にするか、という話をしていたのも知っています。
ですが、流石に私がレオンハルト様の婚約者、というのは違うような気がしてなりませんわ。
そう思った私は
「お姉様があのようなことをしたのに、私がレオンハルト様の婚約者だなんておかしいですわ。それに我が家に何かしらの処罰があっておかしくないと思っていましたし.........」
と近付いてきたレオンハルト様にそう言うと、静かに首を横に振りながら
「いや、なにもおかしくないよ」
そう言って微笑みました。
そして
「だって君は常に手本になるような行動をしていた。それに僕の意志でもある」
と言いながら私の手を取りました。
これは.....なんでしょう?
皆に注目されているから、というのもありますが、凄く恥ずかしいですわ。
絶対今の私は顔が真っ赤になっています。
そんな顔を隠すように下を向きながら
「で、でも今から王妃教育なんて遅すぎますわ」
と何とか、否定しようと思ったんですが、
「その件は大丈夫だ」
そう言ったお父様の言葉に思わず首を傾げていると
「王妃様に言われて2年前からユースティアの勉強内容は王妃教育のものと同じにしてあるわ」
というお母様の説明で、恥ずかしい、と思っていたはずの感情はどこかに行って、驚きしかありませんよ。
確かに、いつだったかは忘れましたが勉強の難易度が上がった、とは思っていましたが、まさか王妃教育の内容だったなんて........。
てっきり家を継ぐことになるので今から備えておけ、ということだと思っていましたわ。
せっかくのレオンハルト様の誕生日なのに、こんなことになったのは同情しますが、おかげでやっとお姉様も自分のやってきたことの重大さをわかってもらえましたわね。
後のことはお父様達に任せましょう。
そう思いながら、グレン様の傍を離れ、スッとお母様の隣に立つと、なぜか悲しそうな顔をして私のことを見てきましたわ。
私のことを散々蔑ろにしておいて、本当に今更過ぎますわね。
そう思っていると、陛下が
「今日はレオンハルトの為に集まってくれたのに、このようなことになって申し訳ない。それと、儂の判断が遅かったせいで子息令嬢たちには大変迷惑をかけただろう。重ねて謝罪する」
と言って、今までこの騒ぎを見ていた貴族たちに頭を下げました。
陛下が貴族たちに頭を下げるなんて滅多にないことですわ。
しかも、陛下はむしろ被害者の方ですのに頭を下げるなんて.......。
これには流石の貴族たちもオロオロと戸惑っていますわね。
そう思いながら周りを見渡していると、
「そして、皆も気になっているだろう。レオンハルトの婚約者についてだ」
と陛下が話し始めました。
するとやっと黙ったと思っていたお姉様は
「ま、まだ婚約者は私よ!」
そう言って凄い形相をして陛下を睨みつけています。
陛下を睨みつけるような人が王妃、ということ自体無理な話ですわよね。
まぁ、お姉様の場合は、そんなことをしなくても王妃になれなかった残念な人ですけど。
なんて思っていると、
「そこの煩い奴は捕らえておけ」
という陛下の言葉でお姉様、それからグレン様までもが猿轡を噛まされ、両脇を兵士たちに捕らえられましたわ。
うーん......この状況、お姉様にとって物凄く屈辱でしょう。
ですが自分で蒔いた種ですわ。
グレン様はもう諦めたのかされるがまま、という様子ですがお姉様は必死に抵抗していますわね。
男性の力にかなう訳もなく、容易く捕まったのは言うまでもありませんわ。
そう思いながらお姉様を見ていると
「ユースティア嬢がレオンハルトの婚約者となる。意義がなければ拍手してくれ」
という声が聞こえてきました。
驚いて反射的に
「え?いや、ちょ、ちょっと待ってください!」
と言ってしまいましたわ。
だって、おかしいじゃないですか。
実の姉があのようなことをして、次は妹の私だなんて。
確かにレオンハルト様とはお姉様のことについて話す機会が多かったですし、たまに真剣な話をするときはありましたわよ?
政治的な話もあれば、令嬢たちのお茶会事情、隣国の流行なども話しましたし、今回の件でレオンハルト様の婚約者を誰にするか、という話をしていたのも知っています。
ですが、流石に私がレオンハルト様の婚約者、というのは違うような気がしてなりませんわ。
そう思った私は
「お姉様があのようなことをしたのに、私がレオンハルト様の婚約者だなんておかしいですわ。それに我が家に何かしらの処罰があっておかしくないと思っていましたし.........」
と近付いてきたレオンハルト様にそう言うと、静かに首を横に振りながら
「いや、なにもおかしくないよ」
そう言って微笑みました。
そして
「だって君は常に手本になるような行動をしていた。それに僕の意志でもある」
と言いながら私の手を取りました。
これは.....なんでしょう?
皆に注目されているから、というのもありますが、凄く恥ずかしいですわ。
絶対今の私は顔が真っ赤になっています。
そんな顔を隠すように下を向きながら
「で、でも今から王妃教育なんて遅すぎますわ」
と何とか、否定しようと思ったんですが、
「その件は大丈夫だ」
そう言ったお父様の言葉に思わず首を傾げていると
「王妃様に言われて2年前からユースティアの勉強内容は王妃教育のものと同じにしてあるわ」
というお母様の説明で、恥ずかしい、と思っていたはずの感情はどこかに行って、驚きしかありませんよ。
確かに、いつだったかは忘れましたが勉強の難易度が上がった、とは思っていましたが、まさか王妃教育の内容だったなんて........。
てっきり家を継ぐことになるので今から備えておけ、ということだと思っていましたわ。
171
あなたにおすすめの小説
【完結】元お義父様が謝りに来ました。 「婚約破棄にした息子を許して欲しい」って…。
BBやっこ
恋愛
婚約はお父様の親友同士の約束だった。
だから、生まれた時から婚約者だったし。成長を共にしたようなもの。仲もほどほどに良かった。そんな私達も学園に入学して、色んな人と交流する中。彼は変わったわ。
女学生と腕を組んでいたという、噂とか。婚約破棄、婚約者はにないと言っている。噂よね?
けど、噂が本当ではなくても、真にうけて行動する人もいる。やり方は選べた筈なのに。
【完結】何やってるんですか!って婚約者と過ごしているだけですが。どなたですか?
BBやっこ
恋愛
学園生活において勉学は大事だ。ここは女神を奉る神学校であるからして、風紀が乱れる事は厳しい。
しかし、貴族の学園での過ごし方とは。婚約相手を探し、親交を深める時期でもある。
私は婚約者とは1学年上であり、学科も異なる。会える時間が限定されているのは寂しが。
その分甘えると思えば、それも学園生活の醍醐味。
そう、女神様を敬っているけど、信仰を深めるために学園で過ごしているわけではないのよ?
そこに聖女科の女子学生が。知らない子、よね?
幼馴染、幼馴染、そんなに彼女のことが大切ですか。――いいでしょう、ならば、婚約破棄をしましょう。~病弱な幼馴染の彼女は、実は……~
銀灰
恋愛
テリシアの婚約者セシルは、病弱だという幼馴染にばかりかまけていた。
自身で稼ぐこともせず、幼馴染を庇護するため、テシリアに金を無心する毎日を送るセシル。
そんな関係に限界を感じ、テリシアはセシルに婚約破棄を突き付けた。
テリシアに見捨てられたセシルは、てっきりその幼馴染と添い遂げると思われたが――。
その幼馴染は、道化のようなとんでもない秘密を抱えていた!?
はたして、物語の結末は――?
【完結】その巻き付いている女を、おとりあそばしたら?
BBやっこ
恋愛
文句ばかり言う女
それを言わせている理由まで、考えがいたらなお残念な男。
私の婚約者とは情けない。幼少期から今まで、この男の母上と父上は良い人で尊敬できるのに。
とうとう、私はこの男の改革を諦めた。
そのぶら下げたものをどうにかしたら?と言ってやった。
私が死んだあとの世界で
もちもち太郎
恋愛
婚約破棄をされ断罪された公爵令嬢のマリーが死んだ。
初めはみんな喜んでいたが、時が経つにつれマリーの重要さに気づいて後悔する。
だが、もう遅い。なんてったって、私を断罪したのはあなた達なのですから。
【完結・7話】召喚命令があったので、ちょっと出て失踪しました。妹に命令される人生は終わり。
BBやっこ
恋愛
タブロッセ伯爵家でユイスティーナは、奥様とお嬢様の言いなり。その通り。姉でありながら母は使用人の仕事をしていたために、「言うことを聞くように」と幼い私に約束させました。
しかしそれは、伯爵家が傾く前のこと。格式も高く矜持もあった家が、機能しなくなっていく様をみていた古参組の使用人は嘆いています。そんな使用人達に教育された私は、別の屋敷で過ごし働いていましたが15歳になりました。そろそろ伯爵家を出ますね。
その矢先に、残念な妹が伯爵様の指示で訪れました。どうしたのでしょうねえ。
【完結】あら、まだ離婚していなかったのですか?って妹が言ってますが長い婚約中の原因でした。
BBやっこ
恋愛
エレナは長い間、婚約者と婚約状態であった。その元凶は妹らしい。両親は妹を可哀想だと甘やかしている。そして、私に結婚の先延ばしをさせてきた。
それを好機と見て、婚約者に色目を使うわ。私の物を盗るわで付き合ってられない。怒ると幸せを分けてくれるくらい良いでしょ!幸せなんだからっと怒り出す。
妹のイーナを近づかせると彼が危険。
もう実家には頼れない!
私はお義母様に相談をしに婚家へ、それが作戦の始まりだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる