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23話

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気を取り直して、

「それで、今回は今までのようにはならない、というのもエマが言っていたんですか?」

と尋ねるとセルドリック様は静かに頷きました。

「エマは俺の夢の中に入ってきて、リナリー嬢が魅了を使っていたことを教えてくれた」

セルドリック様の夢の中に...?

エマは一体何者なのでしょう?

それに

「魅了......一体どうやって...?」

魅了、洗脳の類は禁術として知られています。

はるか昔、魅了を使って国を乗っ取ろうとした一家があったみたいで、その人達は全員滅んだと聞いていますわ。

つまり、この国に魅了をどうやって使うのか知っている人は居ないはず。

それなのに、一体どうやって魅了を...?

「それはわからない。そのうちわかる、とだけ言っていた」

そのうち...ですか。

出来ることなら今すぐにでも教えて欲しいんですが、エマが言うなら仕方ありませんわ。

今の話を聞いた限り、エマは私が転生していることを知っていると思っていいでしょう。

私とリナリーさんと同じ、記憶を持ったまま転生しているのか、又は別の何かはわかりませんが。

今までのセルドリック様達はリナリーさんの魅了にかかっていたから、あのような愚かな行動をしていた、と聞いたら何となく納得です。

でも、エマが言ったとはいえ本当に今回は大丈夫なんでしょうか?

エマのことを信用していない訳じゃありません。

でも、今までのことが重なって、素直に安心することができない自分がいるんです。

そう思っていると、不安なのが顔に出てしまっていたのか

「リナリー嬢のことは俺が必ずどうにかする」

セルドリック様はそう言って力強く頷きました。

......信じていいんでしょうか?

信じたい、という思いと裏切られる不安でなかなか頷かない私に

「それとも俺の婚約者でいる事が嫌になってしまったか?」

悲しそうな顔をしてセルドリック様が聞いてきました。

なので咄嗟に

「そんなことありませんわ!」

と少し声を荒らげてしまいました。

焦って強めに言ってしまいましたわ。

でも、婚約破棄したくないのは本当です。

......私はセルドリック様のことを好きなんでしょうか?

そう考えると少し恥ずかしいですわ。

そんなことを考えた私が悪いんですけど、顔が暑くなっていくのがわかります。

「じゃあ、もし俺がエリザベスとの約束を破ることがあったら、俺は王族から籍を抹消してもらう」

これには流石に驚きました。

だって、私との約束だけで、そんなことを言うなんて.........。

何も言葉が出なくて、黙っていると

「それくらい本気、ってことだよ?なんなら誓約書も書いてもいい」

と言ったセルドリック様の目は本気で、疑っていた自分が恥ずかしくなるくらいでした。

「.........わかりました。セルドリック様を信じます」

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