25 / 36
24話 セルドリックside
しおりを挟む俺がやるべきこと、それはエリザベスの脅威となっているリナリー嬢を排除することだ。
そう考えた俺は、早速父上の元に向かった。
今は多分、執務室で仕事をしている最中だろうか?
そう思っていると、前からハロルドが歩いているのが見えた。
アイツが1人で王宮に居るなんて珍しいな......。
ハロルドも俺に気付いたみたいで、
「あれ?珍しいですね」
と驚いている。
確かに俺が父上の執務室の近くを通るのは珍しいことだ。
避けている訳ではないが、仕事の邪魔をしないように、あえて通らないようにしている。
でも、それをハロルドが知っているということは、よく来ているんだろうか?
そう思って、ハロルドに
「よくここに来るのか?」
と聞いてみた。
すると別に隠すような様子もなく
「あぁ...俺はエリザベスの報告を陛下にしに来ているんですよ」
そう言った。
エリザベスの報告?
一体何を報告しているんだ?
と首を傾げているとハロルドは笑いながら
「エリザベスの学園と家での様子とか、最近エリザベスに変に絡んでくる令嬢のこととか......あぁ、それから変な令嬢は殿下を狙っているみたいだ、ということとかですよ」
そう言って肩を竦めた。
なるほど......近状報告みたいな感じだろうか?
つまり、父上もリナリー嬢のことは知っているということだな。
「今から帰るんだろう?気を付けて」
「あ、殿下。今日、エリザベスと2人でお話したみたいじゃないですか。何を話したんですか?」
こいつはどこまで知っているんだ...?
帰る少し前の出来事なのにもう知っているなんて......。
ハロルドに対して若干の恐怖心が湧いてきている。
監視でもしていたのか?
一体なぜ?......まさか、何かを企んでいるのか?
でも、あんな内容を話すわけにはいかない。
そう思って
「お前には関係ないことだ」
これ以上聞くな、という意味も兼ねて、あえてキツめにそう言った。
頼むから、そうですか、と引き下がってくれ...!
という俺の願いも虚しく
「関係あるに決まってるじゃないですか!エリザベスが悲しむ内容だったら俺は殿下でも容赦しませんよ」
ハロルドは俺に睨みつけながらそう言った。
いや......今は2人だから良いが、他の人もいたら不敬罪で捕まってるぞ?
はぁ...とため息をついてから
「内容は言えないが、エリザベスを悲しませることは絶対にない。だから安心してくれ」
と言うとハロルドは
「......本当ですね?」
と、まだ俺を睨みつけている。
頼むから、もうそろそろ解放してほしい。
俺が頷くと、
「なら良いです。もしエリザベスを泣かせることがあったら婚約は白紙になると思ってください!いいですね!」
そう言ってハロルドは立ち去っていった。
はぁ...一体なんだったんだ?
いや、それよりも早く父上のところに行かなければ......。
ハロルドに捕まったせいで、無駄に時間をくってしまった。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
2,832
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる