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40話
しおりを挟むカリステラ様を嫌がる殿下を不思議に思っている間に、殿下は私が座っていた椅子の隣に腰を下ろしましたわ。
まぁ、話をするのなら当然かもしれませんが......とはいえ令嬢たちに見られると勘違いされてしまいそうな状況なんですのよね。
というのも、一緒に来ておいて今更、と思われるかもしれませんが、図書館にある椅子は意外と距離が近いですし、婚約者同士で他の人にバレないようにイチャイチャできる、という話があるくらいですわ。
あ、もちろん私と殿下がそのようなことになることはありませんし、私自身そのような行動は嫌いだ、ということで絶対に起こらないことなんですけど。
ただ、図書館の話は知っているくらいの人が、私と殿下が2人で図書館にいる、ということを聞いたら......変な方向で考えてしまう可能性が高いですわよね。
だからと言って私の方から殿下から距離を取ることも出来ませんし、今は誤解されないようなことをするしかないですわよね。
なんて思いながら、さっき本棚からとった本の中から、私が使っていない本を殿下の前に置きましたわ。
ちなみに題名は『薬草』とだけ書いてあるものになっていますわ。
その本を、殿下は疑っているかのような目で見ていますが.......まぁ、気持ちはわかりますわよ。
だって、表紙が物凄くシンプルで、薬草の絵が真ん中に書いてあるだけですし、本の表紙を見るだけでわかるくらい古いんです。
本当に大丈夫なのか?となりますわよね。
そんな殿下に、
「この本がわかりやすくて理解もしやすいですわ」
そう言って微笑むと、私の言葉を確認するかのように本をパラパラとめくりましたわ。
すると
「なるほど.......確かに絵も描いてあるおかげで頭に入ってきやすいな」
そう感心したように言ってくれたので、内容がわかっているのもとはいえ嬉しくなりましたわ。
まぁ、もしかしたら私に気を遣って言ってくれているのかもしれませんが.......。
とはいえ、あの殿下がわざわざ嘘をついて、興味のないつまらない本を読むなんて無駄なことはしないと思っているので本心だと思いたいですわ。
そう思いながら殿下の方を見ると、相当興味深い内容のパージを開いたんでしょうね。
目をキラキラと輝かせながら本を食い入るように見ていますわ。
そんな殿下に
「もちろん、その本は基本的な事だけなので、詳しく書いてある本を読んで理解していないといけませんが」
と言うと
「そうなったらヴァイオレット嬢に言って、また違う本を教えてもらえば良いんだろう?」
そう言ってきた殿下は、早く本を読みたいのかどこかソワソワしているような気がしますわね。
私としては薬草について興味を持ってくれる、と言うこと自体嬉しいことでしかありませんわ。
そう思いながら、とりあえずは別々で違う本に集中しました。
後ろから、数人の視線を感じたような気がしますが.......殿下と一緒に居るので目立っていた、と思っておきましょう。
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