婚約破棄された貧乏令嬢ですが、意外と有能なの知っていますか?~有能なので王子に求婚されちゃうかも!?~

榎夜

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67話 レオンハルトside

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父上に急に言われたことに動揺しながらも、なんとか冷静を保って

「きっと気のせいですよ」

と苦笑しながら言うと、父上は肩をすくめてこの話を終えた。

まぁ、終えた、というよりは後は何も言うことがない、という感じが正解かもな。

俺が素直に頷いていたらもう少し話が広がったかも、と考えると少し申し訳ない気もするが......過ぎたことは仕方がないな。

とりあえず、俺が話したいことも終わったし、食事までの間、家の書斎から薬草の本でも探そうか。

そう思った俺は、

「では、そろそろ.......」

と言って立ち上がろうとしたが、その前に

「ヴァイオレット嬢の店はどうなっているんだ?」

という父上の言葉で、ピタッと動きを止めた。

だって、まさかこのタイミングでヴァイオレット嬢の店のことを聞かれるとは思ってもいなかったし、何よりも父上に前話したときは

「好きにやってみるといい」

という印象だったからな。

ただ、俺の店ではないとはいえ、今一番力を入れていることを聞かれるのはやっぱり嬉しく感じた。

まぁ、嬉しく感じても表には出さないようにしたが.....。

父上の質問に対して

「色々と俺の知らないことが沢山あって準備の段階でも興味深いものばかりですよ」

と言って笑うと、俺の知らないこと、ということが気になったんだろう。

一瞬ではあったものの、眉がピクッと上がったのがわかった。

当然だが、オレオ知らないこと、というのは父上もしらないことだからな。

気になるのも当然だろう。

だが、父上は俺にバレていない、とでも思っているのか冷静そうに

「そうか。国の発展には役立ちそうか?」

と聞いてきたが、内容も話して欲しそうなのがバレバレだ。

父上の息子として10年以上一緒にいるんだから、気付かないわけがないよな。

だから、本来なら国の発展にー....と聞かれて

「はい、役立つと考えています」

だけでいいのにも関わらず、しっかりと

「えぇ、一般的な薬と違って副作用も少ないとのことですし、今まで病気を予防するものはありませんでしたからね。その点に関しても興味を持ってもらえるかと......」

と話すと、父上は満足そうに頷いて

「確かに病気にかかってしまうと、平民達にとって治す金額は相当なものになってしまうからな。事前に予防が出来る、というのは嬉しいことかもしれん」

そう言っていた。

確かに平民達が病気にかかると、治療費の問題で諦めてしまう、というのは国の問題にもあがっていることだ。

これが改善されるだけでも相当国にとって利益に繋がるだろう。

最初は興味本位みたいな感じでヴァイオレット嬢を応援していたとはいえ、しっかりと考えると凄く重要なことをやろうとしているんだな。

そう思った俺は、今まではヴァイオレット嬢の好きなように、などと考えていたが少し考え方を改める必要がある、と思った。

もちろん、それは俺だけではなくヴァイオレット嬢も、なんだが......急にそんなことを言われても、となってしまうだろうからな。

もう少し様子をみながら、ヴァイオレット嬢には伝えるとして、俺は裏からヴァイオレット嬢を支えていくとしよう。
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