71 / 94
70話
しおりを挟むディアに説明を終えて2時間が経過しましたわ。
現在の作業状況は、というと
「お嬢様ー?スライスが終わりましたが後は干すだけなんですよね?」
と言ったディアの手には大量のゴボウが入ったカゴがありますわ。
まぁ、これでわかったとは思いますがあとは網の中にゴボウを入れて外に干しておく、という作業だけなんです。
つまりこれで作業が終わってしまう、ということなんですが......この後はどうしましょうか?
早くて半日、遅いと2日後、ということなので、たまに様子を見に来ないといけないですが、特にやることがないんですのよね。
うーん.......他の商品を作る、と言っても手に入りにくいものもありますし.....。
あ、薬草がどこに生えているのか探しに行く、というのもいいですわね。
なんて思っていると、ディアも同じことを考えていたんでしょう。
「これが終わったらどうするんですか?」
と不思議そうな顔をして聞いてきましたわ。
まぁ、当然ですが気になりますわよね。
一応ディアは私の専属メイドですし、店の従業員ですし。
私の答えによってはメイドの仕事に戻らないといけなくなりますものね。
なんて思いながら、不思議そうな顔をしているディアに
「薬草を探しに行こうと思っているけど、ディアはどうする?」
と尋ねましたわ。
というのも、ディアは他のことをやってもいいよ、と言ってしまったら遠慮して私の方に来てしまう、と思ったので、どうする?と聞くことで自分のやるべきことをやってもらおう、という考えですわ。
まぁ、ディアはそういう気遣いみたいなものに鈍いので気付かないと思いますけどね。
なんて思っていると、私の話を聞いたディアは
「探す!?え?そんなに簡単に見つかるものなんですか!?」
と興味津々に聞いてきましたわね。
あら、私の想像していた反応とは違いますわね。
てっきり驚くのではなく、納得して頷くものだと思っていましたわ。
だって、一応事前に領地の中は薬草が沢山あることを伝えていましたしね。
とはいえ、実物を見たことがないので信じられない気持ちはわかりますけど。
なんて思いながら、驚いた顔を好ているディアに
「まぁ、簡単ではないわよ?でも本を見るとどういうところに生えているか書いてあるし、ここの領地内は薬草が豊富だから多少の物はあると思うわ」
そう言ってニッコリと微笑むと、ディアは目をキラキラと輝かせて
「へぇ........だったら急ぎましょうよ!また干したりしないといけないんですよね?」
と言って手に持っていたゴボウのスライスを素早く網の中に入れていきましたわね。
も、もしかして、私よりもディアの方が楽しんでいる、とかでしょうか?
想像以上にテンションの高いディアに戸惑いながら、様子を窺っていると
「お嬢様!早くしないと時間がかかってしまいますよ!」
と物凄く良い笑顔で言われてしまいましたわ。
た、確かにずっと立っていても時間の無駄ですわよね。
私も早く作業を終わらせてしまいましょう。
17
あなたにおすすめの小説
【 完結 】「婚約破棄」されましたので、恥ずかしいから帰っても良いですか?
しずもり
恋愛
ミレーヌはガルド国のシルフィード公爵令嬢で、この国の第一王子アルフリートの婚約者だ。いや、もう元婚約者なのかも知れない。
王立学園の卒業パーティーが始まる寸前で『婚約破棄』を宣言されてしまったからだ。アルフリートの隣にはピンクの髪の美少女を寄り添わせて、宣言されたその言葉にミレーヌが悲しむ事は無かった。それよりも彼女の心を占めていた感情はー。
恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい!!
ミレーヌは恥ずかしかった。今すぐにでも気を失いたかった。
この国で、学園で、知っていなければならない、知っている筈のアレを、第一王子たちはいつ気付くのか。
孤軍奮闘のミレーヌと愉快な王子とお馬鹿さんたちのちょっと変わった断罪劇です。
なんちゃって異世界のお話です。
時代考証など皆無の緩い設定で、殆どを現代風の口調、言葉で書いています。
HOT2位 &人気ランキング 3位になりました。(2/24)
数ある作品の中で興味を持って下さりありがとうございました。
*国の名前をオレーヌからガルドに変更しました。
断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる
葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。
アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。
アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。
市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。
婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。
三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。
何度も断罪を回避しようとしたのに!
では、こんな国など出ていきます!
悪役令嬢ベアトリスの仁義なき恩返し~悪女の役目は終えましたのであとは好きにやらせていただきます~
糸烏 四季乃
恋愛
「ベアトリス・ガルブレイス公爵令嬢との婚約を破棄する!」
「殿下、その言葉、七年お待ちしておりました」
第二皇子の婚約者であるベアトリスは、皇子の本気の恋を邪魔する悪女として日々蔑ろにされている。しかし皇子の護衛であるナイジェルだけは、いつもベアトリスの味方をしてくれていた。
皇子との婚約が解消され自由を手に入れたベアトリスは、いつも救いの手を差し伸べてくれたナイジェルに恩返しを始める! ただ、長年悪女を演じてきたベアトリスの物事の判断基準は、一般の令嬢のそれとかなりズレている為になかなかナイジェルに恩返しを受け入れてもらえない。それでもどうしてもナイジェルに恩返しがしたい。このドッキンコドッキンコと高鳴る胸の鼓動を必死に抑え、ベアトリスは今日もナイジェルへの恩返しの為奮闘する!
規格外で少々常識外れの令嬢と、一途な騎士との溺愛ラブコメディ(!?)
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
婚約破棄してくださって結構です
二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。
※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる