婚約破棄された貧乏令嬢ですが、意外と有能なの知っていますか?~有能なので王子に求婚されちゃうかも!?~

榎夜

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88話

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申し訳なさそうな、泣きそうな顔をしているディアを見て、キーン様に怒りを感じましたが、今はそれどころではありませんわね。

こうしているうちにもキーン様は門の前で待機していますし、どうするのか考えないといけませんわ。

そう思った私は眉間に皺を寄せているお父様に

「どうします?一度しっかりと顔を合わせて話をした方が今後の為にも良いと思いますが.......」

と声をかけましたわ。

正直、私としては話すこともないですし、顔もまともに見たくないと思っているので、今すぐにでもおうちに帰って欲しいですわ。

だって、私と婚約していながらも他の女性.....しかも娼婦に現を抜かしていたような人ですわよ?

もしキーン様と結婚しても娼婦を家に呼ぶことは辞めないでしょうし、ヘタしたら愛人にでもする可能性がある、と考えたら......色んな意味で恐ろしいので想像もしたくないですわよね。

ですが、このまま放置して勝手に変な想像を膨らませて私がキーン様を好いている、なんて思われるのは嫌ですわ。

どうせキーン様の件に関してはしっかりと縁を切るつもりでしたし、手紙を出すよりも直接話をするのが一番でしょう。

そう思ってのことですが、私の言葉にお父様は複雑そうな顔をして

「それもそうなんだが......あの手紙を読んですぐだぞ?嫌な予感しかしないだろう」

と言って窓を少し開きましたわね。

きっと、どのような状況なのか、様子を見ようとしているんでしょう。

その証拠に、ジッと門の前に立つキーン様のことを見ていますもの。

まぁ、お父様の言っていることもわかりますわ。

あのような頭のおかしい手紙を貰って、日にちが経っていませんからね。

そのタイミングで家にまで来るとは思ってもいませんし、警戒も余分にしますわよ。

なので、お父様の言葉に苦笑しながら

「確かにその通りですが.......」

と呟くと、それとほぼ同時くらいでしょうか?

「ヴァイオレット!ヴァイオレット!出てきてくれ!話をさせてくれ!」

という物凄く大きな叫び声が聞こえてきたではありませんか。

一応、我が家は外の話し声を家に入れないように、遮音の窓を使っています。

なので、今まで叫び声は聞こえていなかったんですが、まさかここまで大きな声で私のことを呼んでいたとは......。

私も恥ずかしいですが、キーン様もご自分で恥ずかしいことをしているのに気付いていないんでしょうか?

もしかして、そのようなことを考える暇もないほと私と話をするために必死、とか?

はぁ......話しの内容なんて安易に想像が出来ますし、私は話すことがないのに?

なんて思っていると、流石のお父様もキーン様の行動には驚いたらしく、目を大きく見開いて

「流石にこれは酷いな」

ため息交じりにそう呟くように言いましたわね。

確かにお父様の言う通りこれは酷いですわ。

だって、我が家の近くに住んでいる領民の方々も何事か、と様子を窺いに来ていますもの。

なので、私も苦笑しながら

「門の前でこれほどまでに叫ばれると迷惑ですわね」

とお父様に言うと

「確かにその通りだな」

そう言って、椅子にかかっている上着を手に取りましたわ。

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