旦那様、離婚しましょう ~私は冒険者になるのでご心配なくっ~

榎夜

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34話 精霊のお出ましです

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フォストから聞いた事実に私は、そんな、と呆然としてしまった。

すると

「シエラ嬢!後ろ!」

と焦ったフォストの声が聞こえてきた。

「えっ!」

咄嗟に振り向こうとするが、フォストに体を突き飛ばされて振り向けなかった。

フォストに尋ねると、黒いオーラは矢に変わり私を狙って飛んできていたみたいだ。

「フォスト様、助かりました。ありがとうございます」

とお礼を言うと、俺が止める方法を知っていれば...とフォストが呟いたのでそれを否定しようとすると

「お嬢様!」

という声が聞こえた。

その声の主を探すと、どこからともなくメイリスが現れた。

「メイリス!客室で待ってたんじゃないの?」

「精霊が嫌な気配がすると言ってきたので急いで様子を見に来ました。これは確かに凄いことになってますね」

私はメイリスの登場に驚いている間に、メイリスは冷静に状況を把握しているみたいで顔をキリッと引き締めていた。

一刻も早く、この状況を打破しなければ。

私は今までにないくらい頭をフル回転させて1つの可能性を見つけた。

それにはメイリスの力が必要不可欠だ。
だが、陛下達は戦えない。危険すぎる、と私は判断した。


「とりあえず、今のところは陛下達に被害はないけれど、これからどうなるかわからないわ。早めに避難してもらいましょう」

リリーの様子を見るとマノンと私、男爵に対する悪意は察知出来たが、これからどこに矛先が行くかわからない。

フォスト様お願いしていいですか?と聞くと

「いや、俺も残って戦わせてくれ」

と断られた。

でも流石に他国の揉め事に一国の王子を巻き込ませる訳には行かない、とメイリスも私も同じ考えだった。

「フォスト様お願いします!陛下達を安全に避難させられる人がフォスト様しか居ないんです」

私がそう言うとそこまで言われたら流石に断れないのか渋々引き受けてくれた。

シエラ嬢、無茶はするなよ!という言葉を残してフォストは陛下達と一緒に謁見の間を後にした。







「メイリス、精霊と私が話すことはできる?」

リリーからの黒い矢を躱しながらメイリスに尋ねると、メイリスは静かに頷いてそっと目をつぶった。

多分メイリスならやってくれる、そう信じて私は魔法を展開した。

聖の盾ホーリーシールド

そう唱えると私とメイリスの前にシールドが展開された。

これで少しは時間を稼げると思う。

すると急に

ポンッ

と音がした。

何かと思い音がした方を見るとそこには金髪で緑色の目をした可愛らしい女の子がいた。

ただ、普通の女の子とは違って大きさは手のひらサイズで背中には半透明な羽が生えている。

だからすぐにわかった。精霊が目視できるようになった、ということに。

私は初めて精霊を見た、ということもあって息を飲んでみていると

「はぁーーー、やぁっとこの姿になれたよぉーー!」

精霊の口から、場違いなくらい気の抜けた声が聞こえてきた。
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