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27話
しおりを挟むリオルの死亡を知らされてから次の日。
「すみません.....教えるな、と言われたものですから.......」
私の目の前には机に頭をぶつけるほどの勢いで謝っている役場の職員の人が。
今日は弁護士さんと一緒に役場で状況を確認しに来ました。
弁護士さんも戻ってから私たちと同じことが気になったみたいで、わざわざ来てくれたんです。
「離婚した後ならわかりますが、まだ婚姻関係にあるんですよ?本当に死んでいたのはリオルさんだったんですか?」
弁護士さんが鋭い目で役員さんに質問しています。
もう役員さんは顔が真っ青ですよ。
「ご家族の方がそう言って.....」
「つまり確認はしていないんですよね?」
「.....そうですね」
なんだか可哀そうになってきました.......。
ほら、もう汗がダラダラですし。
そう思って咄嗟に
「も、もういいですから」
と弁護士さんを止めた後
「役員さんを責めているわけではありませんよ。貴族の人に従うしかないことも理解できるので」
そう言ってなるべく優しく微笑みました。
「ありがとうございます........」
ふぅ.....とりあえず話を聞きに来たのは良いですが、大体は私たちの考えていた通りでしたね。
死亡届を出しに来たのも私に報告しないように役員に言ったのも全て義父....リオルの父親だとわかりました。
しかも親族が死んだと言ったから、ということはリオルかどうかもわからないんですね。
お葬式もやっていないみたいですし.......。
そう考えていると
「リオルさんが本当に死亡していたのかはわかりませんでしたね」
と弁護士さんが呟きました。
「そうですねぇ......家に匿っているとかそういう可能性はないんでしょうか?」
「その可能性は低いですね。本人がいるのにあんなに大きな声で死んだ!なんて言ったら流石に言い返しますでしょう?」
「確かに......」
あのリオルだったら後ろから叫んで話に入ってきそうですよね。
「私の考えでは、リオルさんが急に家からいなくなったから都合のいい死んだということにしたのでは?と思っているんですよね」
「じゃあ、もしかしたらリオルは街のどこかにいるかもしれない、ということですか?」
そう考えると家と職場も注意しないといけませんね。
もしかしたら押しかけてくる可能性もありますし。
なんて思っていると
「でも本当に衰弱死をしている可能性もありますよね」
そう弁護士さんが呟きました。
「それもあり得ますね......」
いやー.....だとしてもそんな縁起でもないこと言わないで欲しいですね。
「はぁ......なんでこんなことになったんでしょう」
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