まさかその程度で私の婚約者を奪ったつもりですか?

榎夜

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30話

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あれから3日くらいが経って、私とエリザベス様は再びアルフレッド様に呼び出されていました。

「それで?どうでしたの?」

私がそう尋ねると

「依頼されたのはエリザベス嬢がマリアンヌの家に泊まった後、だそうだ。2人は完全に白だと証明された」

ということは、ジュリが証言してくれたということですわね。

「はぁ......とりあえず良かったですわ」

アルフレッド様の話に、思わずホッとしていると

「陰で色々言われるのは収まらないかもしれませんけどね」

エリザベス様はそう言って苦笑しています。

確かにその通りですわね。

ここ最近、噂に噂が重なって、なんだか凄いことになっていますし。

本当に迷惑な話ですわ。

そう思っていると、アルフレッド様も同じ考えのようで

「あぁ、だからこそ、すぐにでも犯人を捕まえたいと思っているんだが........」

と頷きました。

「何か証拠になるものとかありませんの?髪の毛の色とか、身長とか」

特に髪の色、とかなら結構絞れますしね。

色んな色の人がいますし。

ですがアルフレッド様は首を横に振って

「それが、暗闇で見えなかったの一点張りなんだ。確かにあのような取引は姿が見えないようにすることはあるが」

なるほど.......だったら犯人を絞り込むのも不可能に近い、ということですか。

ついため息をつきながら

「ということは、完全に私達を陥れるためにやったことですわね」

と私が言うと

「そういうことだ」

アルフレッド様も頷いています。

流石にこれは酷すぎますわね。

勝手に変な噂を言われるくらいなら慣れていますし何も思いませんが、私を陥れるために他の人にも迷惑をかけていますもの。

そう思っていると

「ハニーア様が自ら仕組んだとかは?」

とエリザベス様は首を傾げています。

するとアルフレッド様は

「でも誘拐されれば王妃になんてなれなくなることくらい知っているだろう?」

そうでしょうか?

あの感じだと、こんな目に遭ったんだから責任を取って結婚しろ、みたいに要求してきそうですわよね。

そう思いながら

「うーん......それは何とも言えませんわ。少し世間知らずなところもありますし」

と言うと、2人も苦笑しながら、確かに.....と悩んでしまいました。

こうなってしまったら八方塞がりですわね。

ふぅ....と一呼吸をして、一旦話題を変えるために

「ちなみに、ハニーア様は今何をしていますの?」

と尋ねると

「一応、泊まっている家で安静にしているらしい」

泊まっている家?

「あら?王宮に泊めてあげませんの?」

てっきり王族の留学なので王宮にいると思っていましたわ。

するとアルフレッド様は

「頼まれたがそれだけは嫌だと断ったんだ」

なんだか物凄く嫌そうな顔をしていますが、本当にハニーア様が嫌いなんですのね。

そう思いながら

「どうやってその家に決定しましたの?」

これは純粋に気になったことですわ。

始めて来た国なのに、よく当てがありましたよね。

「自分の母親の親戚ならしい。すぐに許可が下りたそうだ」

「そうでしたのね」

なるほど、それは納得ですわ。

母親の親戚、ねぇ.......。

どんな生活をしているのか気になりますわね。
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