まさかその程度で私の婚約者を奪ったつもりですか?

榎夜

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31話 ハニーアsaid

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今の私はとてつもなくイライラしてるの。

だって

「なんでアルフレッド殿下が来ないのよ!私があんな目に遭ったのよ!?」

私はそう言うと、近くにあった花瓶を思いっきりメイドに投げつけてやったわ。

誘拐なんてされたのに、殿下は私のお見舞いどころか手紙も何も寄こさないのよ?

おかしいじゃない!

もうこの国に来てから自分でもビックリするくらい口調が荒くなったし、ストレスが溜まるし最悪よ!

すると、花瓶を投げられたメイドは、きゃっ!と短い悲鳴が上がったと思ったらすぐに

「そ、そう言われましても........」

と言い返してくるから余計に腹が立って

「だっておかしいじゃない!はぁ.....イライラするわ。早く部屋から出ていって!」

そう言うと、メイドは割れた花瓶を片付けることなく部屋を後にしました。

はぁ.....もう限界よ。

大体なんで私がこんな古臭い屋敷に泊まらないといけないのよ。

そう思っていると

「出ていって、とか自分で呼んだのにねぇ.......」

「本当よね。王太子は婚約者を溺愛しているなんて私達でも知ってることよね」

「早く諦めて国に帰ってくれないかしら?」

壁が薄いのか、廊下で話す声が思いっきり私にも聞こえて来たわ。

はぁ?何なの?

私が王族だってわかっててそんなこと言ってるんですの!?

あぁ、腹が立ちますわ。

こうなったらあのメイドをクビにしてもらいましょう。

そう思って部屋を出ると、思っていたよりも早くにおじさまが見つかったから

「あ、おじさま」

と声をかけると

「どうされました?気分でも悪いんですか?」

にこやかに私にそう聞いてきたわ。

だから

「気分が悪いに決まってるじゃない!なんでアルフレッド殿下がお見舞いに来ないのよ!」

私がそう言うとおじさまは

「ですから、ハニーア様を誘拐した犯人を捜すのに忙しくして......」

もうこの返事は何回も聞いてるわよ!

全く......王族の私を舐めるのも大概にして欲しいですわ!

そう思いながら

「もういいわよ!その話は!さっさと連れてこいって言ってるのよ!」

と怒鳴りつけると、おじさまは急に大きくため息をついて立ち去ろうとしたから

「何よ!その態度!」

そう言って、引き留めると、おじさまの目は今まで見たことがないくらい冷たい目をしていて

「ハニーア様、私達は貴方の召使などではありません。仕事もありますし、やることも沢山あるんです」

と私に言ってきた。

「だから何よ!」

私がそう返すと、再び大きなため息をついて

「わかっていないようなら言いますが、泊まらせてもらっている立場でその態度はどうかと思いますよ?しかもここは貴方の国ではないんです」

な、何を言ってるの?

私は王族なのよ?

そりゃあ、自分の国ではお兄様もいるしこんな態度はとれないけど、ここでは王族である私が一番偉いでしょう?

そう思っているとおじさまは私をバカにした目で見ながら

「私達は自分の元の仕事と貴方のお世話をしてあげてるんですよ?もう少し考えて言葉を言った方が良いですよ」

そう言ってきたから、咄嗟に

「何よ!お母様にこのことを伝えるんだからね!」

と言ってやったわ。

だって、側室である母上のことを出したらすぐに謝ると思ったんだもの。

でもそんな私の考えとは真逆で、おじさまは

「別に構いませんよ。元々、貴方の母親が頭を下げてお願いしに来たから受け入れたんですが、やはり断ったほうが良かったですね」

とだけ言って立ち去ってしまった。

お母様がこんな家に頭を下げたですって.......?

側室で、しかもお父様から寵愛を受けているお母様が?

その事実は私にとって衝撃的なことで、認めたくもない事実だった。
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