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44話

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大体10分くらい経ったでしょうか?

エリザベス様も泣き止んで、なんとなく空気は重いままでしたが、なんとか話し始めることが出来ました。

まず先に

「エリザベス様、大丈夫ですの?」

と私が声をかけると、鼻声の状態ですが

「はい........すみません。ちゃんと心の準備はしていたんですけど、どうしても抑えられなくなってしまって......」

なんとかエリザベス様も落ち着きましたわね。

お兄様が慰めていてくれたおかげ、というのもありますが........。

そんなお兄様はエリザベス様に

「それは仕方ないよ」

と苦笑しています。

えぇ、確かに仕方のないことです。

私だって、泣きたくなりましたもの。

そう思っているとアルフレッド様が

「とりあえず、俺とマリアンヌは王宮に向かうが........」

と言って私の方を見たので

「お兄様はエリザベス様と一緒に先に帰っててくださいな。時間も遅くなりそうですし、2人とも休んだ方が良いですわ」

私が言葉を続けると、エリザベス様は

「それはマリアンヌ様も同じですわ」

まぁ、そう返されると思っていましたわ。

本当なら私も一緒に帰りたいところですが、今回ユーフェミア様と話をしたのも私ですし、ハニーア様絡みということもあって行かないわけにもいきません。

はぁ......本当に面倒ですわ。

ついため息をつきそうになりましたが、このタイミングでため息をつくと勘違いされてしまうので

「いえ、私はこれから王妃になるんですから、これくらい平気ですわ。それに、私よりもお兄様とアルフレッド様の方が休んでいませんし」

そう言って微笑むと、お兄様は苦笑しながら頬を掻いていますわ。

知っていますのよ?

お兄様がここ3日くらいまともに寝ていないことくらい。

なんて思っていると、エリザベス様は

「じゃあ、私も連れて行って欲しいですわ!」

そう言っています。

確かに、今回の被害者であるエリザベス様ですもの。

そうなりますわよね。

「でも...........」

流石に私の許可で連れていくわけにもいかないのでアルフレッド様を見ると、苦笑しながらも頷いていますわ。

つまり、仕方ないな、ということですわよね?

と判断した私は

「わかりましたわ。ですが、時間が遅くなるようでしたらお兄様と一緒に先に帰ってもらうことになりますわ」

真剣な顔をしてエリザベス様を見つめると

「えぇ、それでもいいですわ」

と頷いてくれました。

そうと決まれば早めに出発した方が良いですわね。

「では行きましょうか。そろそろユーフェミア様のご家族も王宮につく頃でしょう」

そう言って、カフェを後にしました。




ずっと重い空気でいるのも嫌だな、と思った私は

「あ、せっかくですし、私はアルフレッド様と乗りますので、2人は同じ馬車を使ってくださいな」

そう言ってほほ笑むと、エリザベス様は顔を赤くしながら

「えぇ!?私とマリアンヌ様とではないんですの?」

と驚いていますわ。

さっきの様子を見ると、結構いい雰囲気だと思ったんですのよね。

せっかくですし、2人っきりにしてみるのも良いかなぁと思ったんですが。

エリザベス様をニヤニヤと見つめながらそう思っていると

「それは面白そうだな」

と言ったアルフレッド様はなんだか悪そうな笑みをしています。

多分、私と同じ考えのはずですわ。

するとお兄様は

「いやいや、俺と殿下と一緒でしょう」

と言って、馬車に乗り込もうとしたので

「まぁ!婚約者同士の時間を邪魔しますの?酷いですわ!お兄様!」

多分、顔のにやけが抑えきれていませんがお兄様にそう言うと、何とか2人で馬車に乗ってくれましたわ。

こういうちょっとしことでも、息抜きしないとやってられませんわよね。
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