まさかその程度で私の婚約者を奪ったつもりですか?

榎夜

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45話

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私達が王宮に到着すると

「マリアンヌ!」

「まぁ!お父様?どうしてここに?」

まさかのお父様まで王宮に来ていましたわ。

陛下と何かお話でも合ったんでしょうか?

その割には言いタイミングですわよね?

そう思っていると、お父様はため息をつきながら

「どうしたじゃないだろう?なぜ証拠も不十分な状況で賭けのようなことをするんだ!」

滅多に怒らないお父様が声を荒げていますわ。

流石に私も賭けだと思いましたが、まさかここまで心配してくれるとは.........。

なので素直に

「ごめんなさい」

と謝ると、今度はお兄様に

「ルイスも!マリアンヌが暴走しないように見ておくように言っただろう!」

そう言っていますが、お兄様は目を逸らしながら

「あー.......だって、殿下と2人で決めちゃったんだもの」

と苦笑しています。

私が悪いみたいな言い方をするなんて、ズルいですわ!

そう思いましたが、さっき怒られたばかりなので大人しくしていると、

「はぁ......全く..........」

とお父様がため息をついています。

でも、ちゃんと犯人を捕まえることが出来たんですから別に良いと思うんですけどね。

と言いたくなるのをグッと堪えて、とりあえず陛下のところに向かおうとすると

「エリザベス!」

「お、お父様!?なぜ!?」

まぁ!驚きましたわ。

マカルポーネ侯爵、つまりはエリザベス様のお父様ですわね。

なぜマカルポーネ侯爵がここにいるんでしょう?

そう思いながら眺めていると

「お前......何も言わず帰ってこなくなるなんて........」

そう言って、マカルポーネ侯爵はうっすらと目に涙をためています。

なんだか意外ですわ。

だって、マカルポーネ侯爵といったら家族よりも自分の立場などを気にしているような人でしたもの。

思いもよらず、父親に心配されていたことを知ったエリザベス様は

「だって、お父様はハニーア様の後ろ盾となったのでしょう?私はマリアンヌ様が王妃になって欲しかったんですの......」

目に涙をためて、マカルポーネ侯爵にそう言いました。

するとマカルポーネ侯爵は

「だからと言って、家に帰ってこないなんて.......」

そう言って、エリザベス様を抱きしめました。

良かったですわ。

マカルポーネ侯爵もちゃんとエリザベス様のことを大事にしていますのね。

思わずその光景を微笑みながら眺めていると

「ハニーア様に脅されましたの。お父様に言いつける、と。それを聞いたら帰れなくて.........」

エリザベス様がそう言った瞬間、マカルポーネ侯爵は急に

「なんだと!?」

と体を離して声を荒げました。

まぁ、そうなりますわよね。

私だって、あの現場を見ていて不愉快になりましたし。

なんて思っていると、

「まぁまぁ、それくらいにしておいてやれよ。お前が家でイライラしてたのが理由でもあるんだから」

何やら親しげな様子で、お父様がマカルポーネ侯爵に声をかけていますわ。

すると

「やかましい!お前に言われるような程ではない!」

そう言ってマカルポーネ侯爵は顔を少し赤くしています。

.......んん?

おかしいですわね。

この2人は物凄く仲が悪いはずですが、今の会話を聞いたところ、普通に仲の良い友人のような感じがしましたわ。

気のせいなんでしょうか?

そう思っていると、マカルポーネ侯爵が懐から数枚の書類を取り出して

「それにしても、俺たちが集めた証拠も無駄になったな」

と呟いた声が聞こえてきました。

「もしかしてお父様......」

私達の為に協力してくれたんですの.......?

と聞こうとしたんですが、それよりも先に

「自分の娘が被害に遭ってるんだから黙ってられないよね」

とお父様が言ったのを聞いて、確信しましたわ。

前に言っていたのはこういうことでしたのね?

思わずマカルポーネ侯爵の方を見ると、ふんっ、と目を逸らされてしまいましたが

「余計なことを言うな!」

「そんな怒るなって」

と言い合っている2人を見ると、長かった喧嘩は終わったんだな、ということくらいすぐにわかりました。

エリザベス様もお兄様も、アルフレッド様までもが微笑みながらその光景を眺めていますわ。

勿論私も、その1人です。
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