まさかその程度で私の婚約者を奪ったつもりですか?

榎夜

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52話

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ユーフェミア様と話をした後、急にエリザベス様が

「吹っ切れましたわ!」

と大きな声を出しました。

正直、あまりいい空気ではない状況だったので、驚いているとエリザベス様は

「私はもう吹っ切れましたの!だから、今はこれからの楽しい話をしましょう?」

そう言って、ぎこちないながらにもニッコリと微笑みました。

そう.....ですわよね。

本当はエリザベス様が一番つらいし、あんな話聞きたくなかったと思います。

でも、自分のせいで空気が重くなっている、そう思ったエリザベス様は精一杯の強がりを見せてくれたんです。

それを察した私は

「そうですわね。隣国の陛下が来るまで時間はありますし」

そう言ってほほ笑むと、アルフレッド様もお兄様も察してくれて、頷いてくれましたわ。

とりあえず、あの重苦しい空気から少しでも変えたいと思った私は

「ところで、お兄様」

とお兄様に声を掛けました。

内容は勿論

「お兄様は婚約者の件、どうしますの?」

という内容ですわ。

私が唐突に尋ねると、アルフレッド様もそれに乗っかってくれて

「そうだな。そろそろ決めないとまずいんじゃないか?」

とニヤニヤしています。

するとお兄様は

「き、急にどうした?」

と戸惑っていますわね。

でも、私は知っていますのよ。

お兄様がエリザベス様のことを好ましいと思っていることを。

エリザベス様をチラッと見ると、少し顔を赤くしていますわね。

この2人.......何かあったんでしょうか?

でも、今日の階段の時といい、なんとなく距離が近くなっていたような気がしましたのよね。

そう思いながら、今度はエリザベス様に

「エリザベス様と姉妹になれたら、私はとっても嬉しいですわ」

そう言って、ニッコリと微笑むと

「なっ.......何を言っていますの?」

あら、思いっきり戸惑っていますわ。

なんだか楽しくなってきたので

「だって、お兄様とエリザベス様、私は物凄く相性もいいと思いますの」

というと、エリザベス様は

「で、でも私がルイス様と...........」

と呟いて顔を真っ赤にしていますわ。

物凄く可愛らしいですわね。

私が男性だったら速攻婚約を申し込みますのに...........。

そう思いながらエリザベス様を眺めていると

「俺も2人はお似合いだと思っているんだけどな」

とアルフレッド様が呟きましたわ。

つい

「そうですわよね!」

とテンションが上がってしまいましたが仕方ないですわよね。

そう思いながら

「家の件も問題ありませんし、少し侯爵の方が騒ぐかもしれませんが絶対良いと思いますわ!」

そう言って、お兄様を見ると、

「な、なんか急にグイグイくるようになったね..........」

と苦笑していますわね。

確かに、少し強引かな、とは思いますが

「だって、このタイミングじゃなきゃ、今度いつ揃うのかわかりませんもの」

そう言うと

「確かにそうだな。これが解決したらこの4人が揃うことは少なくなりそうだ」

「た、確かに、それはその通りですわね.........」

とアルフレッド様もエリザベス様も頷いていますわ。

本当はこの4人でいるのが凄く楽しいですし、ために集まれるといいんですが、どうしてもお兄様が忙しい人なので難しいんですのよね。

そう思っていると、扉をコンコン、とノックする音が聞こえてきましたわ。

そして

「失礼します。陛下から、第3応接室に来るように、とのことです」

「わかった」

ついに来ましたわね。

「はぁ......楽しかったお話も、もう終わりですか」

つい私がそう言うと、お兄様は苦笑しながら

「俺たちをからかっていただけだよね」

と言ってきたので

「あら?そういうつもりはありませんわよ?」

とりあえずとぼけておきましたわ。

本当はもう少しこの話をしたかったんですが、今は問題を片付けるのが先ですわよね。
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