まさかその程度で私の婚約者を奪ったつもりですか?

榎夜

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51話

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私の質問は、アルフレッド様もお兄様も想定外だったらしく、驚いた顔をして私を見てきましたわ。

でも、被害者だからこそ、なぜそんなことをした相手と仲良くしていたのかが気になりますの。

これはエリザベス様も同じことを考えていたみたいで、ユーフェミア様をしっかりと見つめていますわ。

今も戸惑っているユーフェミア様に

「どうでしたの?面白かったですか?ざまぁみろ、とかでも思っていたんですの?」

と尋ねるとユーフェミア様は消えるようなか細い声で

「ほ、本当はやってはいけないって思いましたの.........でも、家のこともありますし、私の言ったことを皆が喜んで鵜呑みにするのがなんだか気分良くて..........」

なるほど..........。

家の為に、なんて綺麗な理由を付けましたが、本当は自分の話を信じて噂が広まって、優越感に浸りたかった、ということですか。

そんなしょうもない理由だとは思いませんでしたわ。

そう思いながら

「そうすることで、何もしていない私たちを苦しめている、ということは考えなかったんですのね」

私がそう言うと、ユーフェミア様は黙って俯いてしまいました。

はい、ということなのでしょうね。

なので

「そうですか。わかりましたわ」

そう言って、引き返そうとすると

「あ、あの......家族は誰も悪くはないですわ。私だけが悪いんですの」

まだそんなことを言ってくるユーフェミア様には呆れますわ。

つい、はぁ.....と大きくため息をついて

「そうだとしても、貴方のしたことによって、この家は自分の為に友人すらもを蹴落とす、というレッテルが張られてしまったんですのよ」

というと、ユーフェミア様は

「あ............」

と顔色を悪くさせました。

家族の中で1人でも人殺しがでると、誰しもがやってもいない家族も非難し始めますわよね?

それと同じですわ。

下を向いて固まってしまったユーフェミア様に

「私はエリザベス様が家よりも自分を選んでくれたのがとても嬉しかったですわ」

そう言うと、肩を大きくビクッと震わせました。

でも、何も言ってこないので

「エリザベス様が行動していた時、貴方もその場にいましたよね?どういう気持ちで見ていましたの?」

と言って、私はユーフェミア様に背を向けました。

そして

「では失礼しますわね」

そう言ってアルフレッド様の隣に戻りました。

アルフレッド様は

「いいのか?」

と聞いてきましたが

「えぇ。本人の話も聞けましたしもう話すことはありませんわ」

というか、これ以上なにも話す内容がありませんもの。

まぁ、物凄く反省しています、ということはよく伝わってきましたけどね。

後ろを向いて歩き始めようとすると

「エリザベス嬢は?」

とお兄様がエリザベス様にも尋ねています。

そうですわね。

結局私だけで話してしまいましたし、何か話したいことがあれば.........。

と思ったんですが、エリザベス様はユーフェミア様をチラッと横目で見るだけで

「私もありませんわ。かける言葉もありませんし」

そう言って、背中を向けました。

流石にこれには驚きましたわ。

だって、この2人はとても仲が良かったと思っていましたもの。

後ろから

「ま、待ってください」

というユーフェミア様の声が聞こえてきましたが、誰も振り向くことはありませんでした。

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