まさかその程度で私の婚約者を奪ったつもりですか？

50話

ユーフェミア様の話の内容は大体こんな感じでしたわ。

自分の家が貧乏だということを、どこかで知ったハニーア様が協力してくれるとお金を出す、と言ってきたんですって。

でも、その話には断った時のリスクもあって、ユーフェミア様の家ではお野菜に力を入れていますの。

その野菜は、一部の人達に人気で、この国の人達に留まらず、他国にも輸出していましたの。

そして、一番の大手がハニーア様のいる隣国..........。

断った場合、隣国でも取引を出来なくさせる、と脅されたんですって。

でも、なぜあんなに輸出をしているのに、お金がないのか不思議ですわ。

それに、ユーフェミア様の家のお野菜は結構いい金額での取引をしていますし。

話を全て聞き終わって、アルフレッド様も同じことを思ったのか首を傾げています。

エリザベス様は泣きそうな顔をしていますけどね。

ふぅ.......と深く息を吸ってから

「あの、言いたくないなら言わなくても良いですが、なぜユーフェミア様のご実家はそんなにお金に困っているんですの？お野菜の収入だけでも結構な金額になると思うんですが.........」

と尋ねると、ユーフェミア様は少し悩んで

「お母様が浪費家なんですの...........」

と教えてくれましたわ。

でも、私の印象では

「あの夫人が.......そうは見えませんでしたけどね」

という感じでした。

ユーフェミア様と似ていて、お淑やかでしっかり者、というイメージでした。

するとユーフェミア様は

「あんなのは外行きの顔ですわ。私のお母様が一度でも同じドレスを着ていたことを見たことあります？」

半泣きになりながらそう言ってきましたわ。

なので、今まで見たユーフェミア様のお母様を思い出してみると

「確かに.....言われてみると一度もありませんわ」

ということがわかりました。

一応、同じパーティーやお茶会に出席するときは必ず挨拶に来てくれるので覚えていますわ。

同じドレスを着たくない、という人も勿論いますがそれは家の経済状況によります。

ユーフェミア様の言い方ではお金が無くなるまで使う、という感じですわね。

そうなると、いくらお金があっても足りなくなりますわ。

そう思っていると

「これから弟にもお金がかかりますのに...........」

とユーフェミア様が呟いています。

本当ならここで慰める、とかしたらいいのでしょうが、隣国からお客様も来ますし急がないといけないので

「とりあえず、理由はわかりましたわ。それからハニーア様がいかに非道なことをしたのか、も」

そう言って話を閉めましたわ。

今の会話はアルフレッド様に録音してもらっていますし、ハニーア様の件で使えるでしょう。

「マリアンヌ様..........」

とユーフェミア様は呟いていますが、申し訳ありません。

「では2つ目の質問ですわ」

そう言って、真剣な顔をすると、空気が重たくなったのを感じました。

私としては、こっちの質問の方が大切ですわね。

そう思いながら

「ユーフェミア様は私達が苦しんでいる姿を見てどう思っていましたの？」

私がそう質問をすると、ユーフェミア様は大きく目を見開きました。

まさかその質問が来るとは思っていなかったのでしょう。

でも、私が一番気になっているのはそれですわ。