まさかその程度で私の婚約者を奪ったつもりですか?

榎夜

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49話

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牢屋に向かうまでに、長い長い階段があります。

そこは薄暗くて足元に気を付けないと踏み外してしまうほどの場所なので、私も注意して階段を下りていると

「足元に気を付けろ」

アルフレッド様がそう言って、手を差し出してくれました。

その手を取って

「ありがとうございますわ」

とお礼を言うと、後ろの方から

「エリザベス嬢も俺につかまって」

「た、助かりますわ」

という声が聞こえてきましたわ。

なんだかんだで仲良くなっているみたいですわね。

私の出る幕もなさそうですわ。

そう思いながら奥に進んでいると、ユーフェミア様の姿が見えてきましたわ。

下が汚れているので服には泥がついてしまっています。

それに、なんだか生気のなくなったような表情をしていますわね。

なんでしょう........悪いことをしたんだから当然、というのと悲しい、という感情が混ざり合って難しい感情ですわ。

そう思いながら

「ユーフェミア様」

と私が声をかけると、一瞬ビクッと肩を震わせましたが、すぐに私達の方に向きを変えて

「マリアンヌ様.........エリザベス様も............」

と呟くと、みるみるうちに目に涙をためて

「申し訳ございませんでした.......私がこんなことをしなければ...........」

と深々と頭を下げています。

これにはエリザベス様も言葉を失ってしまって、泣きそうな顔をしていますわ。

そんなユーフェミア様に

「落ち着いて、ユーフェミア様」

なるべく優しく、被害は加えない、ということをアピールすると

「でも.....でも.............」

と言いながら、大量の涙を流しています。

申し訳なさ過ぎて押しつぶされそうになっていますのね。

でも、私も聞いておかないといけませんの。

そう思いながら

「ユーフェミア様、私は聞きたいことがあって来ましたの」

ユーフェミア様の目を見つめてそう言うと

「聞きたいこと.......?」

やっとユーフェミア様が落ち着きましたわね。

良かったですわ。

と思ったのも束の間で

「なんでも答えます!やったことを許してもらえるとは思いませんが、なんでも!」

牢屋に捕まりながら、物凄い勢いでそう言ってきました。

こうなった人に、落ち着いて、なんて言葉を言っても無駄なので

「ありがとう」

とだけ答えて、早速本題に入りますわ。

「私が聞きたいことは2つですわ」

そう言うと、ユーフェミア様は静かに頷きました。

「まず1つ目。ハニーア様に何と言われて脅されましたの?」

私がそう尋ねると、ユーフェミア様は目を見開いて固まってしまったので

「無理には話さなくても良いですわ」

と苦笑すると

「い、いえ......話します............」

と言ってくれました。

本当に、言いたくないなら言わなくても良いんですが........。

でも教えてくれるなら喜んで聞きますわ。

ユーフェミア様はふぅ......と大きく息を吸ってから

「私の家は侯爵家なのにあまりお金がないんですの」

と話し始めました。



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