この国の貴族達は婚約を破棄したい〜今まで我慢していましたが限界ですからね!〜

榎夜

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フェイン・マスタージュ伯爵子息

2話

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伯爵は俺に対して特別優しいというわけではないが、本来俺に領地経営のことを教えるのであれば教師を雇えば良いものを直接教えてくれている。

多分、ミーナからするとそれが気に食わないんだろう。

今日も伯爵との勉強会兼、本来跡取りであるミーナがやらなくてはならない仕事を終えた俺は帰宅のために1人廊下を歩いていると

「やっとお父様を解放してくれたのね!」

そんな甲高い声が廊下に響き渡った。

パッと顔を上げるとそこにはミーナが仁王立ちして立っていて、まるで婚約者である俺を待っていたかのような状況で普通であればこの後、婚約者同士でお茶でも飲んで平和なひと時を....というところだが、ミーナに限ってそのようなことあるわけもなく

「解放というが俺は別に伯爵を拘束している訳じゃない」

思わずため息をつきながらそう言って、ミーナの横を通り過ぎようとすると

「あんたね…田舎伯爵家の三男のくせに誰のおかげで由緒正しい我が家の跡取りになれたと思っているの!私にそんな態度をとってもいいわけ!?」

俺の腕をパシッと掴んでそう叫んだ。

この婚約の利益は俺にとっても大きいことはわかっている。

俺は長男でも次男でもないから実家の跡取りには絶対になれないし、かといってどこかに婿入りということになると当然今のような扱いを受けることはなく、酷いところでは存在すらしないような対応をされるだろう。

だからこそ、伯爵には本当に感謝しているし、尊敬もしている。

この国では性別関係なく次期当主になるのは現当主の一番上の子供だという決まりがある中で、俺のような存在は異例中の異例だからな。

とはいえ、誰のおかげで…とミーナは言うが自分の無能さを置いておいての発言......何も考えていないというか、理解すらしていないのか。

そもそもミーナがしっかりと勉学に励み、次期当主として行動をしていれば今頃は俺ではなくミーナが伯爵と一緒にいただろうに。

考えれば考えるほど苛立ちが募っていく俺に気付いていないミーナは今も小言を言い続けて来る。

お父様はお前なんかに構っているほど暇ではない。

お前がお父様と一緒にいるせいで私との会話が減っている。

どうせお前なんかがどれだけ頑張ろうがお父様ほど素晴らしい当主になんてなれない。

まぁ、こんな感じの内容だな。

顔を合わせるたびに同じような内容を同じような表情で言って来るが飽きないのだろうか?

そんなことを思いながら腕を組んで偉そうにしているミーナにこう言った。

「それなら、俺との婚約を破棄して欲しいと伯爵に頼んだらいいのではないか?」

俺からそんな言葉が出て来るとは思ってもいなかったんだろう。

ミーナは散々ぼろくそに言っていた言葉をピタッと止め、驚いたような顔をしたかと思ったら

「な、何を言っているのよ!今更そんなこと言えるわけがないじゃない!」

動揺を隠すことなく、怒鳴りつける様に俺にそう言ってきた。

今更?確かにこの婚約が決まったのは幼い頃だが

「なぜだ?それほどまでに俺のことを嫌っていて、俺のせいで家族関係にも影響が出てしまうのであれば伯爵のことだからこの婚約について考えてくれるのではないか?」

そう言うと、流石のミーナも何も言い返せないようで言葉を詰まらせている。

こんなミーナの姿を見るのは婚約して初めてだな。

「とにかく、そんなに俺が嫌なのであれば婚約破棄でも構わない」

俺はそう言うと、伯爵家を後にした。


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