私のことを追い出したいらしいので、お望み通り出て行って差し上げますわ

榎夜

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173話

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令嬢の話も終わったみたいなので、今まで黙っていたレオンハルト様の方をチラッと見ると、ニッコリと微笑んでくれましたわ。

ということは、多分私の行動は間違っていなかった、ということなんでしょう。

令嬢が相当騒いでくれたので、多少の視線は感じますが......まぁ、仕方がありませんわね。

なんて思いながら、馬車に乗り込もうとしているレオンハルト様の為にドアの前を少し開けて、黙り込んでしまった令嬢にこう言いましたわ。

「妄想するのは自分の中だけにしておいてくださいませ。周りに迷惑がかかる妄想だったら今すぐにやめた方が良いですわよ」

これは、この令嬢だけではなく、レオンハルト様に迷惑をかけている全員に言っていることなんですけどね。

流石に馬車から降りてきていないので、聞こえていないでしょう。

さて、令嬢は、というと、もう騒ぐ元気も残っていないのか、私の言葉に返事をすることもなく下を向いたまま私たちの乗っていた馬車から離れていきましたわ。

これには流石にホッとしましたわね。

急に怒りだして暴れることも覚悟だったので、良かったですわ。

なんて思いながら、レオンハルト様に続き、私も椅子に腰を掛けると

「早速こんなことになってごめんね」

と早速謝罪をされましたわね。

確かに驚きましたが、レオンハルト様が悪いわけでもありませんし、レオンハルト様たちから多少の話は聞いていたので覚悟は出来ていましたわ。

まぁ、あれほどまでに凄い令嬢がいるとは思ってもいませんでしたけどね。

そう思いながら、申し訳なさそうにしているレオンハルト様に

「あの令嬢は一体何ですの?」

と確認のために聞いてみました。

あ、もちろん知ったところで何かをするわけでもありませんわよ?

ただ、情報の1つとして少し危険な令嬢がいる、と頭に入れておこうと思ったんですの。

レオンハルト様は私の質問に対して、一瞬悩んだような顔をしましたが、すぐに

「まぁ、知らないより知っていた方がいいですよね」

と言って、さっきの令嬢のことについて話をしてくれましたわ。

あの令嬢は、レオンハルト様と同じ学園に通っている子爵家の令嬢ならしいんですが、初めて会った時からずっとあのように相当アプローチを受けているんだとか。

昨日ジャミン様が言っていたダンスの最中に喧嘩を売ってきた令嬢というのもあの令嬢らしく、本当にうんざりしているんだ、とため息交じりで教えてくれましたわ。

ちなみに、あの令嬢は『アーリナ・キリタンス』様というらしいんですが、歴史のあるような家柄ではなく今の子爵の代から貴族となったらしいんですのよね。

まぁ、ハッキリと言ってしまえば成金貴族だ、ということみたいですわ。

なので、子爵としても歴史のある家出身のレオンハルト様を婿として迎え入れて、周りの評判をどうにかしたい、と考えているらしく、令嬢だけではなく子爵からの圧も相当凄いみたいですわね。

私はそのような熱烈なアプローチを受けたことがないのでわかりませんが.....毎回毎回あのようなことをされるのであれば、レオンハルト様が女性を苦手とするのも納得できますわ。
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