189 / 344
189話
しおりを挟む
とりあえず、と思ってユーティン様同様、私もなぜレオンハルト様がユーティン様と婚約していなかったのか、疑問に思いながらチラッと隣にいるレオンハルト様に視線を向けましたわ。
すると、レオンハルト様はユーティン様の質問に対して、はぁ.....と深いため息をついたかと思ったら
「逆に聞くけど、僕のことを知っている、と言ったけど、何を知っているの?セリスティア様には自分のことを隠さずに話したけど、ユーティン嬢には僕のことを話したことがないよね」
淡々とそう言いましたの。
これには、私も驚きましたが、ユーティン様も相当驚いているみたいで
「なっ.......」
と顔を真っ赤にさせていますわ。
レオンハルト様の何を知っているのか、ですか.....。
確かに、婚約するにあたって変に隠し事をしても後に厄介になることがわかっているので、出来るだけ包み隠さずレオンハルト様とはお話していますわ。
そのおかげで、レオンハルト様がこの国の令嬢をどう思っているのか、しっかりと把握することが出来ていますし、私自身そのような令嬢にならないように気を付けよう、と意識が出来ていますもの。
幼い頃から仲良くしていた、とのことなので、てっきりユーティン様にも私と同じような話をしているものだと思っていましたが......ユーティン様の様子を見ると、レオンハルト様の言っていることは本当ですのね。
長年一緒に居るのに相手のことを知らないなんて.....一体今まで何をしていたのか、逆に気になりますわ。
なんて思っていると、顔を真っ赤にして固まっているユーティン様に容赦なく、レオンハルト様は
「毎回会うたびに自分の事ばかり話して、自慢ばかりして.....僕の話を聞いてくれた?自分のことばかりだったよね」
と言葉を続けていますわね。
あー.....なんだか納得ですわ。
さっきの2人の様子を見て私も思っていましたが、自分が聞き手に回る、ということをしない人ですのね。
どうりでさっきの2人のやり取りも、ユーティン様の一方的なものだったわけですわ。
そう思いながら、少し気になって辺りを見渡してみると、どうやらユーティン様はレオンハルト様以外にも同じようなことをしているみたいで
「確かに、私も普段はユーティン様の一方的な話を聞いているだけですわね」
「今まで気にしたことがありませんでしたが、私も......」
という声が聞こえてきましたわ。
あらまぁ.......ユーティン様の第一印象としては、男性の一歩後ろで大人しくニコニコ微笑んでいそうな人、だったんですが、どうやら真逆だったみたいですわね。
まぁ、人の婚約者を奪う気満々で近付いてくる令嬢にいい人はいない、ということですわね。
心の中でそう思いながらユーティン様を眺めていると、一通り言いたいことは伝えたんでしょう。
レオンハルト様が大きくため息をついて
「じゃあ、僕は自分の婚約者と一緒にいたいから失礼するよ」
と言って、私の腰に手を置いたまま、ユーティン様の近くを後にしましたわ。
立ち去る前に、ユーティン様から何か言われると思って身構えていましたが......レオンハルト様の言葉が余程ショックだったんでしょうね。
呆然としたまま立ち尽くすだけで、少し安心しましたわ。
すると、レオンハルト様はユーティン様の質問に対して、はぁ.....と深いため息をついたかと思ったら
「逆に聞くけど、僕のことを知っている、と言ったけど、何を知っているの?セリスティア様には自分のことを隠さずに話したけど、ユーティン嬢には僕のことを話したことがないよね」
淡々とそう言いましたの。
これには、私も驚きましたが、ユーティン様も相当驚いているみたいで
「なっ.......」
と顔を真っ赤にさせていますわ。
レオンハルト様の何を知っているのか、ですか.....。
確かに、婚約するにあたって変に隠し事をしても後に厄介になることがわかっているので、出来るだけ包み隠さずレオンハルト様とはお話していますわ。
そのおかげで、レオンハルト様がこの国の令嬢をどう思っているのか、しっかりと把握することが出来ていますし、私自身そのような令嬢にならないように気を付けよう、と意識が出来ていますもの。
幼い頃から仲良くしていた、とのことなので、てっきりユーティン様にも私と同じような話をしているものだと思っていましたが......ユーティン様の様子を見ると、レオンハルト様の言っていることは本当ですのね。
長年一緒に居るのに相手のことを知らないなんて.....一体今まで何をしていたのか、逆に気になりますわ。
なんて思っていると、顔を真っ赤にして固まっているユーティン様に容赦なく、レオンハルト様は
「毎回会うたびに自分の事ばかり話して、自慢ばかりして.....僕の話を聞いてくれた?自分のことばかりだったよね」
と言葉を続けていますわね。
あー.....なんだか納得ですわ。
さっきの2人の様子を見て私も思っていましたが、自分が聞き手に回る、ということをしない人ですのね。
どうりでさっきの2人のやり取りも、ユーティン様の一方的なものだったわけですわ。
そう思いながら、少し気になって辺りを見渡してみると、どうやらユーティン様はレオンハルト様以外にも同じようなことをしているみたいで
「確かに、私も普段はユーティン様の一方的な話を聞いているだけですわね」
「今まで気にしたことがありませんでしたが、私も......」
という声が聞こえてきましたわ。
あらまぁ.......ユーティン様の第一印象としては、男性の一歩後ろで大人しくニコニコ微笑んでいそうな人、だったんですが、どうやら真逆だったみたいですわね。
まぁ、人の婚約者を奪う気満々で近付いてくる令嬢にいい人はいない、ということですわね。
心の中でそう思いながらユーティン様を眺めていると、一通り言いたいことは伝えたんでしょう。
レオンハルト様が大きくため息をついて
「じゃあ、僕は自分の婚約者と一緒にいたいから失礼するよ」
と言って、私の腰に手を置いたまま、ユーティン様の近くを後にしましたわ。
立ち去る前に、ユーティン様から何か言われると思って身構えていましたが......レオンハルト様の言葉が余程ショックだったんでしょうね。
呆然としたまま立ち尽くすだけで、少し安心しましたわ。
39
あなたにおすすめの小説
ある辺境伯の後悔
だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。
父親似だが目元が妻によく似た長女と
目元は自分譲りだが母親似の長男。
愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。
愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。
妹がいなくなった
アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。
メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。
お父様とお母様の泣き声が聞こえる。
「うるさくて寝ていられないわ」
妹は我が家の宝。
お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。
妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?
短編 お前なんか一生結婚できないって笑ってたくせに、私が王太子妃になったら泣き出すのはどういうこと?
朝陽千早
恋愛
「お前なんか、一生結婚できない」
そう笑ってた幼馴染、今どんな気持ち?
――私、王太子殿下の婚約者になりましたけど?
地味で冴えない伯爵令嬢エリナは、幼い頃からずっと幼馴染のカイルに「お前に嫁の貰い手なんていない」とからかわれてきた。
けれどある日、王都で開かれた舞踏会で、偶然王太子殿下と出会い――そして、求婚された。
はじめは噂だと笑っていたカイルも、正式な婚約発表を前に動揺を隠せない。
ついには「お前に王太子妃なんて務まるわけがない」と暴言を吐くが、王太子殿下がきっぱりと言い返す。
「見る目がないのは君のほうだ」
「私の婚約者を侮辱するのなら、貴族であろうと容赦はしない」
格の違いを見せつけられ、崩れ落ちるカイル。
そんな姿を、もう私は振り返らない。
――これは、ずっと見下されていた令嬢が、運命の人に見初められる物語。
ヴェルセット公爵家令嬢クラリッサはどこへ消えた?
ルーシャオ
恋愛
完璧な令嬢であれとヴェルセット公爵家令嬢クラリッサは期待を一身に受けて育ったが、婚約相手のイアムス王国デルバート王子はそんなクラリッサを嫌っていた。挙げ句の果てに、隣国の皇女を巻き込んで婚約破棄事件まで起こしてしまう。長年の王子からの嫌がらせに、ついにクラリッサは心が折れて行方不明に——そして約十二年後、王城の古井戸でその白骨遺体が発見されたのだった。
一方、隣国の法医学者エルネスト・クロードはロロベスキ侯爵夫人ことマダム・マーガリーの要請でイアムス王国にやってきて、白骨死体のスケッチを見てクラリッサではないと看破する。クラリッサは行方不明になって、どこへ消えた? 今はどこにいる? 本当に死んだのか? イアムス王国の人々が彼女を惜しみ、探そうとしている中、クロードは情報収集を進めていくうちに重要参考人たちと話をして——?
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……
【完結】元お義父様が謝りに来ました。 「婚約破棄にした息子を許して欲しい」って…。
BBやっこ
恋愛
婚約はお父様の親友同士の約束だった。
だから、生まれた時から婚約者だったし。成長を共にしたようなもの。仲もほどほどに良かった。そんな私達も学園に入学して、色んな人と交流する中。彼は変わったわ。
女学生と腕を組んでいたという、噂とか。婚約破棄、婚約者はにないと言っている。噂よね?
けど、噂が本当ではなくても、真にうけて行動する人もいる。やり方は選べた筈なのに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる