私のことを追い出したいらしいので、お望み通り出て行って差し上げますわ

榎夜

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243話

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リーシャ様から話を聞いた私の感想、というのは......正直、気持ちはわからなくもない、というのが本音ですわね。

というのも、本当にしんどい思いをしている時に、他人でも関りがない人からでも優しい言葉をかけられると嬉しいものですわよね。

なので、カティ様なりに本当に辛い気持ちだったんでしょう。

そんな時に優しい言葉をかけられたら........私もカティ様のように執着してしまうかもしれませんわ。

はぁ......この話を聞いてしまったらカティ様のことを責められなくなってしまいますわよね。

むしろ、誰かに何か文句のようなことを言われていたら庇ってあげたくなってしまうといいますか......。

そう思いながら大きく息を吐くと、私が息を吐いたのをため息だと思ったらしく

「す、すみません......こんな話をされても困りますよね」

慌てた様子でリーシャ様に謝罪をされてしまいました。

なんだかさっきから謝罪をされてばかりのような気もしますが、もちろんリーシャ様は何も悪くありませんし、私自身怒っている訳でもありません。

私もこの話をしている時にため息のような息を吐くべきではありませんでしたわ。

なんて思いながら、シュンとした顔をしているリーシャ様に

「いえ、ため息をついたわけではありませんし、私の方から質問したことなので、気にしないでください」

と言って苦笑しましたわ。

うーん......それにしても、この2人の問題となっていることの原因が全て伯爵にあるんですのよね。

このまま私が帰国してもまた何か問題が起こって、同じようなことの繰り返し、となるのが目に見えていますわ。

だからと言って、近くにいない私がどうにかできる問題でもありませんし.........何よりも夫人は自分の娘たちがこのような状況になっているのに、何をしているんでしょう?

そう思いながらリーシャ様を見ると、私の言葉を聞いてもまだ申し訳なく感じているんでしょう。

シュンとした顔まま、下を向いてしまっています。

そんなリーシャ様に

「カティ様の行動について、元々怒っていたわけではありませんし、何かあったんだろう、とは思っていましたが.......まさかこのような理由だとは思ってもいませんでしたわ」

と言って力なく笑うと

「実は私もお母様から4日前くらいに聞いて.......セリスティア様に話す前に帰ってしまうかも、と思ったらいてもたってもいられなくなったんです」

私につられたのか、リーシャ様もそう言うと、力なく笑いましたが.....私に話す前に帰ってしまうかも、ですか.....。

「もしかして、この話をしたくてわざわざ来てくれましたの?」

恐る恐る、といいますか......そうなのか、という驚きと動揺とで複雑な気持ちになりながらリーシャ様にそう尋ねると、リーシャ様は

「あ、この話だけが目的だというわけでもないけど.........でも、話せたらいいな、とは思って.....」

というと恥ずかしそうに斜め下を向いてしまいましたわ。

そんなリーシャ様があまりにも可愛らしくて、そして私のことを考えて行動してくれたことにも嬉しく感じた私は

「感謝しますわ。カティ様に対して悪い印象だけを持っていたくなかったですし」

自分の出来る限りの優しい笑みをリーシャ様に向けて、そう言いましたわ。

やっぱり、カティ様も私の初めての教え子なのは変わりないですからね。

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