14 / 166
冬の訪れ
しおりを挟む
本格的に寒くなってきた。この世界で雪は降るのか分からないけど、温度自動調節の付与にも限界はあるみたいなので、町で買った厚手のコートを着た。
何の付与も付いてなかったので、とりあえずクリーンの付与を付けた。
「ピピッ!」
「お帰り、フレイム」
飛べるようになったフレイムは、近場だけは許可を出した。もう赤ちゃんじゃない。食事も普通の物を食べられるようになった。
(主、もう山菜は無理そうだ)
こっちはランス。そう。念話を覚えたのだ。メイって呼んでってお願いしてるのに、ランスは時々私を主って呼ぶ。
そうして今は、聖域の所じゃなくてダンジョンの近くに引っ越している。
寒くなる前に冒険者達は町に引き上げて行った。
私は今、木に干し柿を吊るしている。
どうやらゲーム農園では私がいない間は時間が止まっているみたいで、干しいもを作ろうとして、出来なかった。
どういう仕組みなのか?次の日には出荷箱は空になっているし、同じ日に時間を置いても出荷はされていない。それに、ゲームでの1日の時間は20分もなかった筈だ。まあ、その代わりに作物が1日で済むのかもしれないけど。
まあ、考えても分かる訳はない。それに干し柿にはこの寒さも大切だ。
魚の一夜干しは亜空間の中でやっている。外だと魔物に美味しく頂かれちゃうからね。
(うにゃ…今日も寒いにゃ)
私はシュガーに作ってあげた猫用ベストの中に仕込まれた魔道具に魔力を流す。
ただ熱を発するだけの魔道具。だけどとっても便利なホッカイロの魔道具だ。
今日から中断していたダンジョンの探索だ。このダンジョンは人気がないのか、先日までいたパーティー以外は見ていない。
とってもいいダンジョンだと思うけどな?食料品が手に入るなんて、ダンジョン親切!
緑豆を集めてから3階層へ。
「もふもふだけどテイム出来ないから仕方ないよね!でもジンギスカンは美味しかったよ!」
それに、どうやらテイム出来る数には限りがあるらしい。魂の容量的な?
まあ私はアルミネアの加護で魂が拡張されてるみたいだけど、限界もあるだろう。
それともう一つ。従魔が犯した罪は主の責任になるらしい。
うちの子達が何か悪い事をやらかすとは思えないけど、今の戦力で充分だと思ってる。
シュガーとランスは私が他のもふもふに興味を示すと途端に不機嫌になる。
だからこれからは、余程の事がない限り、従魔を増やすのは止めようと思う。
さて、そろそろ次の階へ進もうかな?
四階層は相変わらずカマキリだ。でも私だってあの頃の私よりは成長してる。レベルも勿論だけど、魔法ばかりに頼っていない。きっとラスカームに言わせるとまだまだって言われるだろうけど。
ジャンプしてからのダンジョンの壁を蹴って、首に攻撃。
しかもちゃんと間合いを図って出来るようになった。
うーん。やっぱり階段は見つからないな。ここが最終階層?そんな馬鹿な。
だけど、それでもしつこく壁を探っていたら、床と程近い位地の壁に不自然な窪みを見つけた。
これは絶対に何かある!
押しても駄目。引いても駄目。壁は硬く、攻撃は通りそうもない…ん?この窪みは…
メイは思い切って上に引き上げた。シャッターガラガラ。
(驚いたにゃー)
(うむ。まさかそう来るとは)
いや、私もこんな風に開いて驚いている。
その先には、やはりというか、階段があった。
5階層を見て驚いた。一瞬外へ出てしまったのかと思った。
空は青空。木々が生い茂り、赤い花も咲いている。
「凄い、綺麗!」
無防備に足を踏み出す私を、ランスが服を咥えて押さえてくれた。
(魔物の気配が濃厚だ。警戒しないと危険だ)
(ご、ごめん…)
一瞬、ダンジョン内だという事を忘れていた。
だってお花咲いてるし。
鑑定 ポイズンフラワー 赤花の魔化したもの
毒花かい!剣でスパッと切り裂くと、小瓶を落とした。
鑑定 赤花の雫 甘い液体。通常は赤花から搾られたエキス
あ、やっぱりあの甘味だ!て事はやっぱり砂糖の代わりなんだ。
うわ…木も動くんだ。剣で攻撃するも、なかなか倒れない。なら、植物には火でしょう。
カラ~ン。ドロップアイテムは枝1本。せこい!
鑑定 トレントの枝 杖や弓の素材として使われる。
動く木はやっぱりトレントか。お約束だね。
あ、普通の魔物もいるのか…って!アジタケ?巨大なアジタケが槍持って向かってくる!
斬っても血も出ないし、ダメージは入っているのか分かりにくいけど、ある程度攻撃したら縮んで普通サイズのアジタケになった。
「納得いかない…」
(植物は魔化すると大概大きくなるにゃ。槍は分からないけど)
まあいいや。キノコはあれば重宝する。
まさかシロップが砂糖代わりだったなんて。オリゴ糖のような物なのかな?栄養分は全く違うだろうけど。
階段を探しながら採取を続ける。と、トレントを倒した時に赤い実を落とした。
トレントの実 甘酸っぱい。魔力回復効果がある。
おお!トロリと崩れるような食感で、確かに甘酸っぱい。これはレアアイテム?確か実の生ったトレントも何体か見かけたけど、倒しても枝しか拾えなかった。
よし!
私は実の生ったトレントを見つけると、倒す前に実を収穫した。それから倒しても、極たまに実をドロップする事が分かった。
美味しい上に魔力も回復するなんて最高じゃん!
5階層最高!
(メイ、階段を見つけたぞ)
あ…まあ、とりあえず魔法石にだけ触れておこう。
(ごめんね。夕飯まで今日は5階層ね?)
順番に食べられる物が出てくるって事は、次は食べられない魔物だろうし、シロップもトレントの実ももっと欲しい!
(そういうと思ったにゃ…)
(我等は主に従うのみだ)
でも諦めモードなのね…
けど甘味は重要。今までおやつは殆どリンゴかオレンジだったんだから、仕方ないじゃない?
まずはジャムを作ろうかな。飴もいいよね。砂糖代わりだから、クッキー、牛乳寒天、小豆が出たらあんこも作れるし!
「えへへ…」
((………))
何の付与も付いてなかったので、とりあえずクリーンの付与を付けた。
「ピピッ!」
「お帰り、フレイム」
飛べるようになったフレイムは、近場だけは許可を出した。もう赤ちゃんじゃない。食事も普通の物を食べられるようになった。
(主、もう山菜は無理そうだ)
こっちはランス。そう。念話を覚えたのだ。メイって呼んでってお願いしてるのに、ランスは時々私を主って呼ぶ。
そうして今は、聖域の所じゃなくてダンジョンの近くに引っ越している。
寒くなる前に冒険者達は町に引き上げて行った。
私は今、木に干し柿を吊るしている。
どうやらゲーム農園では私がいない間は時間が止まっているみたいで、干しいもを作ろうとして、出来なかった。
どういう仕組みなのか?次の日には出荷箱は空になっているし、同じ日に時間を置いても出荷はされていない。それに、ゲームでの1日の時間は20分もなかった筈だ。まあ、その代わりに作物が1日で済むのかもしれないけど。
まあ、考えても分かる訳はない。それに干し柿にはこの寒さも大切だ。
魚の一夜干しは亜空間の中でやっている。外だと魔物に美味しく頂かれちゃうからね。
(うにゃ…今日も寒いにゃ)
私はシュガーに作ってあげた猫用ベストの中に仕込まれた魔道具に魔力を流す。
ただ熱を発するだけの魔道具。だけどとっても便利なホッカイロの魔道具だ。
今日から中断していたダンジョンの探索だ。このダンジョンは人気がないのか、先日までいたパーティー以外は見ていない。
とってもいいダンジョンだと思うけどな?食料品が手に入るなんて、ダンジョン親切!
緑豆を集めてから3階層へ。
「もふもふだけどテイム出来ないから仕方ないよね!でもジンギスカンは美味しかったよ!」
それに、どうやらテイム出来る数には限りがあるらしい。魂の容量的な?
まあ私はアルミネアの加護で魂が拡張されてるみたいだけど、限界もあるだろう。
それともう一つ。従魔が犯した罪は主の責任になるらしい。
うちの子達が何か悪い事をやらかすとは思えないけど、今の戦力で充分だと思ってる。
シュガーとランスは私が他のもふもふに興味を示すと途端に不機嫌になる。
だからこれからは、余程の事がない限り、従魔を増やすのは止めようと思う。
さて、そろそろ次の階へ進もうかな?
四階層は相変わらずカマキリだ。でも私だってあの頃の私よりは成長してる。レベルも勿論だけど、魔法ばかりに頼っていない。きっとラスカームに言わせるとまだまだって言われるだろうけど。
ジャンプしてからのダンジョンの壁を蹴って、首に攻撃。
しかもちゃんと間合いを図って出来るようになった。
うーん。やっぱり階段は見つからないな。ここが最終階層?そんな馬鹿な。
だけど、それでもしつこく壁を探っていたら、床と程近い位地の壁に不自然な窪みを見つけた。
これは絶対に何かある!
押しても駄目。引いても駄目。壁は硬く、攻撃は通りそうもない…ん?この窪みは…
メイは思い切って上に引き上げた。シャッターガラガラ。
(驚いたにゃー)
(うむ。まさかそう来るとは)
いや、私もこんな風に開いて驚いている。
その先には、やはりというか、階段があった。
5階層を見て驚いた。一瞬外へ出てしまったのかと思った。
空は青空。木々が生い茂り、赤い花も咲いている。
「凄い、綺麗!」
無防備に足を踏み出す私を、ランスが服を咥えて押さえてくれた。
(魔物の気配が濃厚だ。警戒しないと危険だ)
(ご、ごめん…)
一瞬、ダンジョン内だという事を忘れていた。
だってお花咲いてるし。
鑑定 ポイズンフラワー 赤花の魔化したもの
毒花かい!剣でスパッと切り裂くと、小瓶を落とした。
鑑定 赤花の雫 甘い液体。通常は赤花から搾られたエキス
あ、やっぱりあの甘味だ!て事はやっぱり砂糖の代わりなんだ。
うわ…木も動くんだ。剣で攻撃するも、なかなか倒れない。なら、植物には火でしょう。
カラ~ン。ドロップアイテムは枝1本。せこい!
鑑定 トレントの枝 杖や弓の素材として使われる。
動く木はやっぱりトレントか。お約束だね。
あ、普通の魔物もいるのか…って!アジタケ?巨大なアジタケが槍持って向かってくる!
斬っても血も出ないし、ダメージは入っているのか分かりにくいけど、ある程度攻撃したら縮んで普通サイズのアジタケになった。
「納得いかない…」
(植物は魔化すると大概大きくなるにゃ。槍は分からないけど)
まあいいや。キノコはあれば重宝する。
まさかシロップが砂糖代わりだったなんて。オリゴ糖のような物なのかな?栄養分は全く違うだろうけど。
階段を探しながら採取を続ける。と、トレントを倒した時に赤い実を落とした。
トレントの実 甘酸っぱい。魔力回復効果がある。
おお!トロリと崩れるような食感で、確かに甘酸っぱい。これはレアアイテム?確か実の生ったトレントも何体か見かけたけど、倒しても枝しか拾えなかった。
よし!
私は実の生ったトレントを見つけると、倒す前に実を収穫した。それから倒しても、極たまに実をドロップする事が分かった。
美味しい上に魔力も回復するなんて最高じゃん!
5階層最高!
(メイ、階段を見つけたぞ)
あ…まあ、とりあえず魔法石にだけ触れておこう。
(ごめんね。夕飯まで今日は5階層ね?)
順番に食べられる物が出てくるって事は、次は食べられない魔物だろうし、シロップもトレントの実ももっと欲しい!
(そういうと思ったにゃ…)
(我等は主に従うのみだ)
でも諦めモードなのね…
けど甘味は重要。今までおやつは殆どリンゴかオレンジだったんだから、仕方ないじゃない?
まずはジャムを作ろうかな。飴もいいよね。砂糖代わりだから、クッキー、牛乳寒天、小豆が出たらあんこも作れるし!
「えへへ…」
((………))
応援ありがとうございます!
10
お気に入りに追加
1,298
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる