37 / 166
森の事
しおりを挟む
アロカシアに森の事を聞いた。何しろその辺の国以上の面積を誇る森だ。世界樹以外にも見所もあれば、美味しい魔物の情報。まあ、美味しい魔物はやっぱり強いみたいだけど、いずれは狩って食べてみたいな。
それと温泉だ。結構熱い湯が湧いて出てくるそうだ。
アロカシアが自信満々に、近付く魔物は威圧で追い払ってくれるというし、いつかは入りに行きたい。
かなり距離があるみたいだから、フレイムには難しいかな…アロカシアも知識として知っているだけなので、ロングワープでは飛べない。人に見られない時間に飛んで、ゲートを開いてくれるそうだ。うん。楽しみ!
春休みももう終わるから、楽しみは夏休みに取っておこう。
竜は眠る事で世界を知ることができるという。
「でもね、学校に行っている間は流石に命の心配はないよ?シュガーもいるし、安心だよ?」
「だが、町には悪い人族もいるだろう?もし拐われたら」
「その時は念話で助けを呼ぶよ」
というか、平民の子供を誘拐しても、メリットは少ない。
鑑定で稼いだお金は持っているけど、個人の能力に関する情報は商業、冒険者、どちらのギルドもちゃんと守ってくれる。
危ないのは商業ギルドの方だけど、鑑定スキルを持つ私を、ギルドも失いたくはないだろう。
「なら、私達が学校に行っている間は、料理の腕を磨いておいてくれると嬉しいかな」
アロカシアが料理をしてくれるなら、みんな生肉を食べないで済む。
「主の魔力が感じられない食事は、何であろうと構わないと思うのだが…」
「そうだな。俺もそう思う」
なら、魔法で出した水をせめてたくさん置いていこう。それはなるべく料理に使うようにして、まあ勿論、作り置きもなるべく届けるようにするけど。
聖域の湖から町へ行くのとは反対方向へ足を向ける。
「魔素の湖…もしやここに住んでいたのか?」
「そうだよ?最初に落ちたのがここで、だからここからスタートするしかなくて」
魔素の湖なんて呼ばれているのは知らなかった。
確かにこの湖の水は魔素が多量に含まれている。
聖域になっているせいか、魔物は近付く事さえ出来なかったから、降りた当初は随分助かった。
「聖域には普通、滞在を許されないものだが、主は特別だな」
まあ、もっと住んじゃダメな所…神様達の場所に三年間も住んでいたから、今更だけど。
「色々事情がね…それより、そろそろメイって呼んで欲しいな」
「それは、追々…」
全く、只の人族の子供に何遠慮しているんだか…
学校が始まる前に、町で買い物をする事にした。
それと、ヤブランのギルド登録だ。
「待て待て待て!…ギルドとしては嬉しいが、お前さんの関係者は凄い奴ばかりだな」
「おじさん誰だっけ?」
「ギルドマスターだ」
ああ…まだ見慣れないからかな?外国人の顔を見分けるのは難しいよね…まあ、そうも言ってられないけどね。
「見ただけで分かるのかな?」
「俺は元、Aランクの冒険者だからな。早くランクを上げてもっと上の依頼もこなせるようになってくれ」
「我は登録初日だ。ランス達とパーティーを組むとはいえ、買い被られても困る」
武器の練習もこれからだもんね…むしろ素手の方が強い気がするけど。
それからはお買い物だ。ヤブランは勿論鑑定も持っているから、いい物を選ぶ。
(でもヤブラン、それ、呪いがかかった品みたいだよ?)
だから物の割には安く売られてたけど。
(問題ない…ディスペル)
解呪か…ちょっと私もやってみたかった。
使用すると体力を奪う呪いが付与されていた。
呪いを付与するなんて、どんな状況だったのか…そういえば、闇系の魔法はあんまり使ってないな。
麻痺や毒。練習していて損はないかも。
例えば攻撃する直前にランスの剣とかに麻痺を付与すれば、持続は要らないから魔石も使わない。
今度使ってみよう。
春野菜がもう並んでいる。少々高いけど、見た事ない野菜もあるし、買って出荷してみよう。
それよりも高いのが肉で、今はまだ、需要に供給が追い付いていない。
(折角だし、狩りでもする?)
ヤブランも、新しい自分の弓を使ってみたいだろう。
「ふむ…なかなか上手くいかないな」
弓って難しそうだもんね。
「にゃーが捕まえていいにゃ?」
でも、逃げちゃったし…って、速っ!
獲物にじゃれつく大型の仔猫…好奇心旺盛な只の猫だね。
「人の姿をしているのに、あれでは人に見えないな」
ランスの言う通り。
「接近戦が嫌なら、槍とかは?」
「いや、上手く扱えないからといって、簡単に手放すつもりはない」
まあ、ヤブランの好きにすればいいと思う。
ホーンラビットを数匹。他の冒険者もいたから、思ったように狩りが出来なかった。
「狩り場を変えよう」
行くのは、オークが多く生息する地域。
オークが多く…いやいや。
あんな大きな的、外す訳がない。けど…
「弦が切れたな」
お店に置いてある時もちゃんとメンテナンスされてなかったかんだろうな…呪われてるし。
「はっ!」
ちょ、ちょっと…オークを殴り飛ばしたよ…
「す…凄いね。格闘家の方がいいんじゃ?」
「だが、それでは主が守れない」
「そ、そう…まあいいや」
そこまで過保護にしなくても…私もそこそこ戦えるんだけどな。
「あとは牛肉もあった方がいいよね」
「ならば、少しお待ちを」
ヤブランが、ロングワープで飛んだ…私もつい最近やっと使えるようになったのに…
すぐに亜空間を開いて出てきた。
「この先に、ミノタウロスが群れるエリアがある」
「ミノタウロス…二足歩行の牛だっけ?」
牛といえばウォーターバッファローだと思っていたけど、ヤブランのお勧めなら、挑戦してみようかな。
出た先で、二匹程見かけた。オークより大きくて、筋肉質だ。そして放つ気配も…これは強いな。
ランスとシュガーは即座に人化を解く。フレイムは及び腰だ。
(フレイムは影に入っていて)
ブレスによる山火事も怖いからね。
ヤブランは、まずは私達の力量を見定めるつもりのようだ。弓も壊れてしまったし、ランスやシュガーの戦いも見たいのだろう。
浅いか…げ!再生能力まであるのか。魔法に切り変えよう。
シュガーもランスに支援魔法を使っている。
「離れて!」
雷を落としたら一度は倒れたが、まだ生きている。
シュガーのソニックウェーブが、首に食い込む。
ランスはもう一匹を牽制している。
危ない!
ミノタウロスの一撃を食らって吹き飛ぶランス。
ヤブランが動いたので、私はランスの回復に向かう。
ヤブランはあっさりとミノタウロスを仕留めたけど、もう少し早く動いてくれれば、ランスも痛い思いをせずに済んだのに…
「ヤブラン、仲間なんだから、助け合わないと」
(いや…俺の力不足だ)
「そうだな…サンダーウルフでありながら、先に主が雷を使って相手を無力化しているのに、何故打たなかった」
(俺の雷は効かないと判断した…メイのあの一撃でさえ、命を刈り取るには至ってない。とすれば、別の方法でやるしかあるまい)
科学的知識の差かな…でもランスの雷だって、麻痺位はさせられたはずだ。
ヤブランは敢えて最初から手出しをしなかった。それはランスには信じられない事かもしれない。
「森の奥にはまだ強い魔物がいそうだね。ランス…みんなで強くなろうね」
それと温泉だ。結構熱い湯が湧いて出てくるそうだ。
アロカシアが自信満々に、近付く魔物は威圧で追い払ってくれるというし、いつかは入りに行きたい。
かなり距離があるみたいだから、フレイムには難しいかな…アロカシアも知識として知っているだけなので、ロングワープでは飛べない。人に見られない時間に飛んで、ゲートを開いてくれるそうだ。うん。楽しみ!
春休みももう終わるから、楽しみは夏休みに取っておこう。
竜は眠る事で世界を知ることができるという。
「でもね、学校に行っている間は流石に命の心配はないよ?シュガーもいるし、安心だよ?」
「だが、町には悪い人族もいるだろう?もし拐われたら」
「その時は念話で助けを呼ぶよ」
というか、平民の子供を誘拐しても、メリットは少ない。
鑑定で稼いだお金は持っているけど、個人の能力に関する情報は商業、冒険者、どちらのギルドもちゃんと守ってくれる。
危ないのは商業ギルドの方だけど、鑑定スキルを持つ私を、ギルドも失いたくはないだろう。
「なら、私達が学校に行っている間は、料理の腕を磨いておいてくれると嬉しいかな」
アロカシアが料理をしてくれるなら、みんな生肉を食べないで済む。
「主の魔力が感じられない食事は、何であろうと構わないと思うのだが…」
「そうだな。俺もそう思う」
なら、魔法で出した水をせめてたくさん置いていこう。それはなるべく料理に使うようにして、まあ勿論、作り置きもなるべく届けるようにするけど。
聖域の湖から町へ行くのとは反対方向へ足を向ける。
「魔素の湖…もしやここに住んでいたのか?」
「そうだよ?最初に落ちたのがここで、だからここからスタートするしかなくて」
魔素の湖なんて呼ばれているのは知らなかった。
確かにこの湖の水は魔素が多量に含まれている。
聖域になっているせいか、魔物は近付く事さえ出来なかったから、降りた当初は随分助かった。
「聖域には普通、滞在を許されないものだが、主は特別だな」
まあ、もっと住んじゃダメな所…神様達の場所に三年間も住んでいたから、今更だけど。
「色々事情がね…それより、そろそろメイって呼んで欲しいな」
「それは、追々…」
全く、只の人族の子供に何遠慮しているんだか…
学校が始まる前に、町で買い物をする事にした。
それと、ヤブランのギルド登録だ。
「待て待て待て!…ギルドとしては嬉しいが、お前さんの関係者は凄い奴ばかりだな」
「おじさん誰だっけ?」
「ギルドマスターだ」
ああ…まだ見慣れないからかな?外国人の顔を見分けるのは難しいよね…まあ、そうも言ってられないけどね。
「見ただけで分かるのかな?」
「俺は元、Aランクの冒険者だからな。早くランクを上げてもっと上の依頼もこなせるようになってくれ」
「我は登録初日だ。ランス達とパーティーを組むとはいえ、買い被られても困る」
武器の練習もこれからだもんね…むしろ素手の方が強い気がするけど。
それからはお買い物だ。ヤブランは勿論鑑定も持っているから、いい物を選ぶ。
(でもヤブラン、それ、呪いがかかった品みたいだよ?)
だから物の割には安く売られてたけど。
(問題ない…ディスペル)
解呪か…ちょっと私もやってみたかった。
使用すると体力を奪う呪いが付与されていた。
呪いを付与するなんて、どんな状況だったのか…そういえば、闇系の魔法はあんまり使ってないな。
麻痺や毒。練習していて損はないかも。
例えば攻撃する直前にランスの剣とかに麻痺を付与すれば、持続は要らないから魔石も使わない。
今度使ってみよう。
春野菜がもう並んでいる。少々高いけど、見た事ない野菜もあるし、買って出荷してみよう。
それよりも高いのが肉で、今はまだ、需要に供給が追い付いていない。
(折角だし、狩りでもする?)
ヤブランも、新しい自分の弓を使ってみたいだろう。
「ふむ…なかなか上手くいかないな」
弓って難しそうだもんね。
「にゃーが捕まえていいにゃ?」
でも、逃げちゃったし…って、速っ!
獲物にじゃれつく大型の仔猫…好奇心旺盛な只の猫だね。
「人の姿をしているのに、あれでは人に見えないな」
ランスの言う通り。
「接近戦が嫌なら、槍とかは?」
「いや、上手く扱えないからといって、簡単に手放すつもりはない」
まあ、ヤブランの好きにすればいいと思う。
ホーンラビットを数匹。他の冒険者もいたから、思ったように狩りが出来なかった。
「狩り場を変えよう」
行くのは、オークが多く生息する地域。
オークが多く…いやいや。
あんな大きな的、外す訳がない。けど…
「弦が切れたな」
お店に置いてある時もちゃんとメンテナンスされてなかったかんだろうな…呪われてるし。
「はっ!」
ちょ、ちょっと…オークを殴り飛ばしたよ…
「す…凄いね。格闘家の方がいいんじゃ?」
「だが、それでは主が守れない」
「そ、そう…まあいいや」
そこまで過保護にしなくても…私もそこそこ戦えるんだけどな。
「あとは牛肉もあった方がいいよね」
「ならば、少しお待ちを」
ヤブランが、ロングワープで飛んだ…私もつい最近やっと使えるようになったのに…
すぐに亜空間を開いて出てきた。
「この先に、ミノタウロスが群れるエリアがある」
「ミノタウロス…二足歩行の牛だっけ?」
牛といえばウォーターバッファローだと思っていたけど、ヤブランのお勧めなら、挑戦してみようかな。
出た先で、二匹程見かけた。オークより大きくて、筋肉質だ。そして放つ気配も…これは強いな。
ランスとシュガーは即座に人化を解く。フレイムは及び腰だ。
(フレイムは影に入っていて)
ブレスによる山火事も怖いからね。
ヤブランは、まずは私達の力量を見定めるつもりのようだ。弓も壊れてしまったし、ランスやシュガーの戦いも見たいのだろう。
浅いか…げ!再生能力まであるのか。魔法に切り変えよう。
シュガーもランスに支援魔法を使っている。
「離れて!」
雷を落としたら一度は倒れたが、まだ生きている。
シュガーのソニックウェーブが、首に食い込む。
ランスはもう一匹を牽制している。
危ない!
ミノタウロスの一撃を食らって吹き飛ぶランス。
ヤブランが動いたので、私はランスの回復に向かう。
ヤブランはあっさりとミノタウロスを仕留めたけど、もう少し早く動いてくれれば、ランスも痛い思いをせずに済んだのに…
「ヤブラン、仲間なんだから、助け合わないと」
(いや…俺の力不足だ)
「そうだな…サンダーウルフでありながら、先に主が雷を使って相手を無力化しているのに、何故打たなかった」
(俺の雷は効かないと判断した…メイのあの一撃でさえ、命を刈り取るには至ってない。とすれば、別の方法でやるしかあるまい)
科学的知識の差かな…でもランスの雷だって、麻痺位はさせられたはずだ。
ヤブランは敢えて最初から手出しをしなかった。それはランスには信じられない事かもしれない。
「森の奥にはまだ強い魔物がいそうだね。ランス…みんなで強くなろうね」
応援ありがとうございます!
10
お気に入りに追加
1,298
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる