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課外授業

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    課外授業は、いつもの担任の先生の他に、魔法の先生や、普段見ない先生もいる。
    生徒に万が一の事があったら大変だからだろう。
「よし!頑張るぞー!」
「メイ、お前は頑張り過ぎるなよ?一匹だけ倒したら、あとはクラスのフォローしてくれ」

    ちぇっ…串焼き食べ放題かと思ったのに。
    食べられない魔物は無視!…よし!ホーンラビット見つけた!
    サクッと首をはねて、血抜きしながら持って行く。
「早いな…さすが野生児。しかも一撃かよ…」
    何か言った?先生…
    軽く威圧してやると、びっくりしてキョロキョロしてる。

「じゃあ、他の子のフォローに行ってきます」

「リリー、足下にワームがいるよ」
「ええっ!?あ…害はなくても魔物には違いないもんね…良く分かったね…」
「魔力感知だよ」
    それって普通、地面の下も分かるのかな…等と思ったけど、ノルマをクリアすれば、あとは自由にできる。

「アルマ、木の上にイエローバイパーがいるよ」
「本当だ」
    魔法で仕留め、提出しに行く。

    エレンはもう、仕留めたみたいだ。勿論シュガーも。
    ゴブリンを仕留めている子もいる。食べられないのに。
(シュガー、向こうにコボルトを
追いかけている一団かいるから、フォローして)
(フォローにゃ?)
(追いかけている子達が倒せるように手伝ってあげて)

    私は、森に現れた探知に引っ掛かった魔物の様子を見てくる。
「ボード!森に入ったら駄目って言われたでしょ!」
「うるさい!黙れ!」

    鑑定    ビッグコッコ    コッコの進化系。雄の鶏冠には薬効成分がある

    ケガしてるじゃん…そうまでして名誉が大切なの?
    槍捌きはなかなか上手いけど、ビッグコッコの方が強いな…もう!蹴爪で蹴られてるじゃん!
「倒すよ!」
    見てられない。嘴の攻撃を左手に持った剣で受けて、右手の剣を一閃させると、首が落ちた。

「触るな!…あれ位、自分で倒せたのに…」
    ヒールは遮られたけど、回復の方が速い。
「そう…魔物を横取りして悪かったよ」
    大型犬並みの大きさのコッコを収納庫に仕舞う。

「…そうやって、魔法の才能もひけらかす訳ですか」
「そういう訳じゃないけど、空納?が使えないと、持って行くのは大変だよ」

    時間が流れる空納は、結構あっさりと覚えられた。
    収納庫の劣化版だけど、時間が経過した方がいい場合もある。漬物とかね。
    エイジングで時間を進めてもいいけど、物を熟成させる以外にも、中でもやしの水耕栽培も出来る。これは、私のイメージの問題かもしれないけど。

「ボード!森へ行くなと言ってあるだろう。副級長がルールを破ってどうする!」
「取り敢えずお陰で大きな獲物も取れたし、調理して食べましょう!」
    ビッグコッコを出すと、先生も驚いていた。
「これは、ボードが…いや、違うな。ビッグコッコも一撃かよ…」

    まあ、ね。槍の刺し傷とは全く違うからね。

「だが、残念ながら湯を沸かす用意はしていない」
「たらい持ってるよ。じゃあ、これは私がやる」
「だから鍋が…え」
    そんなの、温度を上げて出せばいいだけじゃん?

「それ、どうやったんですの?」
「ん?熱いお湯をイメージしたんだよ」
「…料理も出来るんですの?」
「うん。料理は結構好きだよ?」
    お嬢様は料理もしないのかな?

「本当にもう…その呪文を使わない魔法もだけど、色々な所で常識外なのね…」
    魔法の先生がため息交じりに言う。
   
    いや、常識はかなり覚えたよ?ただ、呪文には馴染めないだけで。
    呪文名を決めるのは、一度考えた魔法を思い出しやすくする効果もあるだけで。

    取り敢えず羽根は綺麗に毟れたので、先生が持ってきた塩を揉み込む。
(嬉しいにゃ!学校の時はメイの料理は食べられないと思ってたから)
    そういえばそうだ。他の従魔達には作り置きを用意してあるけど、私達は給食だもんね。

    みんなの目の前で串焼きを実践してくれる。
    でも、小学生に料理は難しいんじゃないかな…

    塩焼きだったらねぎまがいいな…ビッグコッコも美味しいし。
    串を刺すのも、希望者にはやらせている。それなりに出来る子もちゃんといる。
    そうか。家の仕事の手伝いもしないといけないんだね。年齢が低い子は出来てない子が多いな。

「外で食べるご飯は美味しいね!」
「そうだね。アルマ。エレンは何を倒したの?」
「グレーウルフだ。あと、ホーンラビットも倒した」
「一人一匹じゃなくていいんだ…それなら私ももっと狩れたかも」
「自重するように言われたのだろう?他の子が狩れなくなるからな」
「いくら魔物が少なくても、全部は狩れないし」
「メイは級長だからにゃ」

「ウルフ肉は硬いから料理向きではないし、放っておく訳にもいかないからな」

    確かに、他の子にはちょっと厳しいかも。
「一人で倒した訳じゃないしな」
    協力して倒すのもいいけど、他の子はみんな課題クリアできたのかな?

    テストって訳じゃないけど、こういう課題で来年の顔ぶれが変わるのは嫌だな。
「メイさん…私、決めたわ!その無詠唱の魔法。私もあなたが卒業する迄には使えるようになる!だからお願い、教えて?」
「ちょ…レイリー先生?」

「その代わり、あなたが読みたがっていた魔法の本を読ませてあげるわ」
「うう…分かりました」
    そんなに難しい事でもないと思うんだけどな。
    でも、読んだ事のない魔法の本なら嬉しいな。

「…難しいわね。どうしても生活魔法の水しか出ないわ」
「先生が得意な魔法って何ですか?」
「私は土と火の魔法属性があるわ」
「先生、他の魔法が全く使えないって訳じゃないですよね?水も出したし」
「それは、生活魔法だもの」

    うーん。それが常識として根付いてしまっているから、改善は難しいな…
「じゃあ、シュガーはどうなるんですか?もし誰でも使えるなら、ライト以外も使えると思いませんか?」
「獣人は、魔法を体外に出すのが得意ではないのです。ライトや、木魔法が使える方が珍しいのですよ」

    逆に獣人は身体強化が得意と言われているけど、シュガーの場合はただ強いだけだ。

    食後は、気配を察知したり、逆に自分の気配を消す練習をした。
    実戦になるかもしれない状況の方がスキルとして覚えやすい。

「ね、メイ。いつも言ってるイメージをすれば、私も空納の魔法を覚えられるかな?薬草なんかは手で持っていると、すぐに痛んじゃうから」
「覚えられると思うよ?時間が止まればもっといいけど、何もない空間に、自分だけの空間があると思えば」
「空間か…凄く難しそう」

    逆に私は収納庫を先に覚えたから、空納を覚える方が難しかった。
    亜空間の収納庫バージョンかなって思ったら覚えられた。

    あとは空間把握かな。それがないと、収納庫の中身の把握が出来ないからね。

「例えばさ、空中に見えないバッグがあると思えば?」
    電気を把握出来ないように、空間を把握するのも難しいみたいだ。
「ありがとう。そのうち絶対覚えるわ!」


    
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