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1日の終わりに

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    水源はアクアが教えてくれたので、ノームに手伝ってもらいながら、井戸を掘った。

    手押しポンプ…500
    電動井戸…20000

    この世界のどこに電気があるって?!…もう。

    手押しポンプを選択したら、穴の上にセットされて、呼び水を入れると、井戸水が出た。やった!
「ありがとうございます、使徒様!」

    もう…ミノリでいいのに。

「あと、鍛冶が出来る人っていますか?」
「鉱石さえあればな。長年やってないから、腕は衰えたかもしれんが」
    ヒゲもじゃのおじさんが軽く手を上げる。期待にヒゲがピクピクしてる。

「ノーム、この辺に鉱石はある?」
「ダンジョンにあるけど…当然魔物もいるよ?」
    うう…あっちもこっちも手詰まり?
    ううん、ちょっとでも戦えるようにならないと、だよね…地図を見ると、集落らしき物はまだあるし、多分どこもこんな感じだろう。

    怪我をしているクスさんは、血は止まっているみたいだけど、歩く時に足を庇っている。
    回復魔法とかあるのかな?

    多分、光魔法だよね?
    タップしたら、金髪縦ロールの妖精が出てきた。
「ふうん…何かどんくさそうな子ね。契約してあげてもいいけれど、わたくしと契約するには、何か光る物が必要よ!美しい物ね!」

    えええ…。宝石を検索するけど、みんな高価だ。
    魔法を覚えられるだけでいいんじゃない?と、思ったけど、妖精さんのアドバイスは役に立つし、高飛車だからって、それだけで契約しないのもな…
    下の方にスクロールさせていくと、何故かビー玉があった。

    そういえば、小さい頃ビー玉を乾煎りしてヒビを入れて遊んだな。キラキラして綺麗になるし。

    物は試しと、ビー玉を10ポイントで購入して、肉を焼いた石の上で焼く。

「ねえ?これでいい?」
「まあっ!確かにキラキラしていますわ!良くてよ。わたくしの名前はミカル。上位精霊よ!光魔法を極めたら、聖魔法を授けてあげますわ!」

『上位精霊と契約しました。10000ポイント加算されます』

    おお。10ポイントで、10000ポイント貰っちゃった!

    早速クスさんに、回復魔法を施す。
「!痛くない。ありがとうございます!」
「ミノリ、ありがとう!」
    コルンは、クスと手を取りあって喜んでいる。

「ありがとうございます、使徒様。ホトス様に宜しくお伝え下さい」
    あー…いや、希望を奪うような事、言わない方がいいよね。

    辺りはもう真っ暗だ。あ、でもトールが部屋をくれたんだよね?
「はぁ…今からスタート地点まで歩くのか…」
「大丈夫なはずですよ?あの勇者はどこでも自由に部屋に戻っていましたから」
「本当?アクア」

    なるほど…ドアを意識すれば、どこからでも入れるんだ。そして、一度行った所なら、どこからでもドアを通して行き来出来ると。

    便利過ぎるどこでも…
    何故か家の引き戸だ。出た時は開き戸だったのに。
    イメージだから?

「お疲れ様、だな。初日から頑張ってるじゃん」
「え…って、トール?見てたの?」

    椅子に座ると、トールが目の前のテーブルを軽く叩いた。…おおー!凄いご馳走!

「初日だしな。体もスマホも不具合がなさそうで結構。だけど、まさか何の準備もせずに出て行くとは思わなかったぜ。お陰でずっとヒヤヒヤしてたよ」

    あー…返す言葉もありません。

    異世界料理は美味しいけど、お米がないのがちょっと残念。

「ねえ?やっぱり通話とか出来ないんだよね」
    家族に友人。せめて元気な事を伝えたい。
「いや、死者が元気って…ミノリ、実は馬鹿なの?」

「もう!心読まないでよ!プライバシーの侵害!」
    それに馬鹿じゃないもん!頭はそれなりに良かったもん!

「精霊に訊く、でもいいけどさ、折角説明文入れておいたんだから、読んでくれよ」

    取説を読むのは苦手だけど…努力しよう。
「勇者が来て、邪神は滅んだんだよね?その人が世界再生もやってくれなかったの?」
「最初からそういう約束だったし、妻子持ちだったからな。それに、再生にには向かない奴だったし」

    うーん。脳筋?
「でも、村の様子とか、かなり酷い感じなんだよね…元々あんな感じなの?」

「いや…ホトス殿が消滅して、時間も経っていたし…俺は直接手出し出来ないからな。見合う魂もなかなか見つからなくて。正直、若過ぎると思ったし、迂闊な子だから迷ったけど」

「う、それでも妥協したって事?」
「ち、違うぞ!ちゃんと適正な魂を選んだ!この俺に選ばれたんだから、自信を持っていいぞ?」

    …嘘くさい。

「取り敢えず、俺も暇じゃないけど、たまに様子を見てるし、とにかく命大事に頑張れよ!」

「まあ…頑張るけどさ」
「まずは防具!それからスキルは安くしてるんだから、必要そうなのは適当に入れておけよ!」
    まあ…魔法を使えるのは嬉しいし、頑張ろうって気にもなるけど…持つのも重い鉄の槍を使って魔物を倒すのは、自信ないな…

「  本当に、ミノリが死んだらこのバルスは滅びるしかないんだから」
「それって名前が悪かったんじゃ?」
    いや、それは言ったらだめだよね。
「じゃあ、しっかり休めよ」
    トールは片手を上げて音もなく消えた。

「さっきから大人しいけど、せっかくだから一緒に食べよう?」
「もう…わたくし達は食べる必要もないのですわ。それより、トーラス様に対してあの無神経な態度はどうかと思いますわ」
「んー。もっと神様っぽかったらそれなりの態度取ると思うけど、近所のお兄さん的な感じだから、無理かな」

    生き返らせて貰ったりとか、感謝はしてるけど。
「もしかして、トールに遠慮して大人しかったの?」
「そうなのです。ミノリ様は、使徒様はやっぱり違うのです」
「もう、そういうのやめてよ。様禁止!」

    精霊達は、頼りになる家族のようなものだ。



   

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