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ペット達のスキル

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    今日は日曜日なので、お父さんが休みだ。
「お父さん!パソコンが見たいの!冒険者の書!」
    昼近くに畑から戻ってきたお父さんに、パソコンを見せてもらう。

    読めない漢字を聞きながら、熱心に気になるページを開いてもらい、読んだけど、漢字が読めない。
    書けないまでも、読めるように勉強しておいた方がいいな。
    
    前世とは使ってる文字が全く違うので、一から勉強のし直しだ。
「…そうなんだよな…ダンジョンが、よりにもよって家に出来たんだよな…立て看板とか、空き地の整備もして、そっちに車を停めてもらうようにしないとな」

「大変?」
「そりゃあな。そういう費用を補助してくれる訳でもないし、まあ…田舎だから駐車場用の土地が余っている所だけは良かったけどな…家としては、ダンジョン目当ての人達に、家の野菜を買ってもらう位しか得がない」

「むかご、美味しいよ?」
「…そういえば美優がダンジョンを見つけたんだっけ。父さんもダンジョンに入って、少しでもレベルを上げておけば仕事も楽になるかな…」

    お父さんは普段、工場で働いている。お母さんも畑が忙しくない時はパートに出てるけど、今の時期は収穫が忙しいからほぼ家にいる。
    
    さすがに前世の記憶がある美優でも、パソコンは扱えない。
    機械といえば魔道具位しかなかったので、パソコンなんてさっぱりだ。スマホだって持っていないし、扱えない。
    子供携帯しかないけど、番号登録された所にしかかけられないし、勿論ネットにも繋がらない。

    スキルについての考察や、実際に確認された効果の所を粗方読んでもらったけど、翔真兄ちゃんに聞いた事とほぼ被る。

    1階層で魔物を倒して手に入れたスキルの他にも、10階層で手に入れる更に強いスキルもあるとか。
    うーん…あれ?ピヨちゃん達も何かスキルを手に入れたのかな?

    鑑定    ピヨちゃん(0)
    レベル    2
    スキル    高速移動

    鑑定    ポチ(1)
    レベル    2
    スキル    咆哮弾

    鑑定    タマ(5)
    レベル    2
    スキル    威圧    気配感知

     …おー。ダンジョン凄い。
    使うかどうかは本人次第だけど。
    というか、タマの威圧は元からな気が…気配感知が新たなスキルだよね。

    そしてピヨちゃん。ちゃんまでが自分の名前だと思っていたんだね…

    うちの子達、意外とチートだわ。

    午後にダンジョンに行くと、翔真兄ちゃんがいた。
「翔真兄ちゃん、レベル上がった?」
「さあ?ずっと1階層だし、どうかな?」
「じゃあ!むかごいっぱい?」

「それは…程々かな。おやつ程度だし、とって置いても捨てるしかなくなりそうだし」

「えー!勿体ない。私、収納魔法使えるから、捨てるなら頂戴」
「な…!美優の魔法は、そんな事も出来るのか?インベントリって奴か?」

「無限じゃないよ。時間は止まるけど」
「うわ…そんな魔法、載ってもいないし、美優だけかもな…誰にも知られちゃだめだぞ。最悪連れ回されて、使い潰される」

「うん。大丈夫だよ」
    ポチが倒してむかごになった物を、タマが集めてくれる。ピヨちゃんは…自分で食べてるね。

「ちゃんと家の人に言ったか?」
「ううん。でも、タマ達がいるから大丈夫だよ」
「あー…まあいいか。一緒に行こう、美優」

    やった!翔真兄ちゃんと一緒にダンジョン探索だ! 
    地面すれすれを走る風の鎌が、スライム達をなぎ倒していく。
    迷路状になっていないから出来る技だ。
「うわ…凄いな」
「うん!むかごいっぱい凄いね!」
「じゃなくて、その魔法が」
    範囲指定された中のむかごが集まり、収納庫の中へ。
「そ…それも魔法?」

「うん!一気に取れるから便利だよね!」
「………」

「よ…よし!そんなに凄い魔法を持っているなら、次に行くか…魔力、とかは大丈夫なのか?」
「うん、一気に倒したのはちょっと疲れたけど、一匹ずつ倒すよりはまし」

    涌き出る魔物も、タマ達が倒してしまう。
「ダンジョンにペットと入るのは前例がない訳じゃないけど、ペットもスキルを得るものなのか…」

    目の前をピヨちゃんが、高速で駆け抜けていく。
「ピヨちゃん、先に行ったらだめだよ」
「ココー?」

    マイペースなピヨちゃんは、あんまり言う事を聞いてくれない。それは気分屋なタマもだけど、ちゃんと守ってくれる。

    階段の壁に、薄青い石が埋まっている。
    
    鑑定    魔法石    階層転移の為の魔石

    前世のダンジョンでもあった物だ。ダンジョンを見ていると、どうしてもセンティアを思い起こさせる。
    センティアはどうなったのだろう?生徒達は…私の家族は。

    今考えても仕方のない事。今は目の前の魔物に集中しよう。

    目の前にいるのは、タマと同じ位の大きさのネズミ。それでもタマが、ネズミごときに負けるはずがない。
    睨まれて怯んだネズミに飛びかかり、あっさりと倒してしまう。
「さすがタマだね」
    後に残ったのは、鋭い前歯。

「アドベンチャーショップに持って行けば買い取ってくれるかな?」
「どうかな…何かに使えないと、買い取ってくれないからな…牙とか落とす魔物ならともかく…というか、隣の市まで行かないとならないからな…不便だよな」
「仕方ないよ。田舎だもん」

    翔真兄ちゃんも戦って、小さな魔石を落とした。
「魔石なら役場で買い取ってくれるけど、こんなんじゃ小遣い稼ぎにもならないな。けど、慎重に行かないと、命に関わるからな。美優も気をつけるんだぞ」

「うん。分かった」
    前世の事、翔真兄ちゃんに言いたかったけど、どうしても言えなかった。


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