裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~

あかる

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猪肉の利用法と、失恋

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    猪が7階層で採れると分かると、家族がついて来たがったけど、レベルがついてきてない。
    流石に10以上レベルが離れていると、一緒には無理だと思う。というか、私が狼と本格的に戦い始めたレベルだから、あと10レベル上がったら一緒に行く約束をした。

    私だって昼間は幼稚園に行ってるんだから、入ってる時間にそんなに差はないと思うんだけどね。

    ただ、ほぼ毎日入ってるけど。

    ペット達はどうだろう?ピヨちゃん辺りはむかごを食べに入ってそうだけど。
    怪我なんてしないで冒険する分にはいいんだけどね。
(ね、タマ。みんな私がいない時はダンジョンに入ったりしてないよね?)
(知らないわよ。あたし寝てるもの。でも、美優以外と一緒には入らないわよ?)
(そうなの?おじいちゃんとかは?)
(どうしてかしらね…きっと守らなきゃいけないのは美優だけだと思ってるから、入る気もないでしょう?)

    不思議…一緒にダンジョンに入っちゃったから?魔物じゃないけど、従魔だから?

    怖いけど、一直線だから避けられさえすれば、そこまで脅威はないかな?

    ポチとピヨちゃんも穴掘りと噛みつき、あるいは咆哮弾で連携して倒しているし、タマの焔は火力も本人次第。

    私も結界をかけつつ、エアハンマーで殴って倒してみる。
    それを氷の塊に変えてみたり、岩にしてみたり。
    
    もうちょい、発動速くならないかな…タイミング外すと、頭に当たらない。

    延々とやっていたら、タマが呆れたように、攻撃を止める。
(美優…どんだけ肉欲しいの?)
(ええと…収納庫にある限り悪くならないし、いいよね?)
    それに、魔石も集まっているし。
(いいけど…)

    食べる分だけにしましょう…って?無駄にはしないよ?
    ジビエ料理の猪肉ジャーキーを作ったら、喜ばれるかも?
    折角引っ込んだお父さんのお腹がまた出てくる可能性もあるけど、ダンジョン産だしいいよね?

    家に戻って猪肉がたくさんあるから、ジャーキーにしてみたいと言ったら、おじいちゃんの知り合いで、狩猟をしてる人がいるから、聞いてみてくれるそうだ。

    お父さんは、つまみが増えると喜んでいた。

    余談だけど、ダンジョン産の野菜や肉は、親戚の人にも喜ばれる。態々入らなくても、体にいいと評判のダンジョン産食料が手に入るのだ。そりゃ、喜ばれるだろう。

    数日後、家に沢山のジャーキーと、燻製を作る為の岡持ちみたいな物が来た。
    凄く煙くて、隣の家が近かったら文句を言われそうだけどうちは無問題。川島さんの家までは田んぼ2枚は離れてるし、その向こうは割と広めの川の向こう側だ。
    農道の奥にも家があるけど、林の向こう側だから、煙は届かない。

    ジャーキーは美味しかったけど、私は鍋の方が好きかな。お父さんとポチは喜んでいた。
    そのポチ用のジャーキーもタマは狙ってるけど、餌用に茹でた物の方が好きみたいだ。

(タマ、態々取らなくても、餌たくさん上げてるじゃん?)
(これは躾なの)
    因みに、念話はダンジョンの外でも使える。
    念話は魔力を消費しないのだ。同じ理由で、鑑定もダンジョンの外で使える。

    猪肉ジャーキーは、無人販売所でも売られる事になった。
    スモークチップに使う木と手間代が入ってるから少々高めだけど、それなりに売れる。
    賞味期限がなくなりそうな物がポチ達のおやつに回ってくる。

    休日、翔真兄ちゃんと、薙刀のお姉さんが来て、ジャーキーを見ている。
「美優、これってダンジョン産か?」
「7階層の猪肉を、ジャーキーにしたんだよ。結構美味しい」

「まさか…美優も7階層まで行けるのか?」
「7階層メインだよ。たまに8階層も覗くけど」

「凄いのね…お家にダンジョンがあって、毎日潜れるから?」
「タマ達も強いし」
「そうなのか?…うちもペットを飼うべきかな」
    ダンジョン目的でペットを飼うのもどうなのかな…

「美優ちゃんはレベル、幾つなの?…あ、だめよね!冒険者にレベルやスキルを聞き出すのは」
    美優は曖昧に笑って頷いた。個人情報だからだ。
「因みに、8階層の魔物はどんなの?マイナーなダンジョンすぎて、冒険者の書にも載ってないんだよ」

「大きい芋虫かな」
「そうか…そろそろ行こう、由紀」
「うん、翔真君」

    う…腕組んでる!まさかとは思っていたけど…!

(美優?大丈夫?)
(大丈夫!8階層行くよ!)

    ここなら人もいない。着くと早速、グリーンキャタピラーに向かって、最大火力で火魔法を放つ。
    進みながら、魔石や糸玉を回収していく。
「ワンワン!」
(ほら、ポチも心配してるわよ?)
「大丈夫だもん…今の私なら、全通路にいる芋虫共を焼き払って先に進む階段だって見つけられる!」

    そりゃあさ、8歳も下だったら好きになってもしょうがないとは思ってたけど、お父さん達だって9歳の歳の差があるから、大人になればって思ってたけど…何回も大好きって言ったのに!

    私の魔法で糸を吐く間もなく消えていく。
    ずんずん進む私の後をペット達が気まずそうに進む。

「…クウ?ワンワン!」
(ちょっと美優、ポチが何か訴えているわよ!)
「え?…何か見つけたの?」

    壁を見つめて吠えるポチに、フッと冷静になる。涙もいつの間にか乾いている。
「隠し扉…かな?」
(美優、罠の可能性もあるんでしょう?)
「平気、だとは思うけど」
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