裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~

あかる

文字の大きさ
30 / 75

ダンジョン16階層と、海人君と冒険

しおりを挟む
    鑑定の事は教えたけど、私と海人君の前世の事までは教えたくない。
    私一人の事じゃないし、あまりにも荒唐無稽だ。
    それにセンティアやエストレイラ様の事。解釈によっては悪く思われてしまうかもしれない。

    この世界にダンジョンが出来たのはエストレイラ様のせいじゃないし、私達以外にも転生者はいるかもしれない。

    それに、いたとしても記憶をとり戻すとは限らないのだ。

    同じ転生者が前世の事を話して、自分以外の転生者を追い詰めるような事はないとは言い切れないけど、私は出来れば無関係でいたいかな。
    凄く面倒そうだし、何が起きたかも分かっていないのだから。

    けど、多分…私やカイのように、たくさんの人が死んだのだろう。それは何となく想像できる。それを知る手立ては今はないんだけれど。


    今日も15階層だ。肉厚で大振りな椎茸は、オーブントースターで焼いて、醤油をかけて食べると凄く美味しい。
    挽き肉を乗せて焼くのもいいし、味噌汁も美味しい。
    おじいちゃんの話では、ダンジョンが出来た時に盗られた分をとり返しているって。

    でも、こんなに大きくて肉厚なのが揃って手に入るんだから、収益はプラスだよね。まあ、家族で私しか採って来られないけど。

    洗ったマジックベリーもつまんで、満足だ。ポーションにしないでそのまま食べても魔力回復効果は多少ある。
    今日はあんまり魔法使ってないけど、ダンジョンに入るだけでも微弱な魔力はとられてる。魔力自動回復があるから、それ以上には回復してるけど。

    暫く15階層が続いたし、そろそろ16階層に進む頃合いかもしれない。魔物はもうワーウルフだって分かっているし。

    あの時は強く感じた。でもあれからレベルも上がったし、魔力操作で魔法効率も上がっている。

    ピヨちゃん無双。力強く走り、蹴爪の攻撃。
(ピヨちゃん、私にも戦わせて?)
(んー。分かった)
    杖を使っての攻撃。少ないと、ダメージにならない。危ない時はタマが威圧で動きを止めてくれる。
    ポチも戦いつつ、ワーウルフの皮を集めてくれる。

    確かに、ウルフの皮とは全然違うね。強度もさることながら、付与の容量にしても。
    ウルフの皮より暗い色合いで、間違う事はない。

    武器を使って攻撃してくるから、少し怖い。それもかなりの威力がある。同じ二足歩行でも、オークとは全然違うな。

    でも、同じ位の魔力を使って魔法攻撃をしても、倒し切れていないという事は、魔法抵抗のスキルがあるか、その属性に耐性があるのかな…うん。この階層はじっくりやろう。

    皮はまとめてアドベンチャーショップに売りに行った。
「凄い…もう16階層で戦って
いるのね」

「ペット達も強いですから」
    ピヨちゃんにとっても戦いやすいのか、大活躍だし。
「へえ…やっぱり従魔になった動物は凄いのね」
「?従魔にならないペットもいるんですか?」

「そりゃそうよ。テイムのスキルが取れないと、いつまでもそのままの戦力にしかならないのよ」
「…そうなんだ」
    スキルが取れやすい効果か。

「本当に、美優ちゃんが子供なのが悔やまれるわ」
「え?」
「専業冒険者の人達は、強いパーティー達で集まって、専用ホームを持って第一線で活躍してるのよ」
「冒険者の書で読んだ事あります。その人達って海人君のお母さんより強いんですか?」
「私達はまだ、中級冒険者の枠を出ていないわ。比べ物にならない。そういう所は会社の商品を受け取る代わりに広告塔の役割も担っているのよ。大規模なスタンピードが起こったら、現地に行って対処する事も求められるけど」

    凄いな…でも私はまだ幼稚園児だし、親元を離れて暮らすなんて考えられない。
    裏の林ダンジョンが、私がスタンピードに対抗出来る唯一のダンジョンだ。

「ワーウルフは強く感じる?」
「ええ。だからしばらくは留まってレベル上げしようと思います」
「そうね。それがいいわ」

「ちぇ…いいな。僕も7階層に進みたいんだけど、母さんはまだ早いって。美優ちゃん、一緒に猪と戦ってよ」
「ぼたん鍋が食べたいの?」
「いや、違くて。…食べたいよりも、進みたい。動きも素早さもウルフとあんまり変わらないんだろう?」
「…ん。まあ…だけど、親が反対するなら、連れてはいけないかな。猪の方が体力もあるし、同じようには戦えないと思う」

「美優ちゃんと一緒の時だけなら、いいわよ?その後で一人の時は、ウルフに戻るのよ」
「やった!じゃあ明日な!絶対だぞ!」

    次の日。海人君と猪狩りに出掛けた。
    ピヨちゃんにもしっかり言い聞かせたし、大丈夫だろう。

    一直線に向かってくる猪に、海人君はハンマーを降り下ろす。スキル、強力か…私には必要ないスキルだね。
    まずまずかな…これで迷路を進んで、複数の猪に対応出来るようになればいいけど。

    最初は黙って見ていたピヨちゃんだけど、飽きたのか、向かってくる猪を蹴り飛ばし始めた。
「こらピヨ!僕のレベル上げの為に来たんだぞ!」
    ピヨちゃんは聞いてないみたいだ。
「海人君、ピヨちゃんは、ちゃんまで名前だから、自分の事だと思ってないと思うよ?」

「は?…何だそれ…ピヨちゃん!僕が倒す猪も残してくれよ!」
(ピヨちゃん、今日は海人君に戦わせて)
(うー。暇!)
(なら、今日は外で遊んでる?)
(それはちょっと…美優と一緒がいい)
(ピヨちゃん、なら穴掘りを使って、サポートしてあげたら?)
(そうだね。ポチの言うように次の猪がすぐに来た時とかは、そうしてあげて)
(んー。分かった)

    良かった。引いてくれた。
    まあ、いつまで持つかは分からないけどね。
    暫く慣れるまでは付き合ってあげよう。でも、たまにはワーウルフ狩りもするけどね。

しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

異世界の片隅で引き篭りたい少女。

月芝
ファンタジー
玄関開けたら一分で異世界!  見知らぬオッサンに雑に扱われただけでも腹立たしいのに 初っ端から詰んでいる状況下に放り出されて、 さすがにこれは無理じゃないかな? という出オチ感漂う能力で過ごす新生活。 生態系の最下層から成り上がらずに、こっそりと世界の片隅で心穏やかに過ごしたい。 世界が私を見捨てるのならば、私も世界を見捨ててやろうと森の奥に引き篭った少女。 なのに世界が私を放っておいてくれない。 自分にかまうな、近寄るな、勝手に幻想を押しつけるな。 それから私を聖女と呼ぶんじゃねぇ! 己の平穏のために、ふざけた能力でわりと真面目に頑張る少女の物語。 ※本作主人公は極端に他者との関わりを避けます。あとトキメキLOVEもハーレムもありません。 ですので濃厚なヒューマンドラマとか、心の葛藤とか、胸の成長なんかは期待しないで下さい。  

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜

ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。 死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。

婚約破棄された上に国外追放された聖女はチート級冒険者として生きていきます~私を追放した王国が大変なことになっている?へぇ、そうですか~

夏芽空
ファンタジー
無茶な仕事量を押し付けられる日々に、聖女マリアはすっかり嫌気が指していた。 「聖女なんてやってられないわよ!」 勢いで聖女の杖を叩きつけるが、跳ね返ってきた杖の先端がマリアの顎にクリーンヒット。 そのまま意識を失う。 意識を失ったマリアは、暗闇の中で前世の記憶を思い出した。 そのことがきっかけで、マリアは強い相手との戦いを望むようになる。 そしてさらには、チート級の力を手に入れる。 目を覚ましたマリアは、婚約者である第一王子から婚約破棄&国外追放を命じられた。 その言葉に、マリアは大歓喜。 (国外追放されれば、聖女という辛いだけの役目から解放されるわ!) そんな訳で、大はしゃぎで国を出ていくのだった。 外の世界で冒険者という存在を知ったマリアは、『強い相手と戦いたい』という前世の自分の願いを叶えるべく自らも冒険者となり、チート級の力を使って、順調にのし上がっていく。 一方、マリアを追放した王国は、その軽率な行いのせいで異常事態が発生していた……。

神獣転生のはずが半神半人になれたので世界を歩き回って第二人生を楽しみます~

御峰。
ファンタジー
不遇な職場で働いていた神楽湊はリフレッシュのため山に登ったのだが、石に躓いてしまい転げ落ちて異世界転生を果たす事となった。 異世界転生を果たした神楽湊だったが…………朱雀の卵!? どうやら神獣に生まれ変わったようだ……。 前世で人だった記憶があり、新しい人生も人として行きたいと願った湊は、進化の選択肢から『半神半人(デミゴット)』を選択する。 神獣朱雀エインフェリアの息子として生まれた湊は、名前アルマを与えられ、妹クレアと弟ルークとともに育つ事となる。 朱雀との生活を楽しんでいたアルマだったが、母エインフェリアの死と「世界を見て回ってほしい」という頼みにより、妹弟と共に旅に出る事を決意する。 そうしてアルマは新しい第二の人生を歩き始めたのである。 究極スキル『道しるべ』を使い、地図を埋めつつ、色んな種族の街に行っては美味しいモノを食べたり、時には自然から採れたての素材で料理をしたりと自由を満喫しながらも、色んな事件に巻き込まれていくのであった。

転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流

犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。 しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。 遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。 彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。 転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。 そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。 人は、娯楽で癒されます。 動物や従魔たちには、何もありません。 私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!

異世界の片隅で、穏やかに笑って暮らしたい

木の葉
ファンタジー
『異世界で幸せに』を新たに加筆、修正をしました。 下界に魔力を充満させるために500年ごとに送られる転生者たち。 キャロルはマッド、リオに守られながらも一生懸命に生きていきます。 家族の温かさ、仲間の素晴らしさ、転生者としての苦悩を描いた物語。 隠された謎、迫りくる試練、そして出会う人々との交流が、異世界生活を鮮やかに彩っていきます。 一部、残酷な表現もありますのでR15にしてあります。 ハッピーエンドです。 最終話まで書きあげましたので、順次更新していきます。

ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はファム 前世は日本人、とても幸せな最期を迎えてこの世界に転生した 記憶を持っていた私はいいように使われて5歳を迎えた 村の代表だった私を拾ったおじさんはダンジョンが枯渇していることに気が付く ダンジョンには栄養、マナが必要。人もそのマナを持っていた そう、おじさんは私を栄養としてダンジョンに捨てた 私は捨てられたので村をすてる

処理中です...