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第三章
戦後処理
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総大将の騎士ダリオスが討ち取られるとペセタ領軍は投降した。
ゲッターはペセタ領軍を武装解除させて幾つかのグループに分けて見張りを置いた。
カプルは悔しそうに、また感心しているように騎士ダリオスを倒したアイナを褒めていた。
ゲッターもアイナに感心して「よく相手の『幻惑』を見破れたね」と声をかけた。
カプルも「相手がまぼろしを使っているのは途中でわかったけど、近くで撃ち合っていると反射的につい動いちゃったよ。それに見えない攻撃もあったし。よくアイナは対応できたね」と言った。
アイナは得意気に「最近だけど、私の『気配制御』で近くにいる人の気配を読めるようになったの。気配が読めるということは相手の行動が読めるということなの。だからいくらまぼろしを見せたり、見えない攻撃をしたりしても『気配制御』でバレバレなのよ。途中から無駄なフェイントを入れたりし始めたからそこからは余裕だったわ」と答えた。
カプルはそれを聞いて唖然としていたが、その後、悔しそうに「俺にもスキルがあれば」と呟いた。
ゲッターはカプルの肩に手を置いて「カプルの剣技は素晴らしかったよ。相手に奥の手を出させたのだから胸を張っていい」と慰めた。
カプルはそれでも悔しそうにしていたがゲッターもそれ以上は何も言わなかった。
すると味方のゴブリンが「ゲッター様。サルバトール殿をお連れしました」とサルバトールを連れてやって来た。
ゲッターはサルバトールを見ると「サルバトール殿お怪我はありませんか?」と声をかけた。
サルバトールはゲッターを見つけると「おおゲッター殿。私は大丈夫です。怪我もありません」と笑顔で答えた。
しかしすぐに表情を呆れたものに変えて「それにしてもグリプニス王国でも高名な騎士であるダリオス殿を倒してしまうとは。アトラ村の強さは底が知れませんな」と続けた。
ゲッターは表情を曇らせ「ダリオスは恐るべき実力の持ち主でした。彼1人に何人もの仲間を殺されてしまった。ここで倒せてよかったです」と答えた。
それからゲッターは表情を戻して「それより私がコンタージュ伯爵家の子息だと気づいていたなら教えてくれたらよかったのに」とサルバトールに言った。
サルバトールは申し訳なさそうに「すみません。すぐに気づいたのですがゲッター殿が何も言わなかったので触れてはいけない話題だと思って。伯爵家から出奔したとも聞いていましたし」と答えた。
ゲッターは「仕方ないか」と思い話題を変えて「それでサルバトール殿はどのような経緯で従軍していたのですか?縄にかけられていたとも聞きましたが」とゲッターは尋ねた。
「ゲッター殿とペセタの街で別れてから私は常宿に行きました。そこで休んでいると領主のゼルカンの使いがやって来ました。領主の呼び出しを断ることはできません。すぐに使いの者と城に行きました。」
サルバトールはここまで話すと喉が渇いたようで水袋から水を飲んだ。
「ゼルカンには衛士から連絡が行ったようで、私にゲッター殿の目的は何か執拗に問いただして来ました。そこに別の使いが来てゴブリンは金の塊を持っていると言うではないですか。金の塊のことは私は知りませんでしたが、荷物も全部改められて、あの芸術品たちも見つかってしまいました。」とサルバトールは悲しそうに言った。
サルバトールは続けて「芸術品を人質に取られた私は正直に話すしかありませんでした。私の知っていることを全部話すとゼルカンに従軍を命じられたのです」と言った。
ゲッターはサルバトールの事情がわかったので「これからどうしますか?このまま帰っていただいても構いませんし、村まで来ていただいても大丈夫ですが」と尋ねた。
サルバトールは難しい顔をして「私はペセタ領軍と一緒に帰りたいと思います。このまま帰ったり、村に行ったりしては裏切り者と言われてしまいます。裏切り者となってしまってはグリプニス王国で商売ができなくなってしまいますので」と答えた。
それからサルバトールは厳しい顔になり「そもそも攻めてこられたからといって、話し合いをすることもなく奇襲を仕掛けるのは問題があります。今のままではゼルカンやグリプニス王国を怒らせるばかりですよ」と苦言を呈した。
ゲッターは少し拗ねたような歳相応の表情をして「戦力が上の相手に正面からぶつかっても勝てないよ」と言った。
サルバトールは優しい表情になり「ですから私がグリプニス王国との間をとりもちましょう。なのでゲッター殿は書状を書いてください」と言った。
続けて「書状の宛先は国王陛下がいいでしょう。欲深なゼルカン相手では何を要求されるかわかりません。グリプニス王国を相手に対等な条約を結びたいと申し出るしかないでしょう」とサルバトールは言った。
ゲッターは「グリプニス王国がこんな小さな村と対等な条約を結んでくれるだろうか?」と疑問を口にした。
サルバトールは首を振り「おそらく難しいでしょう。しかし話し合いをしたいという態度が大事なのです。でないと森を出てグリプニス王国を滅ぼさないと戦が終わらない事態になってしまいますよ」と答えた。
サルバトールはゲッターを諭すように「いつでも話し合いに応じる用意がある、と言う態度が大事なのですよ。それだけで相手の心証は全然違ってきます」と付け加えた。
ゲッターは頷いて「わかり増田。話し合いを前提とした書状を書くことにします」と言った。
サルバトールは「では書状ができ次第私は兵たちとペセタに帰るとします。ゲッター殿も必要以上の捕虜はいらないでしょう?」と聞いてくるので「無駄飯喰らいを抱えていてもしょうがないから、そうしてもらえると助かります。ただ武器は返さないですよ。それくらいはいただかないと」と答えた。
翌日サルバトールはゲッターの書状を携えてペセタに帰っていった。
アトラ村は数人の捕虜と武器、ペセタ領軍が持ってきた物資の大半を得たが、失った人材も多かった。
実際には5倍以上の相手に完勝したのだがゲッターの心は晴れなかった。
村の行く末を考えると不安ばかりが募るゲッターであった。
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ゲッターはペセタ領軍を武装解除させて幾つかのグループに分けて見張りを置いた。
カプルは悔しそうに、また感心しているように騎士ダリオスを倒したアイナを褒めていた。
ゲッターもアイナに感心して「よく相手の『幻惑』を見破れたね」と声をかけた。
カプルも「相手がまぼろしを使っているのは途中でわかったけど、近くで撃ち合っていると反射的につい動いちゃったよ。それに見えない攻撃もあったし。よくアイナは対応できたね」と言った。
アイナは得意気に「最近だけど、私の『気配制御』で近くにいる人の気配を読めるようになったの。気配が読めるということは相手の行動が読めるということなの。だからいくらまぼろしを見せたり、見えない攻撃をしたりしても『気配制御』でバレバレなのよ。途中から無駄なフェイントを入れたりし始めたからそこからは余裕だったわ」と答えた。
カプルはそれを聞いて唖然としていたが、その後、悔しそうに「俺にもスキルがあれば」と呟いた。
ゲッターはカプルの肩に手を置いて「カプルの剣技は素晴らしかったよ。相手に奥の手を出させたのだから胸を張っていい」と慰めた。
カプルはそれでも悔しそうにしていたがゲッターもそれ以上は何も言わなかった。
すると味方のゴブリンが「ゲッター様。サルバトール殿をお連れしました」とサルバトールを連れてやって来た。
ゲッターはサルバトールを見ると「サルバトール殿お怪我はありませんか?」と声をかけた。
サルバトールはゲッターを見つけると「おおゲッター殿。私は大丈夫です。怪我もありません」と笑顔で答えた。
しかしすぐに表情を呆れたものに変えて「それにしてもグリプニス王国でも高名な騎士であるダリオス殿を倒してしまうとは。アトラ村の強さは底が知れませんな」と続けた。
ゲッターは表情を曇らせ「ダリオスは恐るべき実力の持ち主でした。彼1人に何人もの仲間を殺されてしまった。ここで倒せてよかったです」と答えた。
それからゲッターは表情を戻して「それより私がコンタージュ伯爵家の子息だと気づいていたなら教えてくれたらよかったのに」とサルバトールに言った。
サルバトールは申し訳なさそうに「すみません。すぐに気づいたのですがゲッター殿が何も言わなかったので触れてはいけない話題だと思って。伯爵家から出奔したとも聞いていましたし」と答えた。
ゲッターは「仕方ないか」と思い話題を変えて「それでサルバトール殿はどのような経緯で従軍していたのですか?縄にかけられていたとも聞きましたが」とゲッターは尋ねた。
「ゲッター殿とペセタの街で別れてから私は常宿に行きました。そこで休んでいると領主のゼルカンの使いがやって来ました。領主の呼び出しを断ることはできません。すぐに使いの者と城に行きました。」
サルバトールはここまで話すと喉が渇いたようで水袋から水を飲んだ。
「ゼルカンには衛士から連絡が行ったようで、私にゲッター殿の目的は何か執拗に問いただして来ました。そこに別の使いが来てゴブリンは金の塊を持っていると言うではないですか。金の塊のことは私は知りませんでしたが、荷物も全部改められて、あの芸術品たちも見つかってしまいました。」とサルバトールは悲しそうに言った。
サルバトールは続けて「芸術品を人質に取られた私は正直に話すしかありませんでした。私の知っていることを全部話すとゼルカンに従軍を命じられたのです」と言った。
ゲッターはサルバトールの事情がわかったので「これからどうしますか?このまま帰っていただいても構いませんし、村まで来ていただいても大丈夫ですが」と尋ねた。
サルバトールは難しい顔をして「私はペセタ領軍と一緒に帰りたいと思います。このまま帰ったり、村に行ったりしては裏切り者と言われてしまいます。裏切り者となってしまってはグリプニス王国で商売ができなくなってしまいますので」と答えた。
それからサルバトールは厳しい顔になり「そもそも攻めてこられたからといって、話し合いをすることもなく奇襲を仕掛けるのは問題があります。今のままではゼルカンやグリプニス王国を怒らせるばかりですよ」と苦言を呈した。
ゲッターは少し拗ねたような歳相応の表情をして「戦力が上の相手に正面からぶつかっても勝てないよ」と言った。
サルバトールは優しい表情になり「ですから私がグリプニス王国との間をとりもちましょう。なのでゲッター殿は書状を書いてください」と言った。
続けて「書状の宛先は国王陛下がいいでしょう。欲深なゼルカン相手では何を要求されるかわかりません。グリプニス王国を相手に対等な条約を結びたいと申し出るしかないでしょう」とサルバトールは言った。
ゲッターは「グリプニス王国がこんな小さな村と対等な条約を結んでくれるだろうか?」と疑問を口にした。
サルバトールは首を振り「おそらく難しいでしょう。しかし話し合いをしたいという態度が大事なのです。でないと森を出てグリプニス王国を滅ぼさないと戦が終わらない事態になってしまいますよ」と答えた。
サルバトールはゲッターを諭すように「いつでも話し合いに応じる用意がある、と言う態度が大事なのですよ。それだけで相手の心証は全然違ってきます」と付け加えた。
ゲッターは頷いて「わかり増田。話し合いを前提とした書状を書くことにします」と言った。
サルバトールは「では書状ができ次第私は兵たちとペセタに帰るとします。ゲッター殿も必要以上の捕虜はいらないでしょう?」と聞いてくるので「無駄飯喰らいを抱えていてもしょうがないから、そうしてもらえると助かります。ただ武器は返さないですよ。それくらいはいただかないと」と答えた。
翌日サルバトールはゲッターの書状を携えてペセタに帰っていった。
アトラ村は数人の捕虜と武器、ペセタ領軍が持ってきた物資の大半を得たが、失った人材も多かった。
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