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竜のツガイは「じゃない方」
後編
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「ち、父上、今何と?」
己の名が出て、あたふたとセダムが動揺する。
「聞こえていただろう。竜王殿には、そなたとの婚姻をずっと申し入れられていたのだ。公爵令嬢との先約があるゆえ、断ってきたが、その約束をそなたは自ら消し去った。
拒否する理由がなくなったのだ。国のために潔く、嫁に行け」
"嫁に行け"。
第一王子にとって、これほど衝撃的な命令はないかもしれない。
「いやいやいや、無理があるでしょう? 俺は第一王子ですよ? この国を継ぐべく育てられてきたし、何より嫁に行くなど出来ようはずがない! 竜族とて王の後継は必要なはずだ。男同士では子は出来ない!」
というよりも、ぶっちゃけ嫌だ。
断固拒否するという思いを尤もらしく後継ぎ問題に結び付けてみたが、竜王はセダムに対し、蕩けるような眼差しを向けた。
「心配してくれるなんて、可愛すぎる。だが案じることはない、我が番セダムよ。竜の子孫は、その魂が結びつくことで生まれる。性別などという垣根を超え、後継を残せるのだ。
なんの憂いなく嫁いで来るが良い。生涯そなた一人を愛し抜き、大切に守ると約束するぞ」
惚れ惚れするほど男前な笑顔で、鷹揚に両手を広げれば、どんな女性も即座に落ちて、リトープスの胸に飛び込んでしまったことだろう。だがセダムは女性ではなく、男性だった。
「気軽に性別の垣根を超えるなぁぁぁぁっっ!!」
「セダム! 竜王殿に対し、なんという言いようか! 口を慎め!」
渾身の叫びを、父王に咎められる。
「お気に召さるな、人族の王。いや舅殿。この元気の良さも、我から見れば愛しくてたまらない。番に出会うと盲目になるとは、まさにこのこと。賑やかなさえずりには、心地良ささえ覚えてしまう」
恍惚とした表情で、リトープスは機嫌良く言う。
変態だ。
残念なド変態だ。
怒鳴られて幸せになってるなんて。
広間の貴族たちは、同じ思いを心に秘めた。
「お、俺にはアガベラがいます」
「話にならん。いくらそなたが根回しして、子爵家の養女にしたとはいえ、元平民の娘を理由に、竜王殿を断れるわけがない。アガベラとやら、わかっておるな? 子爵家に入れただけでも、そなたには過度な幸運。分をわきまえて大人しく引けば、それ相応の人生は保証されよう」
「セダム様は、将来王様にはならないのですか?」
きょとんとした表情で、アガベラが王に確認する。
「セダムは竜国に嫁ぐ。これは決定事項であり、この国は継がぬ」
が──ん。
国王の断言に、王子セダムが立ち尽くした。
ほんの数時間前まで揺ぎ無かった未来が、儚く脆く、崩れ去ったのだ。
「ふむ? そこな娘は、セダムの愛玩動物か? 竜国に伴っても良いが、人族と見ると"餌"だと思っている不届き者もまだいる始末だ。我が番には、我が存分に匂いをつける故、誰も手出しは出来ぬが、ペットの安全までは保障出来ぬぞ?」
リトープスがアガベラを見下ろした。舌舐めずりをしながら発した呟きが、冷気をもってアガベラに絡む。
「新婚生活に、ペットは邪魔だしな……」
「あ、あの、私、身を引きますッッ。セダム様、短い間でしたが夢を見させていただき有難うございました!」
「アガベラ?!」
ぴょこんとお辞儀をしたアガベラは、素早くセダムから距離を取った。かと思うと隠れるように人ごみに飛び込み、そのまま出口へと疾走する。捕食者に狙われた小動物の如く、一目散に。
取り残されたセダムが放心していると、王はユーフォルビアに向き直った。
「こたびのこと、誠に申し訳ない、ユーフォルビア嬢。公爵家には謝罪と賠償を用意しよう。その上で恥を忍んで、第二王子ハオルトとの縁談を提案したいのだが、どうだろうか?」
「国王陛下……。ご提案、父フロスト公爵に相談したく存じますが、おそらくはお受けさせていただく運びになろうかと。王家に従うは、貴族の本分。わたくしに異存はございません。それに第二王子ハオルト殿下には、セダム殿下の浮気について相談に乗っていただき……その……それ以来、お慕いする気持ちがありましたので……嬉しいです」
ぽっと頬を染め、はにかむユーフォルビアの顔は、先ほどまでとは打って変わって晴れやかだ。
彼女が見遣った先にはハオルトがおり、こちらもユーフォルビアに笑顔を返す。
どうやら秘密の恋が、進行していたらしい。
セダムの浮気が原因と言われれば、責めるわけにもいかない。
セダムが驚愕した。
「馬鹿な! お前は俺を恋い慕うあまり、嫉妬でアガベラを害したのではなかったのか」
「どこ情報ですか? わたくしには身に覚えがございません。思い込みで事を進めず、証拠を揃えてから出直して参られませ」
ユーフォルビアはシレッと扇子を開くと、顔を背けてセダムを拒否した。
「っつ、お前、その口の利き方──」
彼は最後まで言い切れなかった。リトープスがセダムを引き寄せ、自身の腕に抱きとめたのだ。
「愛する者同士が結ばれるのは、実にめでたいことだ。我からも祝いの品を贈らせていただこう」
「! 俺は認めてない!!」
「そう毛を逆立てるでない。威嚇する猫のようで、よけい構い倒したくなる」
「誰が威嚇する猫だ! あとそういう猫は構うな! 嫌われるぞ!」
「ふふっ、心得た。そうか、そうか、今は嫌っておらぬということか」
ずっと手にしたいと願っていた番を得たからだろう。
リトープスは歯止めが効かない様子で、一層強く、セダムを抱き締める。
「阿呆か、貴様! 嫌いに決まってる! アタマ花畑か! とにかくこの腕を解け、気色悪い! 場所とか立場を考えろ!」
どの口が言う──。
その常識を、王子がもう少し前に思い出していれば、こんな展開にはならなかっただろう。
セダム自身も成人男性とはいえ、竜族相手に力で勝てるはずもなく、されるがままの抵抗として、喚くしか術がない。
"見てないことにしよう"。
貴族たちは目配せあった。
「う、む。仲良きことは美しきかな」
咳払いした王が、グラスを手にとる。
「皆の者、強大な竜国と第一王子セダムの縁談が調った。また、第二王子ハオルトとユーフォルビア嬢が次代の王と王妃となる。門出を祝って乾杯といこう!」
それでいいのか。
様々な問題が、うやむやのままだ。
まんまと逃げたアガベラとやらも、放置しているが?
けれども全員が、現実から逃避したかった。
同盟は安泰、国の未来も安泰、竜王は満足。
ならば、あとは何とかなるだろう。このまま押し切ってしまえ。
気持ちがひとつになった広間では、割れるような賛同の拍手が響き、空気は一転、華やかな宴が再開された。
「ちょっと待てぇぇぇ。俺は納得していない! 嫁に行くなんて冗談じゃない──」
「決して不幸にはさせぬ。我を信じて欲しい」
「すでに不幸だ! この変態!」
竜王が番を伴ってしけこんだベランダからは、息の合う掛け合いが聞こえて来た、とユーフォルビアの元に報告が届き。
ハオルトと微笑みあったユーフォルビアが、再三に渡る竜王の要求について知っていたのか否か。
誰もが追及することは控えたという──。
《竜のツガイは「じゃない方」》完
己の名が出て、あたふたとセダムが動揺する。
「聞こえていただろう。竜王殿には、そなたとの婚姻をずっと申し入れられていたのだ。公爵令嬢との先約があるゆえ、断ってきたが、その約束をそなたは自ら消し去った。
拒否する理由がなくなったのだ。国のために潔く、嫁に行け」
"嫁に行け"。
第一王子にとって、これほど衝撃的な命令はないかもしれない。
「いやいやいや、無理があるでしょう? 俺は第一王子ですよ? この国を継ぐべく育てられてきたし、何より嫁に行くなど出来ようはずがない! 竜族とて王の後継は必要なはずだ。男同士では子は出来ない!」
というよりも、ぶっちゃけ嫌だ。
断固拒否するという思いを尤もらしく後継ぎ問題に結び付けてみたが、竜王はセダムに対し、蕩けるような眼差しを向けた。
「心配してくれるなんて、可愛すぎる。だが案じることはない、我が番セダムよ。竜の子孫は、その魂が結びつくことで生まれる。性別などという垣根を超え、後継を残せるのだ。
なんの憂いなく嫁いで来るが良い。生涯そなた一人を愛し抜き、大切に守ると約束するぞ」
惚れ惚れするほど男前な笑顔で、鷹揚に両手を広げれば、どんな女性も即座に落ちて、リトープスの胸に飛び込んでしまったことだろう。だがセダムは女性ではなく、男性だった。
「気軽に性別の垣根を超えるなぁぁぁぁっっ!!」
「セダム! 竜王殿に対し、なんという言いようか! 口を慎め!」
渾身の叫びを、父王に咎められる。
「お気に召さるな、人族の王。いや舅殿。この元気の良さも、我から見れば愛しくてたまらない。番に出会うと盲目になるとは、まさにこのこと。賑やかなさえずりには、心地良ささえ覚えてしまう」
恍惚とした表情で、リトープスは機嫌良く言う。
変態だ。
残念なド変態だ。
怒鳴られて幸せになってるなんて。
広間の貴族たちは、同じ思いを心に秘めた。
「お、俺にはアガベラがいます」
「話にならん。いくらそなたが根回しして、子爵家の養女にしたとはいえ、元平民の娘を理由に、竜王殿を断れるわけがない。アガベラとやら、わかっておるな? 子爵家に入れただけでも、そなたには過度な幸運。分をわきまえて大人しく引けば、それ相応の人生は保証されよう」
「セダム様は、将来王様にはならないのですか?」
きょとんとした表情で、アガベラが王に確認する。
「セダムは竜国に嫁ぐ。これは決定事項であり、この国は継がぬ」
が──ん。
国王の断言に、王子セダムが立ち尽くした。
ほんの数時間前まで揺ぎ無かった未来が、儚く脆く、崩れ去ったのだ。
「ふむ? そこな娘は、セダムの愛玩動物か? 竜国に伴っても良いが、人族と見ると"餌"だと思っている不届き者もまだいる始末だ。我が番には、我が存分に匂いをつける故、誰も手出しは出来ぬが、ペットの安全までは保障出来ぬぞ?」
リトープスがアガベラを見下ろした。舌舐めずりをしながら発した呟きが、冷気をもってアガベラに絡む。
「新婚生活に、ペットは邪魔だしな……」
「あ、あの、私、身を引きますッッ。セダム様、短い間でしたが夢を見させていただき有難うございました!」
「アガベラ?!」
ぴょこんとお辞儀をしたアガベラは、素早くセダムから距離を取った。かと思うと隠れるように人ごみに飛び込み、そのまま出口へと疾走する。捕食者に狙われた小動物の如く、一目散に。
取り残されたセダムが放心していると、王はユーフォルビアに向き直った。
「こたびのこと、誠に申し訳ない、ユーフォルビア嬢。公爵家には謝罪と賠償を用意しよう。その上で恥を忍んで、第二王子ハオルトとの縁談を提案したいのだが、どうだろうか?」
「国王陛下……。ご提案、父フロスト公爵に相談したく存じますが、おそらくはお受けさせていただく運びになろうかと。王家に従うは、貴族の本分。わたくしに異存はございません。それに第二王子ハオルト殿下には、セダム殿下の浮気について相談に乗っていただき……その……それ以来、お慕いする気持ちがありましたので……嬉しいです」
ぽっと頬を染め、はにかむユーフォルビアの顔は、先ほどまでとは打って変わって晴れやかだ。
彼女が見遣った先にはハオルトがおり、こちらもユーフォルビアに笑顔を返す。
どうやら秘密の恋が、進行していたらしい。
セダムの浮気が原因と言われれば、責めるわけにもいかない。
セダムが驚愕した。
「馬鹿な! お前は俺を恋い慕うあまり、嫉妬でアガベラを害したのではなかったのか」
「どこ情報ですか? わたくしには身に覚えがございません。思い込みで事を進めず、証拠を揃えてから出直して参られませ」
ユーフォルビアはシレッと扇子を開くと、顔を背けてセダムを拒否した。
「っつ、お前、その口の利き方──」
彼は最後まで言い切れなかった。リトープスがセダムを引き寄せ、自身の腕に抱きとめたのだ。
「愛する者同士が結ばれるのは、実にめでたいことだ。我からも祝いの品を贈らせていただこう」
「! 俺は認めてない!!」
「そう毛を逆立てるでない。威嚇する猫のようで、よけい構い倒したくなる」
「誰が威嚇する猫だ! あとそういう猫は構うな! 嫌われるぞ!」
「ふふっ、心得た。そうか、そうか、今は嫌っておらぬということか」
ずっと手にしたいと願っていた番を得たからだろう。
リトープスは歯止めが効かない様子で、一層強く、セダムを抱き締める。
「阿呆か、貴様! 嫌いに決まってる! アタマ花畑か! とにかくこの腕を解け、気色悪い! 場所とか立場を考えろ!」
どの口が言う──。
その常識を、王子がもう少し前に思い出していれば、こんな展開にはならなかっただろう。
セダム自身も成人男性とはいえ、竜族相手に力で勝てるはずもなく、されるがままの抵抗として、喚くしか術がない。
"見てないことにしよう"。
貴族たちは目配せあった。
「う、む。仲良きことは美しきかな」
咳払いした王が、グラスを手にとる。
「皆の者、強大な竜国と第一王子セダムの縁談が調った。また、第二王子ハオルトとユーフォルビア嬢が次代の王と王妃となる。門出を祝って乾杯といこう!」
それでいいのか。
様々な問題が、うやむやのままだ。
まんまと逃げたアガベラとやらも、放置しているが?
けれども全員が、現実から逃避したかった。
同盟は安泰、国の未来も安泰、竜王は満足。
ならば、あとは何とかなるだろう。このまま押し切ってしまえ。
気持ちがひとつになった広間では、割れるような賛同の拍手が響き、空気は一転、華やかな宴が再開された。
「ちょっと待てぇぇぇ。俺は納得していない! 嫁に行くなんて冗談じゃない──」
「決して不幸にはさせぬ。我を信じて欲しい」
「すでに不幸だ! この変態!」
竜王が番を伴ってしけこんだベランダからは、息の合う掛け合いが聞こえて来た、とユーフォルビアの元に報告が届き。
ハオルトと微笑みあったユーフォルビアが、再三に渡る竜王の要求について知っていたのか否か。
誰もが追及することは控えたという──。
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