【第二章完結!】妹?義妹ですらありませんけど?~王子様とは婚約破棄して世界中の美味しいものが食べたいですわ~

井上 佳

文字の大きさ
17 / 101

第十七話 魔装戦

しおりを挟む
秋の園遊会でマゴールパティシエのケーキを堪能できたわたくしは、今度は学園の用事に追われていました。

『魔装戦』

間もなく卒業を控えた第三学年の、魔法が使える生徒の中から希望した者が出場して行われる大会です。
推薦も受け付けています。

魔法を、鎧のように纏い戦うのです。魔法で直接攻撃するのは禁止となっています。

鎧として纏い、武器として持つ。武器の形は剣・槍・斧が選べます。弓や鞭の形は使えません。

毎年、魔装戦では美しく華やかな戦いが見れることから、国内外から貴賓が訪れます。学園だけに留まらず、国内上げての行事と言ってもいいでしょう。

それを生徒会で取り仕切るのです。半端ない仕事量です。

それだというのに、名前だけですが生徒会長であるギース様は、生徒会室を仕事場ではなく私室と思っていらっしゃるのか、役員でない生徒、主にピオミルさんだったりピオミルさんを連れてきてはいちゃいちゃいちゃいちゃ……。嫉妬とかではありませんのよ? ただただイライラします。あなた様の分の仕事もこなしているというのに、長(ちょう)ですのよ、長(ちょう)、生徒会長。長が、仕事場でこんな状態で、生徒会の士気をまったく考えていません。ここに集うのは、副会長であるわたくしと会計バンテ・ジャックス子爵令息、書記のフィリアン・クイース伯爵令嬢、補佐をしてくれているハマメル・エーコラとモンド・ダックス、皆の表情は死んでいます。


「ギース様、よろしければお部屋でくつろがれては?」

「部屋? 私はここでくつろいでいるぞ」

「そうですわね、ずいぶんとくつろいでいらっしゃいますわね。生徒会室で」

「なんだエリシャ、混ざりたいのか?」

「…………」

「なななななんだその顔は!?」

    (い)」

「遠慮するな。混ざりたいというのなら、考えてやらないでもないぞ?」


あらあら、通じませんでしたわね。この方は、ハッキリきっぱり言わないとわからないのです。言ってもわからないことが多いですけどね! 王侯貴族は遠回しにとおまわしに、やわやわ~っと意思を伝えるものですが、汲み取る側が小物だと困ります。汲み取る気すらない方の相手はもっと困ります。


「『目障りだから自分の部屋に引っ込んでください』と申し上げているのです」

「は?」

「ここは生徒会の業務をするための部屋なので。出て、いって、ください」

「なっ!」

「仕事をしない人が来ていい場所ではありません。ピオミルさんとどうこうというのは、どうでもいいです。仕事の邪魔になるので、速やかにご退出ください」


不敬だ不敬だ、そーよそーよ嫉妬して見苦しい、などとのたまっていますが、相手にしていられるほど暇ではありませんでしたので、ハマメルとモンドに壁になってもらい、そのまま部屋から押し出しました。扉を閉じてしまえば、防音ですのでいくら廊下で騒がれても問題ありません。そのうち、なにを騒いでいるのだー、と教師に見つかり連行されることでしょう。まあ、腐っても王子殿下ですから、お話は応接室でお聞きしますよ、といってお茶もお菓子も出るVIP対応でしょうけれど。


「ごめんなさいね、迷惑をかけて」

「エリシャさんのせいじゃナイ」

「婚約者だからってアナタが謝ることナイヨ」

「ありがとう、ハマメル、モンド」


お二人は東のほうの大陸から来た留学生で、国では、ハマメルは第15王子、モンドはその側近だそう。子沢山で、王位継承に関係ない子供たちは放って置かれるので、15番目の王子であるハマメルは、鍛えに鍛えていたから今は筋肉が友達なんですって。モンドもそれに付き合っていたから同じような体系をしている。


「とにかく進めましょう。エリシャさん、学園内での屋台出店希望者リストですが、寄付金の多い順に並べてあります」

「ありがとうバンテ」

「昨年の警備配置図と、今年集められる警備の人数を比べて、その赤丸が省いても大丈夫そうなところです」

「ありがとうフィリアン。こっちはいいけれど、入場ゲートは増員する方向でみておいてちょうだい」

「毎年ゲート付近でのトラブルが上がってきますからね」

「そうね、バンテ。お願いねフィリアン」

「はいっ!」


皆、とても優秀で、人を使うのも上手いので、期間限定で発足されている魔装戦委員会に指示し、各々手分けして仕事に取り掛かります。ハマメルとモンドは、貴賓席の席順作成をしているようですわ。さすが、各国の情勢にも詳しく、誰それ夫人とどこぞの妃はとても仲が悪いので近づけるな、とか、なんとか伯爵はどこぞの王族に懸想しているからその国に命を狙われているとか、……そんな人が呑気に観戦していていいものかしら。まあ、二人に任せておけば、変なことにはならないでしょう。

さあ、邪魔な生徒会長を追い出したここからが本番ですわ。

ちゃっちゃか進めましょう!




しおりを挟む
感想 81

あなたにおすすめの小説

乙女ゲームの悪役令嬢になったから、ヒロインと距離を置いて破滅フラグを回避しようと思ったら……なぜか攻略対象が私に夢中なんですけど!?

猪木洋平@【コミカライズ連載中】
恋愛
「イザベラ、お前との婚約を破棄する!」「はい?」悪役令嬢のイザベラは、婚約者のエドワード王子から婚約の破棄を言い渡されてしまった。男爵家令嬢のアリシアとの真実の愛に目覚めたという理由でだ。さらには義弟のフレッド、騎士見習いのカイン、氷魔法士のオスカーまでもがエドワード王子に同調し、イザベラを責める。そして正義感が暴走した彼らにより、イザベラは殺害されてしまった。「……はっ! ここは……」イザベラが次に目覚めたとき、彼女は七歳に若返っていた。そして、この世界が乙女ゲームだということに気づく。予知夢で見た十年後のバッドエンドを回避するため、七歳の彼女は動き出すのであった。

【完結】虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!

アノマロカリス
恋愛
テルナール子爵令嬢のレオナリアは、幼少の頃から両親に嫌われて自室で過ごしていた。 逆に妹のルーナリアはベタベタと甘やかされて育っていて、我儘に育っていた。 レオナリアは両親には嫌われていたが、曽祖母には好かれていた。 曽祖母からの貰い物を大事にしていたが、妹が欲しいとせがんで来られて拒否すると両親に告げ口をして大事な物をほとんど奪われていた。 レオナリアの事を不憫に思っていた曽祖母は、レオナリアに代々伝わる秘術を伝授した。 その中の秘術の1つの薬学の技術を開花させて、薬品精製で名を知られるまでになり、王室の第三王子との婚約にまでこぎつける事ができた。 それを妬んだルーナリアは捏造計画を企てて、レオナリアを陥れた。 そしてルーナリアは第三王子までもレオナリアから奪い取り、両親からは家を追い出される事になった。 だけど、レオナリアが祖母から与えられた秘術の薬学は数ある中のほんの1つに過ぎなかった。 レオナリアは追い出されてから店を構えて生計を立てて大成功を治める事になるのだけど? さて、どんなざまぁになるのでしょうか? 今回のHOTランキングは最高3位でした。 応援、有り難うございます。

婚約破棄のその場で転生前の記憶が戻り、悪役令嬢として反撃開始いたします

タマ マコト
ファンタジー
革命前夜の王国で、公爵令嬢レティシアは盛大な舞踏会の場で王太子アルマンから一方的に婚約を破棄され、社交界の嘲笑の的になる。その瞬間、彼女は“日本の歴史オタク女子大生”だった前世の記憶を思い出し、この国が数年後に血塗れの革命で滅びる未来を知ってしまう。 悪役令嬢として嫌われ、切り捨てられた自分の立場と、公爵家の権力・財力を「運命改変の武器」にすると決めたレティシアは、貧民街への支援や貴族の不正調査をひそかに始める。その過程で、冷静で改革派の第二王子シャルルと出会い、互いに利害と興味を抱きながら、“歴史に逆らう悪役令嬢”として静かな反撃をスタートさせていく。

【完結】お姉様!脱お花畑いたしましょう

との
恋愛
「私と結婚して頂けますか?」 今日は人生で最高に幸せな日ですわ。リオンから結婚を申し込まれましたの。 真実の愛だそうです。 ホントに? お花畑のお姉様ですから、とっても心配です。私の中のお姉様情報には引っかかっていない方ですし。 家族のため頑張って、脱お花畑目指していただきます。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 初投稿です。不慣れな点、多々あるかと思います。 よろしくお願いします。

【完結】姉に婚約者を奪われ、役立たずと言われ家からも追放されたので、隣国で幸せに生きます

よどら文鳥
恋愛
「リリーナ、俺はお前の姉と結婚することにした。だからお前との婚約は取り消しにさせろ」  婚約者だったザグローム様は婚約破棄が当然のように言ってきました。 「ようやくお前でも家のために役立つ日がきたかと思ったが、所詮は役立たずだったか……」 「リリーナは伯爵家にとって必要ない子なの」  両親からもゴミのように扱われています。そして役に立たないと、家から追放されることが決まりました。  お姉様からは用が済んだからと捨てられます。 「あなたの手柄は全部私が貰ってきたから、今回の婚約も私のもの。当然の流れよね。だから謝罪するつもりはないわよ」 「平民になっても公爵婦人になる私からは何の援助もしないけど、立派に生きて頂戴ね」  ですが、これでようやく理不尽な家からも解放されて自由になれました。  唯一の味方になってくれた執事の助言と支援によって、隣国の公爵家へ向かうことになりました。  ここから私の人生が大きく変わっていきます。

悪役令嬢に仕立て上げられたので領地に引きこもります(長編版)

下菊みこと
恋愛
ギフトを駆使して領地経営! 小説家になろう様でも投稿しています。

リリィ=ブランシュはスローライフを満喫したい!~追放された悪役令嬢ですが、なぜか皇太子の胃袋をつかんでしまったようです~

汐埼ゆたか
恋愛
伯爵令嬢に転生したリリィ=ブランシュは第四王子の許嫁だったが、悪女の汚名を着せられて辺境へ追放された。 ――というのは表向きの話。 婚約破棄大成功! 追放万歳!!  辺境の地で、前世からの夢だったスローライフに胸躍らせるリリィに、新たな出会いが待っていた。 ▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃ リリィ=ブランシュ・ル・ベルナール(19) 第四王子の元許嫁で転生者。 悪女のうわさを流されて、王都から去る   × アル(24) 街でリリィを助けてくれたなぞの剣士 三食おやつ付きで臨時護衛を引き受ける ▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃ 「さすが稀代の悪女様だな」 「手玉に取ってもらおうか」 「お手並み拝見だな」 「あのうわさが本物だとしたら、アルはどうしますか?」 ********** ※他サイトからの転載。 ※表紙はイラストAC様からお借りした画像を加工しております。

悪役令嬢はモブ化した

F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。 しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す! 領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。 「……なんなのこれは。意味がわからないわ」 乙女ゲームのシナリオはこわい。 *注*誰にも前世の記憶はありません。 ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。 性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。 作者の趣味100%でダンジョンが出ました。

処理中です...