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第二章 外国漫遊記
第五話 義妹ですらないようです
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聖女ポワリアさんのお話では、昨日モーニシュ家に届いたアンドロッツォ夫人からの書は、ご当主が確認する前にビトリアさんが勝手に処理したとのことです。
早馬で届けられた封書は、すぐにご当主の部屋に運ばれました。しかし主が不在の部屋に置かれたそれを、父に話があって部屋で待っていたというビトリアさんが開封したそうです。
そして、領主夫人からの『ポワリアを訪ねたい』という内容を見て嫉妬し、『聖女はいない』と返事をしたためて、待機していたアンドロッツォ家の者に渡して追い返した、ということでした。
ポワリアさんは、ビトリアさんが父親に文句を言おうというのにつき合わされて、一緒にいたと言っています。
「だって! ポワリアばかりずるいのよ! 街中どこでもちやほやされて、領主夫人にも可愛がられているし、なにより王子様と結婚なんて! ずるいのよ!」
「お姉さま…」
「姉妹でそこまで差がついてしまっては、まあ気持ちもわかりますけれど」
「姉妹じゃないわ!」
「そうなんですの?」
「そうよ! 聖女だなんだってもてはやされているけど、ポワリアは孤児院にいたの! どこの誰の血が入っているかもわからないのに、なんで王子と結婚なんて出来るのよ!」
「モーニシュ家に養子に入ったのではありませんの?」
「ただうちに住んでるだけよ! 義妹にもなってないわ!」
「ほう?」
義妹ですらありません、と。
グイスト様も、おかしいと思ったようです。
私の情報網でも、ボルティ国の聖女はセトゥーバル領で見つかったことから、後見を目的とした養子縁組が行われモーニシュ家に引き取られた、という話でした。
それが、養子縁組されていない? 住んでいるだけでは、後見も何もないでしょう。
「どういうことか、説明願おう」
「あっ、いえ、その、どうしてもこのポワリアに、孤児にモーニシュを名乗らせるのは嫌だ、と……言われて、その…」
「そうよ! そんなこと、とんでもないわ! ねえ? お義母さま!」
「ええ、そうね……」
お母様。ビトリアさんがお母様、と呼ぶということはモーニシュ夫人でしょうか。いつの間にか扉の前に立っていました。その出で立ちは、夜の蝶とでも表すのがいいか、紫と黒のタイトなイブニングドレスを……母子揃って本日はこれから、夜会にいらっしゃるということなのでしょうね。でなければ、訪問客の前にそのような服装で出ることはありえませんもの。「急な訪問だったから、こんな格好でごめんなさいねー?」の格好ですわ。
「お話し中失礼いたします、公爵閣下。お久しぶりですわ」
「ああ……ん?」
「卒業してから、もう8年…でしょうか? あの頃のことが、とても懐かしく思います」
「……」
お知り合いなのでしょうか。夫人は扇で口元を隠し、舐めるような視線をグイスト様に送っています。
「グイスト様? お知り合いですの?」
「ああ、いや…」
顎に手を当てて考える仕草をするグイスト様。まさか、もしかして、覚えていらっしゃらないパターン? 社交界でもよくあることですが、覚えていなくても覚えているようなふりをして、会話をしてその人物が誰だったか思い出す戦法でいきますの?
「えー…………、誰だったか」
「なっ!」
「あら」
お忘れですの。
思い出す戦法ではありませんでした。
とても親しそうに装っているのに、忘れられていましてよ? ご婦人。
「ええと、ご婦人はモーニシュ夫人でよろしいでしょうか?」
「っ……、ええ。そうです、私はカルメリタ・モーニシュですわ」
「どうぞ、お座りください」
「ありがとう、ございます」
会話からヒントを得て思い出す戦法すら使わないで、早々に諦めたグイスト様。王弟ともなれば、公爵ともなれば、一方的な知り合いの数も桁違いでしょうから、仕方ありませんわね。
「あの、カルメリタですわ」
「ああ、モーニシュ夫人」
「旧姓は、ハイメで、伯爵家のーー」
「話を進めよう」
夫人の言葉を遮って、グイスト様は正面に向き直ります。
ハイメ? 伯爵家? 聞き覚えがありますわ。夫人の出身は、ジャービーなのかしらーーと思考が持っていかれそうになったところで、グイスト様が私の脇腹をつつきだしました。
突然のことに驚きつつも、冷静にその手をたたき落とし、状況を整理します。
私とグイスト様が座るソファの正面の三人掛けソファに、ご当主とビトリアさんが座り、その後ろにポワリアさんが立っています。私たちから見て左手にあるひとり掛けソファにカルメリタさんが座っています。
お話を、再開しましょう。
「ええと、状況を整理すると、孤児院で暮らしていらしたポワリアさんは10歳の時に聖女選定を受けて聖女となった」
「はい」
と、ポワリアさん。
「聖女がセトゥーバル領で発見されたので、同領内のモーニシュ家が後見をすると手を挙げた」
「そうです」
と、ご当主。
「後見人として立つには、ボルティ国では何かしらの縁組み手続きが必要ですわよね?」
「そ、そうです」
と、ご当主。
「けれども、ビトリアさんが孤児と縁組みなど嫌だと言い出した」
「そうですわ!」
と、ビトリアさん。
「そして、夫人も嫌がった」
「そうです。そもそも私はジャービー国の貴族家の生まれですのよ? モーニシュは爵位はないけれどこの地の有力者だからって嫁いであげたのに、どこの馬の骨ともわからないような子ど――」
「はい。嫌だったのですね」
「え、ええ…」
カルメリタさんの話は長くなりそうだったので、手をパンと叩いて遮りました。
そして再び考えます。
いろいろ整理して気づいたのですが、なんだか、どんどん面倒な話になってきているようです。
「どうしましょう、グイスト様。私、砂糖税を下げてほしくて来ただけなのに、これは何法違反ですの? こ、戸籍法??」
「落ち着けエリシャ。そもそも養子縁組をしていないんだ、そこは関係ない。問題は、ボルティ国で後見人になるには何かしらの縁組みが必要だが、それをせずに国で選定された聖女の後見人だと偽っていたことだ」
「そ、そうですわね。どうしましょう? お砂糖は?」
「いったん砂糖から離れようか。大丈夫だ。これを解決したら、砂糖は手に入る」
「は、はい。解決、解決ですわね! えっと、では、ご当主サロマン・モーニシュさんとポワリアさんの養子縁組をすれば、解決ですわね!」
今までのことはおいておいて、今からモーニシュ家とポワリアさんは家族になりましょう。そうすれば何も問題はありませんわ。
「いや、モーニシュ家はもうだめだろう。6年も黙っていたんだ。それに、ここは聖女にとって、あまりいい環境ではなさそうだ」
少し、砂糖のことで頭がいっぱいだったようです。反省します。
よく見ると、ポワリアさんはやせ細っていて、首元にうっすらと痣のような跡があります。
それに、ビトリアさんとカルメリタさんの様子が……
早馬で届けられた封書は、すぐにご当主の部屋に運ばれました。しかし主が不在の部屋に置かれたそれを、父に話があって部屋で待っていたというビトリアさんが開封したそうです。
そして、領主夫人からの『ポワリアを訪ねたい』という内容を見て嫉妬し、『聖女はいない』と返事をしたためて、待機していたアンドロッツォ家の者に渡して追い返した、ということでした。
ポワリアさんは、ビトリアさんが父親に文句を言おうというのにつき合わされて、一緒にいたと言っています。
「だって! ポワリアばかりずるいのよ! 街中どこでもちやほやされて、領主夫人にも可愛がられているし、なにより王子様と結婚なんて! ずるいのよ!」
「お姉さま…」
「姉妹でそこまで差がついてしまっては、まあ気持ちもわかりますけれど」
「姉妹じゃないわ!」
「そうなんですの?」
「そうよ! 聖女だなんだってもてはやされているけど、ポワリアは孤児院にいたの! どこの誰の血が入っているかもわからないのに、なんで王子と結婚なんて出来るのよ!」
「モーニシュ家に養子に入ったのではありませんの?」
「ただうちに住んでるだけよ! 義妹にもなってないわ!」
「ほう?」
義妹ですらありません、と。
グイスト様も、おかしいと思ったようです。
私の情報網でも、ボルティ国の聖女はセトゥーバル領で見つかったことから、後見を目的とした養子縁組が行われモーニシュ家に引き取られた、という話でした。
それが、養子縁組されていない? 住んでいるだけでは、後見も何もないでしょう。
「どういうことか、説明願おう」
「あっ、いえ、その、どうしてもこのポワリアに、孤児にモーニシュを名乗らせるのは嫌だ、と……言われて、その…」
「そうよ! そんなこと、とんでもないわ! ねえ? お義母さま!」
「ええ、そうね……」
お母様。ビトリアさんがお母様、と呼ぶということはモーニシュ夫人でしょうか。いつの間にか扉の前に立っていました。その出で立ちは、夜の蝶とでも表すのがいいか、紫と黒のタイトなイブニングドレスを……母子揃って本日はこれから、夜会にいらっしゃるということなのでしょうね。でなければ、訪問客の前にそのような服装で出ることはありえませんもの。「急な訪問だったから、こんな格好でごめんなさいねー?」の格好ですわ。
「お話し中失礼いたします、公爵閣下。お久しぶりですわ」
「ああ……ん?」
「卒業してから、もう8年…でしょうか? あの頃のことが、とても懐かしく思います」
「……」
お知り合いなのでしょうか。夫人は扇で口元を隠し、舐めるような視線をグイスト様に送っています。
「グイスト様? お知り合いですの?」
「ああ、いや…」
顎に手を当てて考える仕草をするグイスト様。まさか、もしかして、覚えていらっしゃらないパターン? 社交界でもよくあることですが、覚えていなくても覚えているようなふりをして、会話をしてその人物が誰だったか思い出す戦法でいきますの?
「えー…………、誰だったか」
「なっ!」
「あら」
お忘れですの。
思い出す戦法ではありませんでした。
とても親しそうに装っているのに、忘れられていましてよ? ご婦人。
「ええと、ご婦人はモーニシュ夫人でよろしいでしょうか?」
「っ……、ええ。そうです、私はカルメリタ・モーニシュですわ」
「どうぞ、お座りください」
「ありがとう、ございます」
会話からヒントを得て思い出す戦法すら使わないで、早々に諦めたグイスト様。王弟ともなれば、公爵ともなれば、一方的な知り合いの数も桁違いでしょうから、仕方ありませんわね。
「あの、カルメリタですわ」
「ああ、モーニシュ夫人」
「旧姓は、ハイメで、伯爵家のーー」
「話を進めよう」
夫人の言葉を遮って、グイスト様は正面に向き直ります。
ハイメ? 伯爵家? 聞き覚えがありますわ。夫人の出身は、ジャービーなのかしらーーと思考が持っていかれそうになったところで、グイスト様が私の脇腹をつつきだしました。
突然のことに驚きつつも、冷静にその手をたたき落とし、状況を整理します。
私とグイスト様が座るソファの正面の三人掛けソファに、ご当主とビトリアさんが座り、その後ろにポワリアさんが立っています。私たちから見て左手にあるひとり掛けソファにカルメリタさんが座っています。
お話を、再開しましょう。
「ええと、状況を整理すると、孤児院で暮らしていらしたポワリアさんは10歳の時に聖女選定を受けて聖女となった」
「はい」
と、ポワリアさん。
「聖女がセトゥーバル領で発見されたので、同領内のモーニシュ家が後見をすると手を挙げた」
「そうです」
と、ご当主。
「後見人として立つには、ボルティ国では何かしらの縁組み手続きが必要ですわよね?」
「そ、そうです」
と、ご当主。
「けれども、ビトリアさんが孤児と縁組みなど嫌だと言い出した」
「そうですわ!」
と、ビトリアさん。
「そして、夫人も嫌がった」
「そうです。そもそも私はジャービー国の貴族家の生まれですのよ? モーニシュは爵位はないけれどこの地の有力者だからって嫁いであげたのに、どこの馬の骨ともわからないような子ど――」
「はい。嫌だったのですね」
「え、ええ…」
カルメリタさんの話は長くなりそうだったので、手をパンと叩いて遮りました。
そして再び考えます。
いろいろ整理して気づいたのですが、なんだか、どんどん面倒な話になってきているようです。
「どうしましょう、グイスト様。私、砂糖税を下げてほしくて来ただけなのに、これは何法違反ですの? こ、戸籍法??」
「落ち着けエリシャ。そもそも養子縁組をしていないんだ、そこは関係ない。問題は、ボルティ国で後見人になるには何かしらの縁組みが必要だが、それをせずに国で選定された聖女の後見人だと偽っていたことだ」
「そ、そうですわね。どうしましょう? お砂糖は?」
「いったん砂糖から離れようか。大丈夫だ。これを解決したら、砂糖は手に入る」
「は、はい。解決、解決ですわね! えっと、では、ご当主サロマン・モーニシュさんとポワリアさんの養子縁組をすれば、解決ですわね!」
今までのことはおいておいて、今からモーニシュ家とポワリアさんは家族になりましょう。そうすれば何も問題はありませんわ。
「いや、モーニシュ家はもうだめだろう。6年も黙っていたんだ。それに、ここは聖女にとって、あまりいい環境ではなさそうだ」
少し、砂糖のことで頭がいっぱいだったようです。反省します。
よく見ると、ポワリアさんはやせ細っていて、首元にうっすらと痣のような跡があります。
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