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第二章 外国漫遊記
第五十七話 平和
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お父様のお話では、モボ国と睨み合っていたジダール海峡で、上陸しようと向かってきた敵船を投石で壊滅状態にしたら対岸の軍も引いていったそうで、いったん戦況は落ち着いたそうです。
「今回はタリファの駐屯地からマラッガを通ってきたからな。中央市場で新鮮な海産物をたくさん買ってきたぞ!」
「あら、今夜の食事が楽しみですわね」
そして、私たちの活躍でボルティやフィレンセと終戦に至った話をし、まだ終戦していませんが、お父様の仕事を減らしてやったとドヤ顔してみたらなぜか頭を撫でられました。
「そういえば、リノ・カートナーは護衛をやめたんだったな?」
「ええ、そうですわね」
「なぜ後ろに控えている?」
「え?」
「あっ、すいません。シーツもらいにきたんですけど、つい長年の癖で」
ポイント制度はもう適用されないという話なのですが、ヴァランタンさんスカウトのアシスト報酬として、私専用で作っていただいている超希少なさらさらシルクのシーツを受け取るためについてきたリノ。なぜか護衛の立ち位置にいました。私も今気づきました。
「ヴァルデマールさんに言って、出してもらいましょう」
「はーい」
「あっ、エリシャ、行ってしまうのか?」
「ええお父様、また夕飯のときに」
「失礼します」
「エリシャ……」
今さら後ろ髪をひかれるようなことはありませんが、退席するだけでそんな悲しそうな顔をしないでほしいです。
屋敷内をリノと、ヴァルデマールさんを探してさ迷うこと10分、なぜかキッチンでイモモをむいている彼を見つけました。
「イモモですの?」
「ええお嬢様、今夜は新鮮なタッラを使ったフィッシュアンドチップスですよ」
「まあ、楽しみですわ」
「俺も食べて行っても?」
「構わないよ、リノ」
我が家の料理は定番から珍味まで、料理人の腕がいいので、関係者しか知りませんけれどどれも他で食べるより美味しいのです。食べたくなる気持ちはわかるので、咎めることはしません。
「そういえば、なんで兄貴は客扱いで俺は間男扱いなんです?」
「使い方、間違っていますわ」
「間男?」
「ええ。間男ではありませんが、リノはお客様ではないでしょう。そう、家族みたいなものだから、なんならビトさんをもてなしてあげてくださいまし」
「家族……」
嬉しそうにしているリノを、温かい目で見ているヴァルデマールさん。なんなら親子みたいですわね。そう、つまり家族ですわ。
「お嬢様、御用がありましたか?」
「ええそう、シルクシーツをリノに出してあげてほしいのだけれど、忙しそうですわね」
「すぐにご用意いたします」
「リノが帰るときにあればいいですわ」
「かしこまりました」
「よろしくです、ヴァルデマールさん」
そうして、久しぶりにリノとエストルム邸内をうろうろしました。ビトさんも一緒に。好きだった花や、沈む夕日の絶景ポイントなどを周り楽しんでいたのですが、リノがいちいち思い出マウントを取るものだから、もう後半はビトさんは退屈そうにしていて、いえむしろ何も聞いていないようでした。
邸を周ったあとはリノとは別れて、お客様として滞在しているビトさんとお兄様方とお父様と一緒に夕食を楽しみました。
長年私の護衛を務めてくれたリノのお兄様ですから、みんな興味津々でいろいろ質問していました。主にリノの弱みについて。曰く、文字通りなんでもできる弟らしく、弱みといった弱みはないそうですが。
しかし、これならリノも夕食を一緒にしてよかったのではないかと思います。みなさんも首を傾げていました。まあでも本人は、使用人食堂のほうが落ち着くと言って断りそうですけれど。
明日は、すでに王城にいるベジックさんとグイスト様についてレオカディオ陛下に謁見です。もちろん、内容はフィレンセとの停戦・終戦・友好条約についてです。
あら? アイスグリーンのドレスにあわせる装飾品は決めたかしら?
「今回はタリファの駐屯地からマラッガを通ってきたからな。中央市場で新鮮な海産物をたくさん買ってきたぞ!」
「あら、今夜の食事が楽しみですわね」
そして、私たちの活躍でボルティやフィレンセと終戦に至った話をし、まだ終戦していませんが、お父様の仕事を減らしてやったとドヤ顔してみたらなぜか頭を撫でられました。
「そういえば、リノ・カートナーは護衛をやめたんだったな?」
「ええ、そうですわね」
「なぜ後ろに控えている?」
「え?」
「あっ、すいません。シーツもらいにきたんですけど、つい長年の癖で」
ポイント制度はもう適用されないという話なのですが、ヴァランタンさんスカウトのアシスト報酬として、私専用で作っていただいている超希少なさらさらシルクのシーツを受け取るためについてきたリノ。なぜか護衛の立ち位置にいました。私も今気づきました。
「ヴァルデマールさんに言って、出してもらいましょう」
「はーい」
「あっ、エリシャ、行ってしまうのか?」
「ええお父様、また夕飯のときに」
「失礼します」
「エリシャ……」
今さら後ろ髪をひかれるようなことはありませんが、退席するだけでそんな悲しそうな顔をしないでほしいです。
屋敷内をリノと、ヴァルデマールさんを探してさ迷うこと10分、なぜかキッチンでイモモをむいている彼を見つけました。
「イモモですの?」
「ええお嬢様、今夜は新鮮なタッラを使ったフィッシュアンドチップスですよ」
「まあ、楽しみですわ」
「俺も食べて行っても?」
「構わないよ、リノ」
我が家の料理は定番から珍味まで、料理人の腕がいいので、関係者しか知りませんけれどどれも他で食べるより美味しいのです。食べたくなる気持ちはわかるので、咎めることはしません。
「そういえば、なんで兄貴は客扱いで俺は間男扱いなんです?」
「使い方、間違っていますわ」
「間男?」
「ええ。間男ではありませんが、リノはお客様ではないでしょう。そう、家族みたいなものだから、なんならビトさんをもてなしてあげてくださいまし」
「家族……」
嬉しそうにしているリノを、温かい目で見ているヴァルデマールさん。なんなら親子みたいですわね。そう、つまり家族ですわ。
「お嬢様、御用がありましたか?」
「ええそう、シルクシーツをリノに出してあげてほしいのだけれど、忙しそうですわね」
「すぐにご用意いたします」
「リノが帰るときにあればいいですわ」
「かしこまりました」
「よろしくです、ヴァルデマールさん」
そうして、久しぶりにリノとエストルム邸内をうろうろしました。ビトさんも一緒に。好きだった花や、沈む夕日の絶景ポイントなどを周り楽しんでいたのですが、リノがいちいち思い出マウントを取るものだから、もう後半はビトさんは退屈そうにしていて、いえむしろ何も聞いていないようでした。
邸を周ったあとはリノとは別れて、お客様として滞在しているビトさんとお兄様方とお父様と一緒に夕食を楽しみました。
長年私の護衛を務めてくれたリノのお兄様ですから、みんな興味津々でいろいろ質問していました。主にリノの弱みについて。曰く、文字通りなんでもできる弟らしく、弱みといった弱みはないそうですが。
しかし、これならリノも夕食を一緒にしてよかったのではないかと思います。みなさんも首を傾げていました。まあでも本人は、使用人食堂のほうが落ち着くと言って断りそうですけれど。
明日は、すでに王城にいるベジックさんとグイスト様についてレオカディオ陛下に謁見です。もちろん、内容はフィレンセとの停戦・終戦・友好条約についてです。
あら? アイスグリーンのドレスにあわせる装飾品は決めたかしら?
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